小説2

□かわいいこ。私の醜い。汚い子。
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 真っ赤な世界で育った。
 僕はどうやら長年ここに居たせいで、この色が僕の好きな色になってしまったようです。

「ただいま、カービィ」
「…! おかえりなさい、メタナイト!」

 南京錠を解いてメタナイトが赤い部屋に入って来た。僕は喜びのあまり、足枷をしているのをつい忘れてメタナイトに勢いよく走っていき、あまり長くない鎖がジャラリという音と一緒にピンと張って、僕は勢いのままにこけてしまった。メタナイトは僕の姿を見て笑い、僕が顔を上げて舌を出して恥ずかしそうにしていたら、メタナイトの方から近づいてきてくれて鎖を眺めていた。

「もう少し長くしてもいいだろうか…」

 なんだか僕がこうやってこける姿を見るたびに深刻そうにしていたので、僕は足枷のことには全く触れませんでした。つけている理由がわからない訳じゃないけど、こうしていた方がいいってメタナイトが言うから、僕ははずした方がいいなんて思いません。

「……。ね、メタナイト! 今日はアレ、持ってきてないの?」
「ん…、あぁ、あるぞ」

 メタナイトは赤い扉を開けて、赤い液の入ったバケツをゆっくりと持ってきた。

「前はメタナイトがそれを出してたよね。だから、今日は僕の番だね!」

 この僕が触ってる赤い液によってこの赤い部屋は満たされてる。実は少し前までこの赤い部屋は茶色い部屋だった。赤い液を撒かないと部屋はどんどん茶色になっちゃうの。まだ部屋は赤いけど、僕がメタナイトにお願いして赤い液をもらってきてもらったんだ。…いっても、これはなんの液体なのか…、メタナイトは僕に教えてくれないんだよね…。

「わかってると思うが…ちゃんと均等にその血…いや、液をわけるんだぞ」
「わかってるよ。…それっ」

 手ですくって部屋中に飛ばす。赤い液は少し茶色っぽくなった壁にかかって、赤が鮮明になって見えた。
 赤色は僕の体も染めていく。僕はだからこんなにまで真っ赤に育っちゃったんじゃあないだろうか。バケツに頭を突っ込んで口に赤い液を含み、知的障害者のようににやけ面をかましてばちゃべちゃゲロを吐くようにこぼす。僕はだからこんなにまで真っ赤に体が染まっちゃったんじゃあないだろうか。足元は前の赤い液をこぼした跡が溜まりに溜まって高さ約7ミリくらいのプールができたんだ。液を蹴り上げれば液がばしゃばしゃ飛び散ってとても楽しいんだ。僕はだからこんなにまで真っ赤に足が染まっちゃったんじゃあないだろうか。
 部屋は見る見るうちに鮮明な赤に染まる。僕の大好きな色。僕はメタナイトの色と赤と茶色しか見たことがない。僕を知る人はもっといない。

 僕は外の世界に興味はない。

「ハぁ・・・ハァ・・・」

 真っ赤に染まった部屋。昨日より一段と綺麗になった。

でも足りない。決定的な何か。僕はそれがわからない。だからいつも楽しいという気持ちの中にうにゅむにゅみたいな気持ちがあった。

「さて、では私はこれからまたこの液を集めに行くとするよ」
「え? 今日?」

 赤い液は4、5日に一度くらいで、連日持ってくるものじゃない。何でだろう。珍しい事をいうものだ。

「ねぇ、僕も連れて行ってよ」
「…! …駄目だ。私が取ってきてやる。だからお前は家で大人しくだな…」
「興味があるの! お願い、一回だけ! ね?」

 僕はメタナイトを良く知ってる。ちょっと甘えた感じにするとメタナイトは渋々だが僕の言う事を聞いてくれる。僕がご飯を全部マキシムトマトにしてっていったときもなんだかんだで聞いてくれたし、勉強を教えてっていったら渋々教えてくれた(メタナイトは覚えなくていいと何故か言っていた)。
 だから今回も聞いてくれるはずなんだ。

「…駄目だ」

 覚悟はしていたけど…やっぱりか。理由を問う。

「何故私がお前の足に枷を嵌めたか…分かっているか? ココから出ないようにするためだ。一生ココから出さないつもりだから勉強なんて教えたくなかったのに、あの時甘えが教えろと請うから、知らなくてもいいことをお前は学んでしまった。なんとなくは気づいていたんだろう。それの意味を…」

