imprisonment weather

□4!
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 予想は的中した。僕は腹が煮えくり返るほど腹の立つ目の前の男をさらに睨みつけた。


「何をそんなにおこっているんだ?せっかくの可愛い顔が台無しじゃないか」

「…っ、それはほめ言葉?メタナイト」


 メタナイトは笑いながら頷いている。
 一瞬動揺しかけたが、すぐに立て直す。


「僕をこんなところに入れた理由は何!殺したいなら殺せばいいよ、君は僕が嫌いなんでしょ?」

「私が…?戯けたことを言うな。私はお前を愛してる。それだけだ」

「なっ…?!…は、話は変わるけど、なら何でワドを…?何もしてないのに…何でなの?」


 僕はジワリと胸の奥が熱くなり、涙をぽろりと落とした。――瞬間、目玉の前に剣の刃先が後二oくらいのところでぐっと止めた。
 …あと少し動いたら…多分目が潰れていただろう。


「…っひ…ぃ…!!!!!!」

「ただのワドルドゥの為に涙を流すな。
 …泣くなら私の為だけに泣け。…いや…?やはりカービィは笑顔が似合うから、泣くのはよしなさい」


 ワカラナイ。わかんない。頭がずっと混乱してる。
 さっきまでの威勢は消え、へなへなと壁際に座りこんだ。彼は…、一体どうしてしまったのだろう。僕の知っている勇ましく強い、一匹狼の似合う、ヒトに縋るような真似はしない。そんな彼は何処に行ってしまったの?

 僕が頭を巡らせている間、メタナイトは剣を片し、代わりに懐から赤い見たことのない葉とマッチを取り出し、それを燃やし部屋の角に投げた。シュウゥと音が鳴り、ピンクがかった煙があがった。


「?!なっ、何この煙っ…?!げっ、ゲホッ、ゲホゲホッ!…ぅっ……」

「煙は不味いだろうが…、我慢しなさい。すぐに…」


 そこまで言ってメタナイトは黙った。
 煙は直に何処かに消え去り、苦しくなくなったところで僕は気を立て直して怒鳴り散らしだした。


「これは…何!まさか毒か何かをまき散らしたんじゃないの?はは、そうだ、きっと、だって僕は…」


 途端に呼吸が乱れだした。それに体も熱く、奥が何かジンジンする。まさか、本当に毒だったりして?メタナイトは僕の様子を見て勝ち誇ったような笑みを仮面の向こうから漂わせていた。…嘘だ、死んじゃうの?死ぬ?死?イヤイヤイヤイヤイヤ!
 命乞いなんて今さらしたって意味ないだろうけど、僕は鎖の錆び付いた音を鳴らしながらメタナイトに縋る。


「…カービィ、何を勘違いしているんだ?だから言ったろう。私はお前を殺さない…と」

「…じゃあ、何これっぇ…熱いよぉ、ぅう…」

「ある星で稀少にしか採れない…我々の星では『媚薬草』と呼ばれているものだ」


 媚薬…?!
 わかった瞬間身体がやたらと敏感になり始め、さらに熱を増した。咄嗟に後ろに後退りするがすぐそこは壁。結構前から迫られていたのか思わされる。
 メタナイトはそんな物を僕に使って…?やっぱりおかしいよ!正気じゃない!!メタナイトは僕に近づき、仮面を外しそこらに置いて僕にキスをした。


「…!ふぁっ、めたっ…んっ、……っ」

「…カービィ、………」


 媚薬の所為か知らないけど普通のキスでも狂いそうなほど気持ち良く感じる。
 ――そう感じてしまう僕に苛立った。

 口腔ににゅるりとしたものが入ってくる。舌を入れてきたと気づくのにあまり時間がかからなかった。僕は応えるように自分の舌を出すとすかさずメタナイトの舌がねっとりと絡み付いてきた。
 それだけなのに嫌悪感と快感の狭間に中立させられていて少し悔しく感じた。


「んっ…めた…ナイト…」

「…カービィ、お前は私のモノだ。…誰にも渡さない」


 ぎゅっと人形を抱くように僕を抱く。
 さっきまでの苛立ちは何処へやら、僕は寧ろ彼を受け入れなくてはいけないような気がした。――彼は寂しかった?


「…ね、メタナイト」

「…何だ?」

「僕、メタナイトがほしいな」

「…それは本当か?」

「うん。だから、…お願い。ちょーだい…」


 メタナイトは僕を見て微笑んだ。嬉しいのかな。なら僕も嬉しいよ。
 僕は壁に手をつかされ、メタナイトの自身が自分の入り口にあてがわれる。


「…ね、早く」


 メタナイトは少し戸惑いつつ、僕の中にゆっくり挿れていく。慣らしてないせいかちょっと…痛い。


「………っ」

「…感じたいっ…カービィを感じたい…!!」
 独占欲にかられたようなことを言いながらそのまま一気に埋め込まれる。


「――ぃっっ?!!!」

「はぁ…はっ…、はぁ………」


 痛い。痛い痛い。口にしたくても声にならない叫び声ばかりあがる。
 じわりと結合部から生温かいモノが垂れるのを感じる。多分血が流れているのだろう。
 媚薬の量がとても少なかったのかもしれない。効果はとっくの昔に切れ、快楽どころか痛みが増すばかりで力が上手く入らない。


「ア゙ぅッ…、メタぁっ…!!いたぃ…っ!いたぃいっ…!!!!」

「…っはぁ…はぁ……くっぁ…!」


 血が潤滑剤の代わりをしているのかメタナイトの腰の動きが早くなっている。僕の声なんて到底聞こえてないみたいでずっと肌の打ち合う音が小さな部屋で響いている。
 気がつけば痛みを身体は忘れ、徐々に快感に変わっていることに気づいた。喘ぎ声と荒い息づかいが惜しみなく部屋いっぱいに響く。


「…ひぃっ…ひあっ…ぁあ!!っもぉっ…だめっ…!お願いっ、も、我慢できなっ…!いっ…イっちゃうぅう!!」

「…はっ…、私もっ…、く…っ!!」


 二人が絶頂を越えたとき、メタナイトは僕の中に熱を吐き出した。声にならない悲鳴――でもそれは歓喜の叫び――をまたあげる。


「…ひっあ…っ、僕の中にあったかいのが…メタのが…っぁ…」

「…カービィ、愛してる。…何処にも行かせない。…永遠に…」


 冷たい部屋の中に愛を囁く言葉が小さく木霊した…。













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