誰も知らない物語2 完全版
□8章 交差
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「もしかしたら、お姉ちゃんにとってはいつものことかもしれないな」
そう思えるほど、彼女のいる所には必ず問題が発生していた。唯一、楽しんでいたのは、中学校最後の年くらいだ。
「……それは、言い過ぎだと思うけどね」
苦笑しながら言うと、ゼニガメが頭に乗ってきた。どうやらバトルの練習をしたいらしい。タカナオは頷くと食べかけのおにぎりを一気に口へ放り込み、「ごちそうさま」と言って走って行った。
「あいつ、変わったな」
「え?」
「最初を思い出してみろよ。タカナオ、頼ってばかりだったじゃねぇか。それが、ポケモンに頼られるようになってきた」
リョウスケの言葉に、ヒナは嬉しそうに「そうね」と返した。たしかに、最近は自分達にあまり頼って来ない。それはトレーナーとしての大きな一歩だと彼女は思った。
タカナオはエーフィとバタフリーを出し、エーフィを隣に座らせた。どうやらゼニガメの最初の相手はバタフリーらしい。
「ゼニガメ、準備は良いか?」
「ゼニ!」
「バタフリーは?」
「フリフリ〜」
2匹の返事を聞き、早速特訓を開始した。ゼニガメも強くなったが、バタフリーも同じくらい強くなっている。
「バタフリー、銀色の風! ゼニガメは、アクアテール!」
バタフリーが銀色の風を繰り出すと、その風を切るようにゼニガメがアクアテールを出した。
「そのまま、水鉄砲だ」
「ゼーニュ〜!」
すぐさま、隙をつき、ゼニガメはバタフリーを攻撃するが、かわされる。
「よし、バタフリー。いい判断だよ」
「フリィ〜」
それが嬉しかったのか、バタフリーは特訓中にも関わらず、タカナオの頭に乗った。
「特訓中だって……」
バタフリーを見て苦笑する。ゼニガメも、タカナオと同じ気持ちらしく、ため息をついた。
「エーフィ、頼んでも……」
「ちょっとストーップ!」
タカナオがエーフィにゼニガメの相手をお願いしようと口を開くが、誰かに遮られた。タカナオ達の前にメガネをかけた一人の少年が出てくる。
「どうせなら、僕とバトルしようよ」
「え……、あ!」
バトルを申し込んで来た少年に心当たりがあるのか、タカナオは驚いた表情を浮かべた。