imprisonment weather

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「どういうことだ…」


 廊下をうろうろしながらソードナイトに頼んだ兵(ワドルディ)が集まるのを待つ。カービィは確かにあの近くにいるはずだ。大彗星・ノヴァはけして嘘はつかない、頼めばいつかの侵略者のようにこの星を手にしようとすることも可能だからだ…。


「卿、ワドルディを五十人集めました」

「…うむ、十分だ。陛下にはワドルディを借りると伝えておいてくれ」

「わかりました。…しかし、卿。ワドルディを引き連れて何処へ行くのですか?」


 ソードが不安そうに尋ねる。


「何、簡単な戦だ。
 …カービィが何処にいるのか見つけたから…な」

「…!!では…、ギャラクティック・ノヴァに望み、見つけださせたのですね?」

「ああ、…しかし、厄介なことに、カービィを探そうが呼ぼうが出てこない…」

「………?…まさか…何者かに捕まっている?」

「私はそう考えている。あの子はいつでも私を頼っている。だから私が呼んで出て来ないなんてことはない」

「…陛下には報告しないのですか」
「もう質問は止めろ。
 …逃げられる前に始末をせねば…分からんような連中だろうからな」

 ぴしっと空気が張り詰める。ワドルディは状況が上手く飲み込めていないのかオロオロしだす。…不安だ。

 入ってきた窓から外に飛び出、続くワドルディも窓から飛び出て私の後ろをついてくる。


 ***


 ワドルディが過ぎ去った後、草むらから顔を覗かし、辺りを見回す少女がいた。


「…行ったようね。どうする?ギャラくん、まだあそこの岩陰にいるかな…?」


 少し乱れた髪と帽子を整え、続いて草むらから小さな妖精の少女と赤い目の騎士が飛び出る。


「ギャラクティックナイトは凄腕の剣士なんでしょ?…大丈夫よ、カービィを守ってくれているわ。きっと…」

「………女、何故私を選んだ」

 真夜中の月を背景にその男は仮面越しに赤い目を光らせながら少女二人を睨む。だが、赤いベレー帽を被った少女は迫力に押し負けずに一歩前へ踏み出て強気にかえした。


「そっ…それは……何となく…」

「…生憎ながら私は甘くない。そんな理由も無しに選抜され、選ばれたのなら私はこの話をなかったことにさせてもらう」


 ズタボロのマントで仮面を隠すように包み、仮面の騎士は装備した物の音をガチャガチャ摩擦で鳴らしながら何処かへと向かおうと歩き出す。
 妖精の少女はその様子を不安そうに見つめる。ベレー帽の少女は手を拳にしてぐっと爪が肉に食い込むほど握り、自分の愚かさと相手の協力感の無さに呆れ、きっと騎士の後ろ姿を睨みつけた。


「…っ、…だァまれえぇええ!!!!!!!!」

「ひィっ!?」

「…………」


 ベレー帽の少女は身を乗り出し、黙れ。そう一言叫んだ。


「なんなの、アンタ?!カーくんが心配じゃないの?この話はなかったことにさせてもらう?バぁかいってんじゃないわよ?!アンタはあのバカの影だって聞いたけど逃げ出すの?とんだヘタレだね。よく言うよ、頭(ココ)がイかれてたりする?あぁ、イかれてなきゃ逃げ出しゃしないよ。勇敢ね。あっアァハははははははは!」


 小さな妖精の少女はびくびくしながらベレー帽の少女を見る。
 騎士は特にこれといった反応はせず、かわりに少女達に背を向けていた向きを変え、ワドルディ達が向かった方に歩き出した。


「…っ、一緒に、…行ってくれるの?」


 妖精の子は息を呑み、仮面の騎士の背を見て涙を浮かべた。
 ベレー帽の少女は不思議そうに顔をしかめながら妖精と同じ、左目に傷の付いた仮面の騎士を睨みつけた。


「私を腰抜け扱いするとは…良い度胸だ。
 …女、チビ、私がどれほどあの男とは違った勇敢な騎士か、目にもの見せてくれる…!」


 プライドが欠けるからか男はメタナイト達の向かった方に片手剣を抜き出し走り出した。
 妖精の少女は遅れないよう全速力で後を追い、ベレー帽の少女はまんま自分の言葉に乗っけられた男を見てにやりと口元を緩めた。


