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□年末年始は慌ただしい
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ごーーん………





テレビの中から、煩悩を払う鐘の音が鳴り響く。
2011年12月31日。新たな年を迎える前の日だ。



「ねー、シズちゃん。年越しそばって何でうどんじゃダメなの?蕎麦よりうどんの方がおいしくない?」


俺はというと、不本意ながら恋人である臨也と過ごしていた。


「テメェが手打ちじゃなきゃ食わねぇっつーからわざわざ打ってやったのに、いい度胸じゃねぇか」

ズルズルと俺が打ってやった蕎麦を食べながらブツブツ言う臨也にピキリと青筋が浮かぶ。


「そんなに不満なら独りでカップうどん食ってろ」





そう吐き捨てて自分の蕎麦を食べることに集中する。
シズちゃんゴメンそういう意味じゃないんだ!とか何とか聞こえたが、正直俺は限界だった。


何が限界かって?




臨也のだらしなさっつーか面倒くささというか、いろんなものが、だ。







俺の我慢大会は臨也の家を訪れたことから始まる。

最近会っておらず、なら俺が会いに行くかと珍しく新宿まで赴いた。まぁ、ほら、新しい年を迎えるからな。別に寂しいとかじゃない。

そして書類に埋もれていた臨也を発見。すぐさま救助活動に乗り出した。


「臨也!?大丈夫か!?」
「し、シズちゃん………クリスマスまだか、な………」
「いやいやいや!そのイベントはとっくに終わったぞ!っていざやぁあぁぁ!しっかりしろ!」


ガクリと力尽きた臨也を介抱したり――




「いやー、シズちゃんのお陰で助かったよ」
「……仕事サボりすぎて今日まで飲まず食わずで徹夜って……アホだな」


何とか復活した臨也はソファーに座った。

「それにしてももう大晦日なんだねぇ」

しみじみと言う臨也。忘れてたとかどんだけだ。
ん?忘れてたっつーことは、



「臨也、テメェ年賀状出したか?」
「!!」
「……もしかして」
「年賀状って書くの辛いよね。こちとら全部手書きなんだもん」
「だからって一枚も出さないのはどうかと思う。つかお前はパソコン印刷だろ。筆○だろ」



必死に言い訳をする臨也を冷たい目で見―――




「うっし。キッチンはこんなんでいいだろ。臨也ー。そっち終わったかー?」
「もちろん!ピッカピカだよ」


書類のせいで足の踏み場がない部屋の大掃除。俺は主に水回り担当で、臨也は書類の片付け。


「キレイでしょ?よし、大掃除終わり!もう正月過ぎるまで働かなーい」
「アホな宣言してるところ悪ぃけどやり直しだアホ」


ソファーの下に書類を隠し、掃除を終わらせようとした臨也を一喝し――





「うん、シズちゃんが打った蕎麦美味しい」
「うどんがどうこう言ってたのはドコのどいつだよ」


――今に至る。


「それは俺だけど、シズちゃんが作ったものは何でも美味しいよ」
「っ……そーかよ」


臨也はずるい。
いつもさらっと恥ずかしいことをいう。

少し頬に熱が集まった。



「あ、カウントダウン始まったよ」


臨也の言葉にはっと我に返り、テレビに視線を向ける。


『五秒前ーーっ!』



若いアナウンサーがカメラに向かって声を上げる。


『四!』


もうすぐ新しい年を迎える。


「さん………」

新しい年も、無事に過ごすことが出来るだろうか。




「にぃ……」



いつまでも、いつまでも。





「「『いちっ』」」







化け物である俺を愛してくれた、コイツと。




『零!!』


パパパパンッッッ!!


『HAPPY NEW YEAR!!』


「明けましておめでとう、シズちゃん。こんな俺だけど今年もよろしくね」
「……おう」



ニコリと笑う臨也に、俺も笑みを返した。






年末年始は大変だけど
君と一緒に過ごせるのなら、
(おせちと言えば栗きんとんだよね!それ以外はオマケオマケ!)
(よし、じゃあお前の取り分は栗きんとんだけな。鯛やら海老やらは俺が食う)



―――――――
と、いうことで年末年始イザシズでした!
よくわからない上に遅刻。スミマセン<(_ _)>

お題は「空飛ぶ5つの方法」様からお借りしました!


明けましておめでとうございます!


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