現代の禁忌

□柵と罰
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監禁、奴隷、拉致。
まぁ、どれでも構わない。どの言葉でも知っている方ならそれらが当てはまるこの状況。
もちろん、誰の予想でも当てはまる通りに犯罪行為である。しかし、俺にとっちゃどうでもいい事に変わりは無いし、何より知られなきゃ構わない。
昔の恩師の教えにこんな事を言われた。
――どんなに悪いことをしても構わない。それがばれなきゃ悪いことではない。
そんな物を教える立場の人間から言われた。俺は本気でその人間が嫌いで、教師だのを抜きに本気で嫌いだったので、その言葉を鵜呑みにしている訳でも、信じている訳でもないんだが。

自分の意思、いや、エゴ。それによって行われるただの犯罪行為。自分でも嫌というほどわかっている。だが、法律にも一般常識にもとらわれるのは癪なのも事実であって、俺に罪意識なんてものは無い。

「えっ?えっ!?」
私が捕えた獲物が目覚めた。その焦りと不安と困惑が混ざった声はコンクリートで出来た小さな冷たい部屋に反響して、溶けて消えた。
この子には悪いが、いや、悪いとも思っていないが、少し私の憂さを晴らさせてもらう。
暴力?まぁそれもいいだろうが、味気ない。
この未熟で、無知で無恥な体を使えばきっと楽しく憂さを晴らすことができる。

今、思いついたような口ぶりで言ってしまったコトは非常に申し訳ない限りだが、実は最初からその気なので、後ろ手に手錠をし、両の足に手錠をはめて、地面から生えているフックにがっちり嵌めている。もちろん生まれたままの姿で、仰向けに。
実に滑稽で、惨めな姿だ。恥部を堂々と私に晒し、自分を捕えている物から逃げようとうねうねと体を動かしている。
自分の置かれている状況が大分分かってきたらしい。すべてを把握しきっていないのがミソだ。
「だれ・・・だれ、か。助けてくださ・・・い」
うねうねと、逃れようとして体を動かす様は何処か妖艶な雰囲気を感じてしまう。勝手に全裸にさせ、拘束している私が原因だが。
「どうしたんだ?ボク?」
あたかも、見つけたかのように、犯人ではないように。彼の救世主のようにふるまってみた。
目隠しされ、顔も場所もよく理解できていない彼は怯えた表情から、嬉しそうな表情になった。
「今、助けてあげるからね。」
思っても居ない事を口にして、救世主ごっこを未だにやめない俺。これで俺が犯人だと知ったらどんな顔をするだろうか。そう思うだけでニィっと下卑た笑みを浮かべてしまう。
ただ見たり、話したりするだけでは飽きてきたので、救世主ごっこのまま彼の体を弄ろうと手を伸ばした。
まだ何も知らない、目の前の道化師は未だに安どの表情を浮かべていた。
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