小説

□イノセントな存在
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 恋は盲目なんて言うけど…、見える物もたまにはあるはず。
 たとえ目を縫われ耳を潰され腕を両断されようと、口が生きてる限り愛なんて叶うはず。
 じゃあもし口を縫われ足を切られ心臓を奪い取られたら?
 ………まぁいいか。心臓なんて奪い返せばいくらでも手にはいる。…手に入らないときは入らないけどね――



 今朝から頭が重い。僕はタンスにあった体温計を手に取り、体温を測る。

「…37.5度…」

 微熱。
 昨日風邪をひくようなまねしたっけ?…してないな。うん。

 とにかく今日は家で寝ていよう。おとなしく寝てればすぐに直るだろう…。

 扉をノックする音がした。…誰だろう?

「…だれ?鍵開いてるから入っていーよ…」

 タオルみたいな平べったい布団の中から声をかける。扉の開く音と風の匂いがふわっと入ってくる。それに乗せられたように心地の良い大好きな香りがする。眠気も一瞬にして消し去るその香りに、僕は焦がれた。

「…全く、不用心だな」

 入ってきたのはメタナイト。起き上がって声をかけたかったけど、頭がくらくらして起きあがる気力と動作ができない。仕方ないから布団を少しはぐり、笑顔を見せるだけにした。

「…やぁ、…どうしたの?」

 喉に支障はないみたいで声は普通に出る。わざわざ家に来てもらったのにお茶一つと出せない自分が情けない。

「………?昨日カービィが言ったじゃないか。『明日の正午、話があるから僕の家に着てね』と…」

 そんな約束したかな?僕は曖昧にうーんと言葉を濁らせ、考える。
 メタナイトは少し困ったように僕の顔を覗く。

「あ、…近づかない方がいいよ。何か、いつの間にか風邪引いちゃってさ…。
 うつしちゃうと悪いから…その…、
 全く覚えてないなぁ、約束…」

 僕はハハッと小さく困ったように笑う。が、次第にしどろもどろになり、小さくごめんと呟く。メタナイトは気にするなと言うが、迷惑かけただろうなと思い、また沈黙になる。

「………、私が看病しよう」
「…え?」

 今、一瞬メタナイトが笑っていたような気がする…?
 …でもまぁ、仮面越しだから分からないし、きっと気のせいだと思うけど…。

「確実とは言い難…いや、確実に要因は私にあると思う。だから…、私に看病させてはくれないか?」

 その要因を教えてほしかった。が、僕の了承を得る前にメタナイトはテキパキと僕の身の回りのことをこなしてくれる。部屋の掃除から昼食…、わざわざ川にまで行って冷たい水で濡らした布を頭に乗せてくれた。

「そ、そこまでしなくてもいいよっ…!そのくらい僕、できるからさ…っ」
「病人は何も心配することはない。これはされて当たり前なのだからな」

 僕の言葉を聞き入れる気はないらしい。
 仕方ないから僕は言われたとおり布団に潜り、冷たい布が少しずつ体温で温かくなるのを感じながら三度目の眠気と戦った。

「カービィ、これを…」

 声を聞いてはっとし、すぐさま起きあがった。同時に頭がくらくらし、立ち上がる力は全くなかった。メタナイトが僕の傍に来て紅茶のような何かを渡した。とても甘い香りで…赤い透明な飲み物…。

「…?これは何?」

 僕が訪ねるとメタナイトは薄く笑いながら一歩下がって答えた。

「これは私が特別に取り寄せた薬を含んだ煎じ薬だ。…遠慮はいらない。飲みなさい」

 不思議な赤い色をした薬湯が甘い香りを漂わせながらふらふらと中で回る。
 何の疑いもなく僕はその薬を飲み、ほんのりと香りよりぐっと押さえた甘味を味わった。

「ありがとう。…おいしいね、コレ。
 …もう一杯ダメ?」
「やめておいた方がいい。これは効果があまりにも強すぎるから…本当は星外流出禁止のモノだからな。手に入れにくいんだ」

