小説2

□いのにいあべにすかやはkんなねあも
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「ネェネェネェネェネェネェネェ。何かが欠けてる子って可愛いと思わなァい?
 この言葉に賛同する人っているのカナ? いないだろうネ、きっと。ジャア、今から賛同者でも作ろう。のんびりボクの演説でも聞いていって。ネ、目を背けないで、耳を傾けて、ボクの話を聞いてよ。イイ? じゃあ、約5分ダケの演説、聞いてってね。…あ、ソノ前に、あと5分後、ちょうど演説が終わるときだネ、ボクの友達が来るんだ。そのボクの友達が来るまでキミ達もココに居てチョウダイね。きっとビックリするから。うふふ。
 さてと、例え話でもしようか。キミたちの目の前に両腕両足のないコがいたとしよう。マ、これは実は例え話でもなんでもナク、実際分かっていると思うけどボクの目の前にいるんだけどネ。ホラ、この子この子、ボクが今車イス押してるでショ? この乗ってる子の事ダヨォ。あ、そんな気にシナイで。口に布撒いて喋れないようにしてるから、噛みつかないし五月蝿くもシナイよ。フフフ。
 ボクは今ね、この子がダァァイ好きなんだ。この子は普段からボクがイナイとご飯も食べれないしオシッコもできない。動くコトだってデキないんだヨォ。あ、この四肢はね、ボクが自分で取っちゃったんダ。ダッテ、ボクの方から何回お願いしても自分から千切ってくれないんだモン。理由聞いたら「怖くてそんなコトできないよ」ってズット言うの。恐怖のあまりに、自分の四肢をもぐコトが出来ないんだネって言うと、この子は素直にウンって言ったんだ。だからネ、ボクがこの子の叫びを聴きながら鼻歌を歌いつつパッパッパッと引きちぎったんダ。アノ引き千切る感覚…アレはそうダ…お餅、ウン、お餅みたいに腕が引き千切れた。そりゃあもうお餅みたいにってボクが言うんだ。簡単にブチッと引き千切れて、腕の中の細い芯みたいな骨を見て、ビックリしたよォ。腕両方はその感覚でいけたんだけど…やっぱ足はね。うん。やっぱどの生き物でもソウみたいに簡単には取れなかったよ。だからボクの友達、あ、後3分で来る子ね。その時は一緒にいたからもう直接足をその子に食べてもらったんだ。いつもはガツガツ食べるのに、その時だけチビチビと齧っていたね。何でもその叫ぶ顔が可愛くて、ずっと痛そうな姿を見たいから。とかナントカ言ってたネ。
 でダヨ、この子はもう自分の力じゃナァンにも出来ない子になっちゃったんダ。タダ生きて喋るだけのダルマ。世間の厄介者。ヒト様に迷惑をかけることしかできないカワイソウな子になっちゃった。デネ、ボク最近思うのは、この喋る口は要らないかな〜? ってコトなんだ。昨日だって、ご飯食べさせてたらずっと「助けて」って叫ぶし、喚くし…頭がズキズキして辛かったヨォ。何様のつもりなんだろうね。世界を救った? 王様を半殺しにした? 大事な仲間を命がけで守った? ボクら敵に手を差し伸べた救世主? ハハハ…全部偽善だってわかってるのにネ。阿呆かこいつ? 馬鹿かこいつ? って思ったヨ。ボクは世界中の誰もを救ったんだ。偉いに決まってる。とか思ってんでショ? ああ、ソンナ目で見ないで。今更救いようがないんだから。でも実際そうなんでショ。クスクス。キミの考えてるコトなんてお見通しだヨォ。ナぁニ? 明日から喋りません。とか明日からYESしか言いませんって言おうと思ってんでしょ? あ、今目がおよいダネェ。そしてそして? 突然威勢がよくなってその体でデキる何かを探し出し、何処かへ逃げる? 逃げたってその逃げた先でキミは誰かに手を伸ばしてもらい、誰かの役に立つよう便器になり、汚れた身で一生を過ごし、ソノ汚れた身で誰かと永遠に暮らしてみせるの? 誰かの世話を貰わないといけないキミが、ボクから逃げるの? ソシテ逃げた先の誰かがイッパイたくさん迷惑をかけられて、動けないキミをひっぱたくの? ボクはそんなことしないよ。ボクはいつでもウェルカムさ。沢山迷惑かけてよ。沢山世話させてよ。アイツだって言ってたよ「キミの世話をしたいのサ」ってさ。ウフフ、苦笑い苦笑い。
 ま、キミの舌を切ることはもう決めちゃったね。そんなに泣いたってボクは知らないヨ。ソシテそして…そうだ。完全な植物にしちゃえばいいんだ。脳を引きずり出して使えない部分を引き千切って…あ、だったら舌切らずに済むよ。良かったね! まぁ、別の場所を切っちゃうハメになるけど、キミは舌を切られないコトに喜びを感じてるんだよね。自分で言ったんだからちゃんと責任持ちナよ。…フフ、なんで泣いてるの? おかしな子だネェ。舌切らずに済むってんのに。そうすればモットボク達のお仕事が増えるね。キミは喋れないから何してほしいかボクら分かんないし、チャンネルだって自分の見たいテレビにできない。あーかわいそ(棒)
 …あ、もうすぐ5分経つね。そういえば、アイツね、スッゴイ心配性でサァ、万が一サッキ話したみたくこの子が逃げた先で迷惑かけたりしないようにって気を利かして、ここに大量の兵士を呼び寄せてるんだ。ザァッッと……2000万くらいいるんじゃないカナ? この子とボク以外はミィンな、この子に迷惑をかけられないようにお空に還ってもらうんだ。…あれ、なんでキミたち怒ってんの。フフフ、意味ワカンなぁい☆
 ジャ、ボクの講演も終わったことだし帰ることにするよ。ジャアね」









 

ご清聴、ありがとうございました。




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