小説

□1+(1+α)=3
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 深夜に教会のベルが鳴り響く。眠る愚民共はその音色に夢の中で拍手を送り、おめでとうと二人の幸せを祝う。そう、これは僕と君と牧師(嘘)という、寂しい寂しい教会で行った僕と君の結婚式でした。



1+(1+α)=3




 町のはずれの一角、古くてボロボロの建物がある。中には木の芽や雑草が生え、長方形の長い椅子が六個(招待された観客はいないとのこと)、割れたステンドグラスの破片が落ち、とてもじゃないが裸足で歩いたら足がズタズタに切れてしまうかもしれないような状態の微粒子、幸い残っていたステンドグラスはたった二枚(当初は八枚あった)。神に願をかける人間の少女のステンドグラスと悪しき敵を倒した伝説の勇者のステンドグラスだ。

「わかる?あの2枚目のステンドグラス…。君をモチーフにしたものだって」

 悪戯っぽくマルクは笑う。月の光がステンドグラス越しに輝いて床に色とりどりの模様と彼の影が映る。涙を浮かべて怒鳴ろうにもゥゥーッ、としか唸れない。…口に猿轡か何かをされているらしい。手は布でキツく縛られ、ろくに身動きさえできない。ただ一つ自由に動くのは足にロープは縛られていない。
 

「僕は結婚式のあげかた、あまりよく知らないけど…、一応マニュアルは読んできたからさ、僕の言うとおり動いてね☆
 かぁびぃ…」

 マルクは普段と変わらず何食わぬ顔で僕を見る。

「なぁにノンキに寝っ転がってるのさ、もうすぐ式が始まっちゃうよ?」

 クスクス笑いながらマルクはうで(羽?)を伸ばし、猿轡の間に爪を引っかけバッグのように持ち上げられ、逃げることを許されなかった。

「ん゙〜!!ぅう…っ〜…」
「なに?…ああ、嬉しいから暴れてるの?うふふ、分かったよ。早くケッコンしよーね。クスクスクスクス…」

 じたばた動いても離してくれそうにない。マルクはズタズタに引き裂かれたヴァージンロードを踏みながら壇の前に立つ。そこからハァーイと上機嫌な声が聞こえ、卓の下からひょっこり現れた。

「ヤァ、カービィ!しばらくぶりだネェ!クケクッ…、マルクがカービィを娶るって聞いてさ、僕、飛んで来ちゃったヨ!で、僕が君達の見届け人として、役目を果たすから。安心してネェ、カービィ…」

 マホロアは笑顔だけど、どこか悲しそうに僕にオメデトォと嬉しくない祝いの言葉を贈る。
 ……僕は知ってるよ。マホロアはきっと僕が好きだったんだ。でも、何故か僕の同意無しにマルクは僕を自分の物にしようとしてる。マホロアはマルクの友達だ…。多分マホロアは心が痛いと思う。好きな人を指をしゃぶりながら見てるのだから、それも友人という親しい人に取られるんだから…。
 ふつふつと何かがこみ上がってくる。
 口の中にくい込んだ布を噛み切る思いで歯を食いしばる。

「…ジャア、これから手っ取り早く式を済ましちゃうネェ。…、マルク。キミは…カービィをちゃあんと…死ぬまで幸せにすル?」
「当たり前なのサ」
「…カービィ、キミは…マルクを死ぬまで愛するノ?」

 その言葉と同時に猿轡をしていた布が切れ、落下して僕は腹を打った。マルクは予想外の展開に慌てふためく。

「カービィ!…さぁあっ、僕が好きだと言って、愛してると言って?そんだけの質問でオシマイだからさ!」

 僕を逃がすまいと必死に爪や羽で押さえつけながら…はい。と答えろと要求しる。何故そんなにも必死なのかは全く分からなかった。…ただ、度々マルクがマホロアの方に振り返り、何かを合図しているようにも見えた。…そして…、マホロアはそれに拒否したのか左右に首を振る。それがなんなのか、気になった僕は悪戯がてら小さめに呟いた。

「…わかったよ、マルク…。」
「へ?」

「僕は…イヤだよ。マルクと死ぬまで一緒に…なんて。心臓がいくつ在っても足りないしね」

 できるだけマルクを傷つけないように柔らかく拒否した理由を話した。マルクは暫くは硬直していたものの、突然ふふふ、と含み笑いをし出し、爆発したように腹を抱えながら笑い出した。

「キャーッハハハハハハハハハハハ!!いやぁ…負けた負けた!こりゃぁ僕の負けなのサ。完全なる敗北敗北♪ヒャハハハ…。
 …今度の賭けはマホロアの勝ちだネ。じゃ、約束どーり、半分こにしようか」

 は?僕は後ずさりする。マホロアは賭けに勝ったからか、とんでもなく上機嫌に話し出した。

「やはりカービィは君を拒絶すると思っタァ。…ブラボーブラボー!アハハハハ!」

 いまいち状況が掴めない。ただ呆然と立ち尽くす僕に二人は振り返りにこにこ笑いながらこういう。

「僕達ネェ、君に賭けてたんダ。"YES"or"NO"を」
「君が僕とケッコンする、で、オッケーならカービィは僕のもの。で、イヤなら半分こってワケなのサ」
「え…?ね、ねぇ?はっ…半分こって何?ま、まさか…」

 体を半分切ってそれぞれが貰うって…のじゃないよね?

「違うヨ〜、何?カービィってば、そんなプレイが好きだったノ?」

 マルクなら大喜びしそうだネェ!と無邪気に笑う。え?…何この状況…。

「簡単に言うとネェ〜…。君は僕とマルクのオヨメサンになるの!フフフ…!」

 ムードは一転してほんわかしたものになった(気がする)。この暗い廃墟と化した教会を忘れ、二人の敵に苦笑いしか浮かべることができなかった。

「あ、あはははは…これ…、結局マルクは一緒なワケ…?」
「ああ、それが心配ナノ?だから僕も一緒になったげるんダヨ〜。そうそう!マルクが変な真似事をしないよう僕が見張っておくの。ネ?」
「ネ?じゃないのサ。全く…」



 ステンドグラスに射し込む光はいつしか僕を照らし、二人の紳士(笑)が目の前にたっていた。

「カービィ」

 二人は声を合わし、こう言った。

「僕とケッコンしてください」

 もちろん僕は断った。











 ネタ構成?しててもアレンジ加えて行きすぎてどっかにとんでっちゃうんだよ。オチ?なにそれうまいの?





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