誰も知らない物語2 完全版
□8章 交差
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「NWGは、何の組織だか知ってるか?」
「世界の破滅を望んでいる組織」
「いやいや。表ではどうなってる?」
「慈善団体……」
「そう。つまり我々は素晴らしい信頼感のもと働いているのだ」
未だに、カルナが何を言いたいのかわからなかった。サトシを見るが彼もわからないらしく、首を傾げている。
「さて、本題に入るとしよう。まず、何故、私がお前の番号を知っているかだが……。この声を聞けば一発だな」
誰かが隣にいるらしく、別の声が聞こえて来た。
「ミズカ……さん。……すみません」
「リョウスケ!」
声からして、彼は捕まってしまったらしい。つまり、リョウスケのポケギアからミズカの番号を突き止めたのだ。動揺する。
「可哀想に。北風使いに協力せずにいたら、こんな目に遭うことはなかったのだがな」
「う……うるせぇ。こんな目に遭わせてんのは、お前らだ。ミズカさん……、心配ないです。……タカナオはマサトに頼みましたから……」
リョウスケの言葉に顔を歪める。タカナオと同じくらいリョウスケも心配なのだ。心配しないわけがない。
「ふん。それで、なんとかしたつもりか」
「カルナ! 何をすれば良い? 何か条件があって連絡して来たんでしょ?」
早く行きたい。早く助けに行かなくては。そう思うが、冷静に考えて、何も考えずにここを飛び出すのは危ない。グッとこらえた。
「マルナを連れてこい。そして、二人に組織に戻って来てもらいたい」
「な、何言って……」
「嫌か。だが、リョウスケはどうなる」
言葉が詰まる。彼女なら、殺し兼ねない。
「まあ、それも此方に来られればの話だがな」
「え?」
「外を出ればわかる。お前は、闇の人間になっているからな」
フフフ……と不吉な笑みを漏らして、カルナは電話を切った。額から冷や汗が流れる。
「サト……シ。外を見て来てくれる?」
「あ、あぁ」
サトシは頷くと外へ出ていった。心臓が痛いくらい、ドンドンドンと叩いてくる。落ち着け。何度も頭で唱える。タカナオも心配だ。他にも、今まで旅をしていた仲間もいると言っていた。凄く不安になる。
ミズカは台所から、マルナ達のいる部屋へ戻り、状況を説明した。