小説2

□《-禁止事項-》
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 あああ。それはきっと見えないのね。赤くてどす黒くて茶色いものはきっともう水と空気にとろけて消えてしまっているのよ。
 さてさて これから語るのは小さな子供達のはなし。…ここだけの話。このお話は実は『幸話』ではないのですよ。ネタバレをしますと、《-禁止事項-》が《-禁止事項-》に《-禁止事項-》をして《-禁止事項-》それはそれは危うく《-禁止事項-》《-禁止事項-》《-禁止事項-》《-禁止事項-》《-禁止事項-》《-禁止事項-》なんですよ。
 え? 聞こえずらかった? そりゃそうですよ。なんといったって《-禁止事項-》したんですもの。

 いいですか? このお話は内密にお願いします。別にあなたにはお話しするような友達も家族もいないのでしょうけどね。




        《-禁止事項-》




「あ」「う」

 兄弟たちの今まで聞いたことのない知らない声に妹は頭の奥底にトラウマとなって住み着こうとしていた。
 二人の兄が寝室で苦しそうにもがいていた。一人はベッドのシーツを掴み、もう一人は下の兄に対して腰を懸命に振っていた。
 変な臭いに汚くどす黒いものが下の兄の下部を出入りして、恐ろしく怖かった。
 まず、こうなったのも、いつもは上の兄と妹で、下の兄で部屋が別れていて、たまに夜中に目覚めた時トイレに付き添ってくれる上の兄が自分の部屋に忽然といなくなっていたことで始まった。妹は暗い部屋の壁を触りながら、下の兄にトイレへ付き添ってもらおうと移動した。
 扉をゆっくり開ける。すると、こんな奇妙な場面をたまたま目に焼き付けてしまったのだ。

 幼い頃はなぜだろうか。普段と雰囲気の違う、兄弟の、もしくは父と母の苦しそうで、見たこともない行為を見ていると非常に声が出せなくなるものである。妹はしばらくその場で動けなくてその行為をじっと見ていた。
 −−トイレなんて朝すればいい。早く寝ないと。見てはいけない。
 妹は恐ろしさがピークを達し、足音を立てない程度に速走りし、自分と上の兄の部屋に戻った。布団をかぶり、なぜか笑いたくなった。だがその笑さえも堪えて必死に目を瞑った。1分がまるで10分のような感覚に感じた。


 朝になると、案の定、おねしょをしていた。上の兄は隣で寝ていた。まるで昨日のことが夢のようだった。だが、おねしょをしたということはやはり夢ではないということだと妹は幼いながらも感じていた。
 そして兄も布団の微妙な湿り気具合に目を覚まし、妹を怒っていた。

 二人の兄は朝食に居合わせても別にこれといって変わったところはなかった。怯えるでもなく、かといって痛がっている様子もなかった。妹だけ、とても恥ずかしかった。
 兄二人は小学校へ行き、妹は、家でお留守番をした。母も父も仕事でどこかへ行ってしまった。妹はトイレに行き、ポーッと夜のことをうろ覚えにもやもやと思い出した。ティッシュで尿を拭き取る時、透明の変な粘ついな液体がついていた。


 夜になり、その日はなぜか眠れなかった。目を閉じても一向に眠れず、あの不思議で気持ちの悪い光景がずっと頭をちらついていた。
 −−いつもならもう寝ているのにな。
 こんなことを思いながら目を閉じていた。

 後何時間かたつと、ベッドの軋む音がした。足音がする。ドアを開いて、閉じて、また歩いて、開いた…。

 妹はなんとなく察していた。またあの変なことをするんだ、と。妹は興味と恐怖に苛まれながら、間をおいて自分もベッドから降りて、兄たちがいるであろう部屋に向かった。
 薄く軋む廊下。電気がついてない廊下に少し恐怖におののく。
 下の兄の部屋の前に立った。扉のノブを少し触り、押す。

 やはりそこに2人がいた。
 …2人とは、もちろん一緒に風呂も入ったことがある。だが、その時あの下の兄に出し入れしていた尖った物体は見なかった。女性の自分のように何もなく、むしろないものだと思っていた。それなのに…。

