※企画リク メタ+マル×カビ メタナイトとマルクにカービィを取り合い いつの日か見た変な夢を思い出した。唐突なことだった。だって、今の今までその夢の内容を覚えていなかったから。そもそも、本当にそれが夢なのかさえ断定することができないのだけれど。 もしかしたらただの勘違いかもしれないし、妄想の可能性だってこともないこともない。 誰かに唐突に起こされたのなら内容なんて覚えているはずがない。でもそれはなかった。だからぼやけ加減だけど内容をまあまあ覚えてる。 なんだか現実味のある、現実(リアル)と仮想(バーチャル)の境目がどこなのかよくわからない夢だった気がする。 (あれってホントは夢じゃなかったりして) あたかもそこに有ったかのような感じがした。拾ったコップの感触も、冷たい手の温もりも。 (あれ?) ふと疑問に思った。 誰の手だったか覚えてない。冷たいんだから手(というより羽)の冷たい…マルク? いやでもでも、温もりだってあったんだ。メタナイトだったような気もする。 僕が頭を抱えているときに丁度僕の名を呼ぶ声が聞こえた。 「かぁぁあびぃぃい? どしたの、そんなところでェ?」 やけに上機嫌でマルクはこちらに寄ってきた。僕もマルクに近寄り、何の忠告もなくしてマルクの金色の腕をがしっと掴んだ。 「?!! ちょっ…カービィ大胆…♡」 何を勘違いしたのか頬をぽっと赤らめさせて喜んでいる。気持ち悪い。 暫く触ってみたけどやっぱり暖かさなんて感じない冷たい爪。少し暖かいと思ってもそれは僕の手の温もりが移っただけで意味のないものと知った。 「か、カービィ。と、兎に角ベッド行こう、ベッド。なんならそこの茂みにでも…」 言いかけた瞬間横から剣がそのまま飛んできてマルクの手めがけて突き刺さろうとした。マルクもすぐに反応して手に剣に刺さる手前によけた。 「おいおいおいおい………。折角僕とカービィの間がいい感じになってる時に誰だぁ? …ま、このうざったらしいほど金ぴかした剣を持ってるのは…どっかのキザ野郎一人しかいないよネェ?」 「キザなのは余計だ。…カービィが心配で着いて来てよかった」 「ストーカーかよ。無茶苦茶気持ちワリィな」 対面したと同時に二人は喧嘩まがいの言い合いを始めた。…仲悪いなぁ…。 そんな二人を差し置いて、僕は突然やってきたメタナイトの前に立った。 そして、何の承諾も得ないまま手をぎゅっと握った。 「くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」」 「 」 メタナイトは言葉になってない叫びをあげたあと、僕の手を空いてるもう片方の手で掴んで森に向かって引っ張り出した。 「えっ、チョ…な、何?」 「すまん、ちょっとそこの茂みに用があって…」 さっきのマルクみたいなことをメタナイトが言ったと同時に、マルクはものすごい勢いでメタナイトに体当たりしていた。マルクはメタナイトに掴みかかって喧嘩同然の争いを始めていた。 「てめっ…なにカービィをあの茂みに連れ込もうとしてんのサ…!! 僕より最悪だよ。強行とか、マジ、サイテーだよ。クソ!!」 「そんな貴様こそカービィに卑猥なことをしようとした当事者の一人ではないか。ヒトのことをよくもまぁ言えたな」 マルクが掴み掛ればメタナイトはグーでマルクの羽を殴っていた。 ぼくはこの状況を放ったらかしにして、さっきの手の温もりを思い出した。 メタナイトは、ちょっと硬い感じの皮の手袋をはめていたけど、とっても温かくて心地の良い感情がした。 二人はまだケンカしていた。 やっぱり、事の発端は僕だろうから、僕は二人の間を無理やり割って入るようにして喧嘩を強制的に止めさせた。 「マルク、メタナイト! 喧嘩はやめて! 何で喧嘩を始めたのかは分かんないけど…。僕は極端に、あの…自分の見た夢をその…実証したくなっちゃって…」 「…ナ、なんだよ。カービィの勝手なご都合で、僕は勝手に惑ったんだと、そう言いたいの?」 マルクはがっかりしたようにそう言って僕を見据えるようにしていた。体中の打撲(メタナイトが喧嘩で負わせたもの)を僕に見せつけるようにさせられて、急に罪悪感が芽生えてその場で俯いてしまった。 「あ、そ、そんなつもりじゃなかったんだけど…その…ご、ごめん…」 「ごめんで済むならケーサツはいらないのサ。全く。僕は君に弄ばれたワケかよ。チェ… で、カービィが見たって言う夢はなんなのサ? 僕らにカンケ―することなのサ?」 ここまで、メタナイトは口を開いてない。