main

□君と過ごすクリスマス
2ページ/2ページ




またあるところでは。


「あ……あれって門田さんかな?」
「みかどぉ!ほかの男なんか見ねーで俺を見ろ!」
「静雄さんと臨也さんも相変わらずだなぁ…」
「わ、ワザとなのかそうなのか帝人!?」


水色の制服に身を包んだ二人の学生が池袋の街を歩いていた。どうやら終業式のあとにそのまま街へと繰り出したようだ。

「て、いうか…街中カップルだらけだね……」

二人の内の一人、竜ヶ峰帝人は周りを見渡しながらゲンナリと言った。
すると隣にいた学生、紀田正臣は帝人の肩に腕を回し、引き寄せながら彼の頬を突っついた。


「そんなこと言ったら俺たちもだろ?」
「ま、正臣!!」

ニヤリと笑ってみせると途端にカァァっと赤くなる帝人。


やば、帝人可愛いマジ可愛い。そこらへんのお姉さんとか女の子たちより可愛い。襲いたい。けどこんなところで襲ったら帝人に嫌われるそれだけは避けなきゃダメだじゃないと俺立ち直れない。


以上が少年、紀田正臣の中で繰り広げられた葛藤である。しょうがないよ年頃だもの人間だもの。

帝人がキレると自分がどれだけダメージを食らうか、正臣は身を持って知っているのだ。
以前、放課後デートと称して帝人と出かけたとき、デートだデートだとはしゃいでいた正臣は調子に乗って街中で帝人にキスをした。触れるような可愛らしいキスではなく、深く濃厚なキスを。
したはいいものの、帝人の口内を思う存分味わい唇を次の瞬間、バチーーンッッと乾いた音が響き、正臣の頬に鋭い痛みが襲った。



苦々しい経験に身をブルリと震わせた正臣に何を心配したか、帝人は心配そうに顔を覗き込んだ。


「正臣大丈夫?寒い?」
「あ、いや、大丈夫だぜ」
「ならいいんだけど」

すると帝人は正臣の腕から抜け出し、スルリと指を絡め合わせた。

「み、帝人!?」

突然の帝人の行動に驚く正臣。

え、だってこれって手をつないでるよな?しかも恋人つなぎじゃんかよ!!えぇ、とうした帝人!?いや、嬉しいけどな?普段恥ずかしがって何もしてくれないから積極的なのは凄く嬉しい!夢じゃないよな??夢だったら俺立ち直れる自信ねーんだけど。



「ほら、正臣行こう!」

スタスタと早歩きになり腕を引っ張る帝人の耳は真っ赤に染まっている。

まぁ、今がよければいいか。
先を歩く恋人を引き寄せるように、彼はギュッと繋いだ手を握った。


馬の嘶きを聞きながら。






「あ、セルティが近くにいるみた……っとぉ!?」

一方その頃戦争コンビ。
相変わらず喧嘩中。
迫り来る標識を避ける、避ける、避ける。


「死ねばいい」
「仮にも恋人だよ!?それは酷くない?」
「遅刻する方が酷い」


冷静に、しかし殺気はいつもより鋭い。
と、そこに馬の嘶き。同時に二人の間に滑り込んでくる黒い影。

『静雄!何をやっているんだ!!』
「「セルティ…」」


正体は首なしライダーセルティ・ストゥルルソンだった。

『お前たちは今日が何の日か知っているのか?!』


PADのフォントを少し大きくして二人に見せる。

「何ってクリスマ」
「臨也の命日だそれ以外の何の日でもねぇ」
「シズちゃぁん………」
『………静雄、何があったんだ?』


静雄が怒っていることを察したセルティは訳を問うた。

「それがカクカクシカジカ…………」


事の次第を聞き終えるとセルティは肩をプルプル震わせた。

「セルティ?」
『臨也…お前こんな日に遅刻……?』
「ち、違うんだよ!ただ前の日まで仕事が溜まってって…」

今度は臨也がカクカクシカジカと遅れたわけを話す。



「……と、言うわけ」
『つまり今日静雄と過ごすために三日間徹夜して、で、無理がたたって寝坊したと言うことか?』
「うん」
『だ、そうだ』
「お、れ知らな……」
「だって言わせてくれなかったじゃない」


ばつが悪そうに顔を逸らす静雄に苦笑する。


『もう大丈夫か?』
「あ、あぁ……サンキューセルティ」
「俺からも礼を言うよ。これならシズちゃんと仕切り直しができるからね」
『臨也が礼を言うと何かが起こりそうで怖いな』
「なんだよそれ」


ムスッと拗ねる臨也をヘルメットをうまく動かしクスクスと笑うセルティはシューターに跨った。


『じゃあ私は帰るよ。新羅が待っているから』
「おう、じゃあな」
「新羅にもよろしく言っておいて」
『ああ』

セルティはシューターの前輪を上げると瞬く間に去っていった。


「……臨也、悪かった」

セルティが去ったあとを見つめながら静雄はポツリと謝罪を述べた。

「別に言いよ。それよりどうする?俺の家でも来る?」
「そうだな」


二人は歩き始め、どちらともなく指を絡め合わせた。







ジングルベルジングルベル、鈴が鳴る。
池袋にも、サンタがやってきた。
子供たちに夢を、恋人たちに甘い時間を届けるために。



merry Christmas!(池袋にやってきたのは)
(黒い馬に乗ったサンタでした)




――――――――
衝動的に書きました。
なんか意味分かりませんよねすみませんorz
でも男前な兄貴分×女たらしな弟分は萌((殴っ

merry Christmas・eve!

前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