小説

□基本、晴れのち曇り。時々雨
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 ヒトカゲ(主人公で♀)は自分に生えているしっぽの火を見て思った…。

(これは…人間だったとき思ったことだけど、ヒトカゲのしっぽの火って触っても熱くないのかしら?)

 非常にどうでもいい。
 でも…ヒトカゲには今どうしても気になってしょうがない。試しにパートナーであるワニノコに検証の手伝いをして貰うことにした。

(あのね、私のしっぽに水をかけてほしいの)
「ええっ?!み、水を?…ぼぼ、僕はいいけど、君は本当にいいの?…よく分かんないけど、痛いかもしれないよ?」
(平気だよ。だからお願い、みずでっぽうをこの火にかけてくれない?)
「うう…、わ、わかったよ!でもそのかわりに、絶対怒らないでね!?」
(わかってるって。…じゃあ、おねがいね)

 ワニノコは意を決してヒトカゲのしっぽの火に水を吹きかけた。
 …さて、ここで問題を出します。もし、あなたの髪の毛がすべて瞬時に引き抜かれる。または片足にものすごく熱い熱湯をかけられた場合…。
 どうなりますか?

(うオアアアアア!!なっ何すんの!)
「ええええええええええええええっ?!ひがグゥッ!?」


 不幸にもワニノコはヒトカゲにラリアット(プロレス技)をくらわされ、DDT(プロレス技)それプラス、コブラツイスト(プロレス技)までワニノコは締め技をされぱたりと後ろに倒れてしまった。
 …ヒトカゲは相当な痛みと強烈なダメージに耐えきれず、こんなことをしてしまったのだろう。

(あう…、タンスの角に小指をぶつけるくらい痛すぎる…!
 …ああ、いけない!ワニノコ、ごめんなさい!私ったらつい…!…ワニノコ?)

 ワニノコはすっかりのびてしまい、きゅう…と言い目を回していた。

(………そうだわ!)

 ヒトカゲはまた良からぬことを考えつき、指を鳴らしワニノコをひこずりある場所に移動させた。



「あら?いい香りがしますね…。誰か厨房にいるのかしら?」

 チリーンはふわふわと移動しながらその香りが漂ってくる方…、厨房に向かう。
 基本野菜や果物といった植物系を扱う厨房に、久しくくつくつと茹でるような音と肉の茹でられる香ばしい香りがする。

「邪魔にならないかしら…?ごめんください、誰か厨房を使ってますか?」
(あっ、チリーン!ごめんなさい。厨房を使わせて貰っているわよ)
「あら、ヒトカゲさん。いいのよいいのよ。気にしないで。あんまりにもいい香りがしたから誰か使っているのかと思って…、よかったわ。その火を焚くところ、全く使わないから壊そうって話が出ていたけど…使ってもらえるなら安心したわ。
 ところで何を作って…」

 大きな鍋に水をいっぱい入れ、何故かしら自分の尻尾の火で湯をたぎらわせている。その中にぐだぁっと湯船に使ったようなワニノコの姿がそこに…。

「きゃあああああいあああああああ?!ちょっ、馬鹿ですかヒトカゲさんん!」
(え?な、なにがですk)
「冗談も程々にしてくださいよ!ワニノコさん、大丈夫ですか?!」

 チリーンはシャドーボールをして鍋をひっくり返させいやしのはどうを繰り出し見事ワニノコを救出した。流石です。

「ワニノコさん!生きてますか?」
「う…、…?あれ?僕確か…DDT受けて気絶していたような…?チリーン、何でここに?」
「…………(ワニノコさん、ヒトカゲさんに茹で殺されかけてたの気づかなかったのかしら…)えーとですね、その…」

 言いかけたとき足(尾?)みたいなところからチリチリと音が聞こえた。勿論、風鈴のような綺麗な音ではない。そう、まるで燃え上がるような灰色の煙をそこからたちあげ、赤々と光り輝く炎が少しずつ本体(顔)に向かいメラメラと燃える加減…
 簡単に言おう、ヒトカゲがチリーンに背を向け鍋を片しているとき、不注意で尻尾をチリーンの足(尾?)に灯してしまった。
 みるみるうちに炎は燃え上がり、すぐに炎は顔にまで行き着き、驚愕の声を上げた。

「キョワァアアアアアアアア?!自慢のなんか垂れ下がってるやつがあああああ!!」
「垂れ下がってるやつ?!
 ああああ、チリーン落ち着いて!その…顔って紙じゃないでしょ?なら大丈夫だよ。ね?」
「…ワニノコさん、風鈴の作り方、知ってます?」
「え…、さあ?」
「まずですね、竿にガラス種を取って吹く また巻き取って吹く、穴をあけてまた吹く竿から切り離しておしまい」
「せ、説明が雑すぎる!!…つまりはどういうこ…」

 ふにゃあっと真っ赤になり落ちた。ちょっと!まてまてまてぇー?!ガラスってかなりの熱じゃないとこんなんならないよね?じゃあ、ヒトカゲの尾って…、

 ワニノコはさーっと青ざめて厨房から飛び出し地上に躍り出た。やばいって!あんなのだったの?ヒトカゲの火って何?死ぬじゃん、まともに食らってたら!よくあの寝床、燃えなかったよね?むしろ感動するよ、火事にならなくて本当に良かった。ひぃいい!

 いまや自分のしっぽの火で試したいことだらけのヒトカゲはワニノコの後を追いかけ、たちまちにたかがしっぽの火如きでギルドに火をつけ逃走していった。

(ワニノコ待って!)

 今やただの放火魔と化したヒトカゲはさんざん森の中、草木の中と走り、火種を散らしていき森をあっという間に火の海と変えていった。

「わぁああゃあ!な、なんか終わった!もうこの世界オワタ!」
(あ、居た。ワニノコみーっけた♪)

 自分はハシャいでるつもりでも世界を困惑させる一部となっているのにはまだ気づいていない。翌日、森から町からギルドから、焼き野原になり、ヒトカゲは鬼畜にもワニノコをつれてどこか遠いところで自分のしっぽの火の実験対象として連れて行き、現在行方不明となっている。
 ちなみに原因と思わしきこの二人は探検隊から追放され、ギルドのお尋ね者(SS級・賞金100000000)として全世界に張り出されていることを、この二人は知らない。

 そして我々も、今後ヒトカゲのしっぽの火の行方も、追っていくつもりである。








 一言、意味不明。







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