 メタナイトは赤い液に浸る鎖を持ち上げ、やはり短くしたほうがいいか…。と呟いた。
 なんだよ。せっかく楽しんでいたのに…つまらない。

「メタナイトのケチ」
「…なんとでも言っていいが、これもお前の為であることを覚えているんだぞ」

 メタナイトはバケツを持って部屋を出ていった。すぐ戻ってくるつもりだからなのか南京錠をかける音がしなかった。

 ――これはチャンスだ。

 僕は足枷の鎖を持ち上げ、鎖の根元を辿って軽く引っ張る。
 鎖の根元がさびて少し力を入れて引っ張れば千切れてしまいそうなほどやわそうなものになっていた。

「……ふぅ…、………ッ…んギギッィ…!」

 一息ついて鎖を引っ張った。やはり鎖は鎖だ。結構力を入れないと千切れるような気配がしない。ガチガチ錆びついた音が擦れ合い、ペキリッと言う割れるような音が小さく聞こえ、赤い液の中にぽちゃんぽちゃぁと落ちる音がした。この時点で大分力を使ったものだから、鎖を握る手の力を緩めて大きく息を吐いたり吸ったりした。音のした方に目を向けると、鎖の一部が欠けて簡単に外れさせられる形になっていた。

「やった…!」

 何もないところにうんうんと頷き、赤い液の中を走って初めてドアを触って扉を開けた。扉の横には何かの鍵が一つかけてあった。引っ掛けみたいなところから鍵を取り、その細くて小さい鍵を見て、足枷を見た。確かこれにも穴みたいなものがあったような気がしたからだ。
 鎖が繋がっている付近に鍵穴がついており、鍵穴とその鍵の太さが穴に嵌りそうなことを確認して、恐る恐る、差し込んでみた。何も起きない。
 暫くそこで呆然と立ち尽くし、突如としてピンとひらめいた僕は差し込むだけでは何も言わないことに気付き、ちょっと鍵を動かしてみた。

「…あ!」

 足枷はガシャアと音を立ててそこに落ちた。一瞬、何が起きたのか。状況が把握できずにいた。
 だが、犬が散歩中に紐を離されたかのような。とてつもない解放感と自由意識が芽生え、暗い廊下を駆けだした。

(やった・・・やったあああああああああああ!!)

 あれが階段か! 僕は二、三段階段を上った。初めて階段を使った。凄い。これが上がるってことなんだ。

 気分よく1歩1歩階段を上った。目が上の階の様子が見れるところまで登った時のこと、誰かの叫び声のようなものがうっすら聞こえたような気がして、僕はきゅっとそこで立ち止まった。

 ――不思議な光景だ。

 目の前で僕の部屋の色の液体が。キラキラと、とっても綺麗に飛んでいた。

「…………………………。……………………………」

 メタナイトが真っ赤に染まってる。オレンジの体をした子達がびくびくしながらそこで立っている。みんな兄弟なのかな、同じ顔をしてる。

「………っ!!…………!!!!……っ!!」

 同じ顔をしたオレンジの子たちは口がないからなのか、何か言っているのに何も聞こえなかった。その間にもメタナイトはよく光る棒みたいなものを振って赤い液をどんどん溢れさせている。

「へぇー…」

 そうか。赤い液はああやってとるんだ。となると…。あの赤い液は、あのオレンジの子達からしか取れないのかな?

 …あんまり長い間ここに居てメタナイトに気付かれちゃうといけないので、僕はゆっくり下に降り、部屋に戻る道を辿って行った。

 ――ん?

 さっきは部屋に出られたことに浮かれてたから気付かなかったけど、壁際に小さな光るものがあった。
 メタナイトが持っていた棒をうんと縮めた物みたいな感じだった。

「………」

 僕は周りを確認した後、光る棒を持って部屋に戻った。

 部屋は相変わらず真っ赤だった。この液が何の液か分かった今、とても気になることが出来た。

 ――これを僕の体に這わせたらどうなるのだろうか。
 というもの。

 抵抗はあった。あったけど、興味が僕の理性を抑えてくれない。

 深く、刺した。変な違和感。ズキズキし、体がどうしたのかわからない。
 メタナイトが、さっきやっていたように、我慢しながら、グッと、やってみた。

 身が裂ける。なるほど、これが。痛い。

 あかいえきが、ぼくのからだから、あふれて、とんで、よごす、そめる。

 ひゅううううと
 

 のどからくうきがもれるような、おと、とが。なる。


 まっか。ぼくのすきないろが、ぜんめんに、とんでいく。ぼくがなにかをさけんだけど、ひゅううううと、おとが、いっしょに も れた。



 めたないいいいとがきた。たたたたたた

 ないててgてる やっぱり べんきょうなん ておし えな き      ゃよか った@ よけいなrちし?きtが
ぼくをここここここここころたしtあ

いってる おおy:おえ


 めたな もboうwoあteteakあwoippaいheyanidaしte
rる

  まっか まっか     たりた。これでみたされた


 ぼくのああああかあああああああかかかかかk












       二つの遺体と部屋はいつしか茶色く染まっていた。

 









                    自分としてはハッピーエンドにしか見えないのが不思議

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