誰も知らない物語2 完全版

□8章 交差
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「そんな……お母様が……。り、リョウスケは大丈夫なのですか?」
「とりあえず……」

その言葉にマルナは少し安心したようだった。

「ミズカ、見てきたぜ……」
「どうだった?」
「警察が警戒してる」

サトシが窓の外を見ながら言った。顔をしかめる。

「どういうことだい?」
「つまり……。……ミズカが指名手配されてるんだ」

シゲルが聞くと、重い口調でサトシは答えた。ミズカ達は目を見開く。

『我々は素晴らしい信頼感のもと、働いているのだ』

先程のカルナの言葉を思い出した。そういうことだったのか。あくまでNWGは、人を助ける正義の味方というポジションの組織。そして、ミズカはその組織を裏切り、世界の破滅を企んでいる、極悪非道な北風使い。そう仕組まれたのだ。

「警察はNWGの味方だからな。世界の破滅を望んでいるのが、あっちだと言っても無理だぞ」
「最悪……」

父の言葉に、サーナイトのモンスターボールと別にもう一つ出した。そしてポケモン達を出す。無論、片方からはサーナイトが出てきた。もう一つのモンスターボールからは、チルタリスが出てくる。サトシはそれを見て驚いた。

「チルタリス……、お前、チルタリスだよな!?」
「チルチル〜」

サトシが聞くと、チルタリスはニコッと笑い頷いた。その隣ではシゲルも驚いた表情を浮かべている。ミズカはいったい何があったのだろうかと首を傾げる。

「ミズカ。このチルタリス、何処で?」
「え。ここに来る途中のオツキミ山の近く……」
「へぇ、チルタリス。ミズカのことずっと探してたんだな」

何がなんだかわからない。サトシはチルタリスの頭を撫でている。

「このチルタリス、お前のポケモンだったんだ」
「……8年前の?」

聞くと、チルタリスが頷いた。驚いて口をポカンと開ける。

「北風使い様。そんな話をしている場合ではありません」

後ろで少し怒った表情のマルナがいた。ハッと我に返り、チルタリスとサーナイトに話をし始める。

「だから、サーナイトは催眠術で警察官を眠らして、チルタリスにはあたしをリョウスケのいる所まで連れていって欲しいの」

このミズカの言葉に、サーナイトとチルタリスは快く引き受けた

「マルナはここに残ってなさい。……えっと、二人はどうする?」
「僕達も行くよ」
「あぁ、仲間達が気になるからな」

その会話に納得いかないのはマルナだ。

「母は、私も連れてくるように言ったんですよね?」

マルナに聞かれ、ミズカは頷く。
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