未来という異世界

□街と草原と苦悩
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眩しいし、寒いし、辛いし。

広大な草原。見渡す限りの草、草、草・・・
草は昔の本に載っていたサッカーグラウンドってやつ程整ってはいないが、気候の影響により、それぐらいしか長さは無い。
ただっぴろーい見渡す限りの草。
おんなじことをさっきも思った気がする。

小さな集落の様な村で一晩泊めてもらい、歩いて早2日。
近くにでかい街があると言われて、食料を買っていないのに。
あのジジイに見事にだまされたわけだ。近くに獣人らしき白骨死体があったら、あのジジイの仕業と思っておこう。骨まで食べるエネミーも少なく無いから、死体の骨だけ残ってるなんて事もそんなにないけどね。

それにしても眩しい。朝に行動するとこんなにも眩しいとは。
朝、動く気力も無ければ、寝ていたい私は主に夕方から朝方にかけて行動する。しかし、最近は減っているはずの夜中に攻撃性が増すエネミーが増えているらしい。
しかもここは魔術発祥の地らしく、自然とエネミーにも対魔の力が身についてしまったらしい。俺にとっちゃいい迷惑だ。

重い、ダサい、鈍いのが嫌いな俺は小さなころ魔法の幅広い使い方に驚き、惹かれた。そして、馬鹿みたいに魔法に関して勉強し、魔法学校に進み、首席で卒業。12歳の時に四元素使いに任命された。四元素使いは基本魔法4つの最上位が使用できる奴を意味する。いつかは広い世界を見たりしたいというずっと昔からの夢があったので攻撃魔法や応用の仕方を独学で学んだ。
そして17歳の時、両親に旅をしたいと告げるが
「お前は頭はいいが貧弱だし、何よりレベルが低い。そして旅なんかして何がしたいんだ。」
と。

旅を猛反対された事に切れた俺は必死に武芸も磨き、日々の鍛練によりガチムチになっていた。
そして、ふと武芸に関する書物を読み漁っていた時に面白い物を見つけた。カガクという魔法でも、錬金術でもない不思議な存在を知った。太古の生物、ニンゲンが使っていたもので空気中には何があるか、水というのは何の集まりなのか、など私たちが全く知りえないものまで書いてあった。

しかし、内容的には魔法が発達した今、あまりタメになることは無く、それを知っても、でっていう、で終わることがほとんどだろう。
しかし、俺はそこであきらめず、魔法を効率的に使うために詳しいことを調べた。
昔は銃という物や、電気で動く物が多々あったらしい。
今は、魔水晶を器にはめ込むことによって力が出る。文献の冷蔵庫なんていうものが無くても、1個6000ルミの魔水晶さえあれば、ボックスにはめ込むだけで中の飲み物が冷えることは無い。
無意味と思いながら興味がわきすぎた俺は、錬成で銃を作ってみた。
しかし、銃は強化魔法をかければ、バラバラになるし、倉庫リングにしまえないし。
結局、覚えるだけ覚えて、文献とはおさらばした。
そして、自分の小さな村を時々襲ってくるエネミーの巣を壊して、旅を認めさせてやった。この時20歳旅に出た。

あの爬虫類タイプのエネミーとは一生戦いたくないね。ものすごく気持ち悪い。

ちなみに現在21歳。旅を始めてから半年とちょっと。街や村を転々として、人助けしたり、街のギルドの臨時隊員になったりして生計をたてている。

どれくらい歩いただろうか。凄まじく攻撃的な日差しが俺を焼き付ける。
頭の被毛は人間からの遺伝なのか、俺たち獣人でも体毛より早く伸びる。体毛は種族によるが一定の成長で止まる。しかし、頭の被毛だけはどうにも止まらない。止まるのかもしれないが、だいぶ長い。
それを利用して、俺は綺麗に右目だけ隠している。逆に白い毛が反射して少し眩しい時もあるが、片目が見えれば十分だ。

50mぐらい先だろうか、人の形はしている。が、肉も何もないただの骨。そう、人型のエネミーのスケルトンだ。
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