 …星外流出禁止?
 それを聞いて二つの疑問が生じた。

 たかが風邪の一つ二つでそんなモノ使うのか?ということと…
 まるで僕が風邪をひくと見据えていたかのように用意していたような手っとり早さ。

「…深夜、また様子を見に来る」

 その言葉を聞いたとき、ゾクリとなるくらい僕を欺いたような眼差しを送られ、急激に深夜が来たら何かあると思い、猛烈に不安になった。



 予想は的中した。
 深夜零時、体が熱くて熱くて仕方がない。熱が上がってきたのかと思ったが、どうやらそうではないみたいだ。

「あつぃ…っ、なにこれっえ…?!」

 よく分かんないけど自分の自身がどうやら熱を集中しているらしい…。これをなんていうのかな…、あぁ、自慰ってどこかで聞いたっけ…。正直恐ろしくて、恥ずかしくて何度か躊躇したが、情はそう簡単に押さえられずに、手をそっと自分の主張するところに持って行き、手を動かした。先走りがぬるぬるし、厭らしい音を奏でる。

「ひぁっ、な、なんなのぉ?なんなのこれぇえ…!?」

 背筋がゾクゾクする。気持ちいい、気持ちーよぉ!?頭ン中余計真っ白になって何も考えらんない。小さな声で喘ぎながら僕は手を休ませることなく自慰に勤しむ。

「あはっ、あぃああっ…!だめらめやえぇぇ…っ!イくっ…イッひゃうのっ、やらぁあっ…!!!?」

 何処からか入ってきた隙間風の愛撫に僕は思わず悲鳴にならない叫び声をあげて達してしまった。何とか手の中で納めることができ、あまり部屋の中に被害はなかった。…突然の嫌悪感。
 僕は手に着いたどろりとしたそれを見て顔を覆いたくて仕方なかった。入ってくる月の光が僕を見てる。

 …………ぇ、………ひっ?!なっなんで?

 まだ体が熱い、どうして?

「…くくっ、薬が効いているようだ…な」

 僕は後ろを振り返り、そこにメタナイトがいるのを確認した。

「めっ…めたぁ…っ…!」
「どうした?私が来たのが…嬉しいのか?」

 質問する気力さえなくなった。今の僕は風邪をひいてる、それに、自慰行為を行ったが故達して疲れている。体も熱がこもりっぱなしで解ける気配はなし。
 逃げる体力だってもうなかった。

「な、何を僕に飲ませたの…?……もしかしてあの変なくす…り?」
「ああ、強力な媚薬だ…。星の戦士言えど、やはり3gも入れたからまだまだ効果は続いているみたいだな。私を押し退け逃げような力なんて…、あるはずがないだろう?」
「っ…、あ、あるもっ…ね、ねぇ、もうやらぁ…、もうやめてぇっ!…気持ちいいのに…耐えらんないよぉ…お?」

 上手く呂律が回らない。涙目ながらに訴える。するとこんなことをメタナイトが呟いた。

「どうだ?どうやら熱中して自分を慰めていたようだが…快感に浸れたか?」

 体がぐつぐつ煮えるくらい熱くなる。まさか…聞かれてた?

「あんなはしたない声を出すなんて…ヤらしいな、…カービィ?」

 メタナイトは仮面を外してそこらに置き、軋むベッドに上がり、ぐんと顔を近寄せてくる。僕は顔を真っ赤にさせ、嫌々と後ろに手を突きながら拒否した。

「…何がイヤなんだ?誘っているんだろう、その目は…?」
「ちっ違う…!そんなわけ…っ」
「だったら何だ?これは…?」
「…っ?!ひぁあっぅ?!!!」

 ぐちょぐちょの僕の自身をメタナイトが掴み、焦らすように指をくるくる撫で回す。

「っひ…あぅっ…はぅう…やめ…ぇ…っ」
「やめる?ほぅ…?こんなに張り詰めさせて、やめてほしいのか?」

 メタナイトは僕の自身に顔を近づけ、つぅっと裏筋を舐めた。
 薬の効果あってか僕は涙を流しながら狂喜に見舞われ、体のつま先からなにからを微振動させてすぐに頂点にイき、白い熱を吐き出した。しばらく硬直して、身動きがとれなかった。チロリと舌を出し笑い、顔に白濁の液がかかった彼を見て呪縛からさめた。