間接的だけど、僕のせいで身につけた服が少しボロボロになって情けない感じになっている姿を見て、さらに罪悪感に蝕まれた。こんなことなら、最初から夢の話を言ってから手を触らせてもらうんだったかな…。 「関係するのかは分かんないけど。なんとなく二人の事がすぐに思い浮かんだから」 「………?」 僕は今日になって思い出した夢の内容を簡単に説明した。 僕の歩く横で誰かが手を繋いでいた。 そのヒトは冷たい手の温もりだったことも。 「…僕でしょ?」 確信めいたドヤ顔を突きだしてそういった。かなり自信満々で逆に戸惑いそうになった。 「だぁってさぁ? ねぇ? 冷たいんでしょ? 僕は君も知っての通り冷たいんだ。僕の手って。そしたら明らかに僕が君の横に立って手を繋いでたのサ。だろ?」 「いや、それはない」 今の今まで黙っていたメタナイトがそこで初めて口を開いた。まるで確信めいた否定文に、マルクは少しむっとした表情でメタナイトを睨みつけていた。 「なんでサ」 「どう考えても当たり前だろう。最終的には温かい手の事を表しているんだ。お前みたいな感情のこもりそうにない手で握られたところで温かいとも思えないしな。よって、カービィのパートナーは私でしかないんだ」 「そんなの屁理屈なのサ。僕だって金属みたいに握られてたら次第に温もるし、話の道筋的には僕のような気もするんだけど?」 マルクはなんだかまた喧嘩腰にメタナイトにそう言い寄っている。喧嘩がおこる前に僕はマルクにまぁまぁと宥める仕草を何度もした。 「この話はやめようよ。ね? 僕だって曖昧加減でしか覚えてないんだもん」 たかが夢(妄想)の話。それをネタに喧嘩なんてバカバカしいと思い、僕は話題を変えようとする。だけど、それを二人は許さなかった。 「こんな奴が(私の可愛い)カービィの手を握っていたなんてことは絶対ないのだと、照明せねばならない。たとえそれが夢であろうとなかろうと、(私の可愛い)カービィはこんなゲスの手を握っていたことは許されないのだからな」 「ヘエェェェ〜…。なんか、アンタが言う限りだと僕がカービィの手を握っていたことが前提っぽいけど、ヤァッと諦めてくれたのォ?」 「…ぁ、 い、いや。これはただの例えだ。このカービィと手を握っていたのは私だ! お前なんかがカービィに夢でも触れることは断じて許さん。成敗してくれる!!」 「ンなこと言うんならこっちだってお前みたいなカン違い野郎がカービィに触るのは僕が許さないのサ!! カービィは僕のオモ…、大事なトモダチなんだからサ!」 一瞬聞き捨てならない言葉を言いかけたような気がしたが、きっと僕の聞き間違いだろうと解釈し、たいした騒ぎをたてることはなかった。 ふと、頭の中がポワンとした感覚に包まれた。まるで雲の上にたっているような、優しい感触。 モヤモヤした影が僕に手を差し伸べた。もしかして、と思い、まず手のひらを見た。…が、不思議にもその影はモザイクがかったような見映えになり、誰の手なのかはわからなかった。 ――おうたでも歌おうか そのヒトは小さな子供に聞かせる歌を僕に聞かせ始めた。それは幼い頃に、よく聞かされた歌――。 そうか、このヒトは… …とたんに現実に引き戻される。 僕の回りをうろうろしながら戸惑う二人がいた。 「ぉ、あぁ、よかった。心配したぞ。カービィ」 「あれ、メタナイト…どうしたの?」 「どーしたもこーしたもないのサ! 突然僕らの前でブッ倒れたのサ。…覚えてないのサ?」 確かに…。 頭がポワンとした感覚になったことまでは覚えていたけど、倒れたなんて知らなかった。…それにしても、あのヒトは…。 「エヘヘ、なんでもないよ♪ ちょっと夢を見てただけだから」 「…はぁ…? よなあんまり僕に心配かけさせるんじゃないのサ」 「心配したくないのならここから立ち去ればいいではないか」 「ヤダ」 この事を二人には秘密にしよう。また言っちゃったらきっと喧嘩になるだろうし。 「そうだ、カービィ。ここから近くに美味しいケーキのあるカフェが出来たんだ。私と一緒にいかないか?」 「ハァ? 二人きりで何しようっていうのサ! もとよりカービィは僕のなんだから僕もついていくのサ!」 「ふざけるな。ならば喧嘩もかねながら話をしよう。言っておくが、お前の分は払わないからな」 「ジョートーなのサ、くそったれ!」 僕は二人に手を繋がれ、引っ張りあわれるように強引に連れられた。 僕はなにも言わないように心がけながら、二人の言い合いに笑っていた。 了 なんとなく誰が手を繋いでたか想像つく書き手。 |