「まっててね、カーくん。今みんなで助けにいくから…!」


 鉛みたいに重い足を動かし、少女は後を追っていった。


 ***


 やけに静かだ…。いや、静かすぎる。

 僕は岩陰から顔を覗かせ辺りを警戒する。ギャラは砥石でランスを磨いている。
 その行為はさり気なく安心しろと無言で言っているようにも思える。

 …?………地響き?
 何処か遠くから何かが押し寄せてくるような音が響いてくる。と、同時にギャラは僕の手を引っ張り穴蔵の奥に投げつけた。


「痛っぁ…!ギャラ、何を………!」

「…来る」

「え?」


 ギャラはその綺麗な翼を広げ、外に出て行った。後を追おうかと思った――瞬間、


「………、貴様っ…ギャラクティックナイト…?!何故ココに…!」


 一瞬で血の気が引いた。あの声は正しく…メタナイトだ。じゃあ…、あの地響きだと思ったのは?
 僕はこそこそと床を這い蹲りながら岩陰から月に照らされて見えた姿を見る。先頭にメタナイト…、あ、後ろには沢山のワドルディがいる。そして僕の頭上にはギャラが…。


「………貴様に…カービィは指一本と触れさせやしない…」

「…そこにカービィがいたのか、ならば話が早い。貴様は私に一度負けた身、そう簡単に私を打つことはできないだろう。それにこちらはワドルディが50人ついている。…貴様に負ける気がしないな」

「それは…どうかなっ!!!?」


 ギャラはランスをメタナイトに振りかざす。


「……ワドルディ達、今から私の言うことをよく聞け、一度しか言わないからちゃんと聞いておけ…、…………。
 ………、…………。……以上だ。いいな、しくじったときはどうなるか…わかっているだろうな?」


 メタナイトはワドルディ達に半面見せて指示を出していた。少し遠いから何を言っていたのかわからなかったけど、ワドルディ達はびくびくと体を震わせメタナイトを見て怯えていた。一体彼がどんな目で命令をワドルディ達にし向けたのか、想像したくなかった。

 …あれ?
 ワドルディ達の向こうの草が揺れた。誰か居るのか?僕は思わず身を乗り出しそちらをきょろきょろし、一歩二歩そろそろと身を縮めて歩いた。…が、月の光はあっても夜道は夜道だから足元の石に気付かず躓いてしまった。


「ひゃっ?!」


 顔面から地面に顔をつっぷつしてしまった。…じゃなくて、しまった…!!つい声を出してしまった………!!


「…?!カービィ?」

「!チャンス…今だっ!かかれぇーっ!!」


 わぁっと50人のワドルディが全員でギャラに群れあがり、甘い物を見つけた蟻のようにギャラにワドルディは動きを封じ込めてかかった。


「くぉっ…っ!貴様ぁ…卑怯なマネを…!!」

「ふっ、重みで身動きがとれないだろう。…声くらいは聞こえるな?」

「何をしようと…っ、………。
 ッ…!!カービィ、逃げろぉ!」


 逃げろと言われた瞬間目の前誰かが立ちふさがって、そのヒトの影が僕の上に覆い被さった。
 だめだ、体が動かない。金縛りにあったみたいに、動かない。怖い。体が微量に動く。心臓が破裂する。血が冷めていく。目だけが動く、目、よりによって目だけなんて…外道だ。
 そーっと目を上に上に、ゆっくり動かした。久々に間近で見た仮面。その奥の優しげな目、一瞬心を許してしまいそうなくらい、優しくて優しくて、怖い目。


「カービィ、帰ろう?」


 両手を差し伸べて仮面越しでもわかるくらい笑みを浮かべながらそれは言った。
 僕の脳裏に血生臭い過去が過ぎ通る。

 声を上げて泣き叫ぼうとした瞬間だった。風が僕をかっさらった。いや、でも風に手は生えてない。その風はきっちり僕を掴んで飛んでいた。横を見てみるとそのヒトは………、
 僕はこれ以上叫ぶ価値もないと知り、イヤなヒトを脳に焼き付けて、目を閉じそのまま気絶してしまった。








 無理矢理次にまで引っ張る感じがするなぁ
 今更ながら警告ですが。うちのアドレーヌちゃんは崩壊してます。管理人は完璧にキャラ無視してます。
 どうかアドレーヌファンは今後見ないことをおすすめします…。管理人は惨たらしいことを頭のシナリオに書き納めているようです。





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