「…お兄ちゃん」

 妹は勇気を出して聞いてみようと思った。何を聞くのか? そもそものことを全く頭に思い浮かべてなんていなかったわけなのだが…。
 兄達は驚いていた。なぜこんな時間に妹が起きているのか、いささか不思議ではあったのだろう。だが、上の兄はすぐに冷静さを取り戻した。

「お兄ちゃん達は昨日から何をしているの?」

 妹にそう聞かれた兄たちの表情は強張っていた。下の弟は恥ずかしそうに黙り、もじもじしていた。

「カービィもやってみるのサ?」

 言ったのは上の兄だった。下の兄はひどく驚いたようで、「正気かィ?」と上の兄に問いただしていた。

「まだ“とお”も超えていないんだヨォ?」
「僕らも大して変わんないじゃないのサ。いつつかむっつ程度だろ?」
「そりゃそうだけどサァ…」

 上の兄は妹を呼び寄せ、そのまま弟の布団の上にのぼった。

「いいかい、これからすることはパパにもママにも内緒なのサ。言ったらきっとひどい目にあうのサ。分かった?」

 上の兄は妹の頭を撫でながらそう促した。妹はこなかった方が良かったかもしれないと少し後悔したような気がした。

「これはオトナになる行為でね、僕たちは学校で習ったのを丸々真似たのサ。だから。僕たちは子供だけどもう大人! つまるところ儀式だネ」
「チョット痛くって苦しかったけど、慣れたらなんてことないヨ。なんだか異物が体を出入りしてるなーってくらいでネ」

 2人の話を聞いてると少し興味が出た。
 −−オトナ。
 それは、小さい頃の少年少女が早くなりたいと願ったもの。そのオトナになることができるんだと妹は少し感動した。兄達は昨日の奇妙な行為のゆえに、自分より遥か上の大人の層に一夜で登ることが出来たんだと、憧れたようにさえ思えた。

「僕も…オトナになりたい…!」
「そう慌てなくていいのサ。じゃあ、手取り足取り教えてあげるのサ」


 上の兄は学校のみんなから嫌われる原因である奇妙な翼を生やし、妹の足の間を触った。ヌリヌリと滑ったものに、兄も少し驚いたようである。

「あれ、おかしいのサ? 昨日マホロアでやった時はこんなの出てなかったのに。すごいのサ!」
「ワ、見してみしてー! …ほんとだ。ぬめぬめの液…糸引いてるネェ〜。マルクが言ってた授業どおりだヨォ」
「…、おかしいな。僕たちの時はこのままチンチンがでてきたのにカービィはでないのサ。なんでかなー?」
「サー?」




 細かいところは割愛させていただくよ。一応…子供だからね。要点を話した後、また本筋に戻させてもらうことにしよう。

 兄と妹たちは、兄たちがが通う学校で学んだ性教育を自分たちの体を使ってどんなものなのか。昨夜の兄たちだけのセックスの真似事を妹も交えてやってみた。性教育ビデオは小学生に対してはあまり細かく細かくは説明されないため、陰茎をはっきりどこへ入れるのかわかりずらい。だから兄たちがやったあのセックスの真似事も、『穴があったから』それで処女膜が破れて、大人の一歩にのし上がることができたものだと考えていた。(実際は尻穴が避けて血が出ていただけ)
 しかし、昨夜と今日は違い、妹が加わり、そのセックスの真似事も兄たちの間に疑問ができた。はっきりとしたところ、穴がまず二つある時点で不思議に気づく。一方は不透明な液体が垂れ、一方は昨日自分たちが挿入れた穴と似た箇所。これではっきり男女の体の違いを知ることができた。ある意味、それはとても学べる良い一瞬だったのではないかと誇らしくも思える。
 だが、その後の行為はあまり褒め称えてはいいものではなかった。兄達はその後に一連の行為をやってしまったからだ。それも、スキンなど無しで。彼らはその快感を求めて幾度も射精し、妹の胃の中も口も子宮も。全てをその得体の知れない液で充した。一応子供だから良い––の、かもしれない。
 だが……。





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