未来という異世界

□街と草原と苦悩
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遥か遠くに小さく見える、白くそびえ立つ城と城壁。ファンタジーにふさわしい風景だ。

肌にひしひしと大きな魔力を感じることができる。城から出ているものである。

大きな城ともなると、それなりの守りが必要になってくる。一々衛兵を雇うのもコストがかかるうえに、絶対的な守りでも無い。
確かに必要ではあるが、それだけでは到底手も足りない。だからこうして上位防衛魔術者や学者を雇い、全体を覆うことによってある程度の安全を確保しているのだろう。
魔の力というものは本当に画期的なものだ、と改めて感心しながら歩みを進めていると、自分の背丈の何倍もある城壁の目の前に来た。

門番はおそらく一般兵士と思われる狼と犬と猫が見張っていた。
「通行証を出して頂こう。」
はっきりとした大きな声が周辺に響き渡り鼓膜を揺さぶる。あんまりでかい声は好かない。
無言で、旅人証と魔大の卒業証を見せる。

一応、はっきりとした通行証がいるのは城内だけで、街への進入には身分証明が必要になる。場所によるが、危険な場所や一部の人間しか入れない場所などは自分が見せた旅人証やモンストロや隊の紋章が必要になる。

通れ、と野太い声が再び響いて城門がゆっくりと開き、中を揚々と曝け出す。

広い。ただただ広い。
この前の村の何倍も、何十倍も。
石畳、噴水、行きかう獣人達。
嗚呼、なんて広くて綺麗な街だろうか!

おそらく、今までの中でもっともな広さだろう。
にぎわう人々の喧騒は五月蠅いが、何処か活気に溢れていて決して嫌な感じはしない。

ここで生活をする人々は本当に普段着。しかし、それに混じってぽつぽつと、派手な銀甲冑を纏っていたり、弓矢を背負っている人も見える。決して冒険家や、旅人は少なくは無いことを改めて認識して、なんというか、仲間意識的なものがこみあげてきてちょっとばかりうれしくなってしまう。
嗚呼、なんて単純バカ。
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