「ひぁっ…あっ…ご、ごめんなさ…、僕、何か体が…ぁ…っ、い…ごめんなさ…」
「くくっ…。勿論、こちらも身体で返してもらうんだ。謝る必要はない」
「…っ?!…へ…?」

 僕の体を倒し仰向けにし、メタナイトの顔についた白濁の液を拭い、少し舐め、僕の恥部に撫でるようにつけ颯爽と自分の自身をあてがう。

「っひぃっ…?!やっ、やめてっ、僕イヤだっ!そんなおっきいの入んないって!イヤだぁ…!」
「…そう言う割には、身体はずいぶんと正直だな。…早く私と一つになりたいのか、ソコがひくついてるぞ?」
「―…っ?!!!」

 恥ずかしいことを涼しい顔をしながら言うから余計に体が熱くなって頭がくらくらする。そういえば僕、風邪ひいてるんだよね?…明日絶対悪化してるよ。こりゃ…。

「入れるぞ?」
「えっ?…っやっだから…、はいら…、……っ!?」

 ずんっと思い切り突いてきた。僕は痛いはずなのにまた絶頂に達し熱を自分の腹の上にぶちまけた。

「―――っ?!!!ぃっ…ひぅあ…??」
「っ、少しきつい…な。動かすぞ」
「…!…や、やだぁっ!今イったばかりだから無理っもう気持ちぃのいやぁあ!」

 僕の言葉に耳を貸すことなくメタナイトは情事に営んだ。結合部から卑猥でヤらしい音をぐちぐち鳴らし、僕はそんなことで感じる今の体から逃げ出したくてしかなかった。

「…ひっ…ぁ…やらっ…めたぁあ…っ!!」
「本当にカービィははしたないな。…!…良いことを考えた」

 にやっと口角を上げ、自分の懐からハンカチを取り出した。そしてそれを僕の自身を縛った。

「ひゃああああ!!!?」
「これならイきたくてもイけないだろう?」

 僕の中に出し入れしながら笑う。僕はハンカチに手を差し伸べ解こうと試みたが…それよりも素早くメタナイトが僕の両手を掴み、僕の抵抗を阻んだ。

「や…っ、……っ?…ひぁうぅ?!」

 途端に体が跳ね上がる。何で?よく分かんないけどさっき…
 メタナイトは不適に笑い、何かを呟きまた同じところに突いてきた。

「ひぁあああああっぁあ…っ?!!」
「ん゙っ…!なんだ?どうかしたのか、カービィ」

 コイツ…わ、ワザと凄く気持ちいところに…?
 にやにやしながら連続で何度も同じところに抜き差ししてくる。悲鳴のような喘ぎ声を上げながら達することのできない体を何度も恨む。

「ん?どうした…、イきたいのか?」
「あっあぅ…死んじゃうっ…、死んじゃうよぉっもおダメぇ、解いてっ解いてぇえ!」
「…ハァっ…ハァっ…どうするかっ…な…?」

 白々しく呟き、解く気はないみたいだ。
 僕は幾度か懇願するが彼は全く無視し、余裕なさげな表情で動きが少しずつ遅くなっている様を見ていた。

「…っ、めひゃあ…!イきたいよぉ、無理っ、苦しいよっぉ…!!」
「…っく…ハアっ、流石にもう耐えられないっ…なぁ…っ!…ハァ…。カービィ、一緒にイってくれるか?」
「…!うんっ、イくから!お願いだから早く解いてぇえぇ…!!」

 若干ヘロヘロの状態のメタナイトが僕の自身に結んでいたハンカチを解いた瞬間、背中にビリビリと電気のようなモノが走り、ゾクゾクと体が痺れる。

「んはあぁっっ!!キてるぅ!もぉ我慢できにゃい…!めひゃぁ…っ」
「んぐっ…!出すぞ…カービィ!」

 腰をがっちり掴まれ僕の中に熱い液が入ってくる。無意識に目がぐりんと上を向いて全く何がどうなってんのかわからない。
 お腹の中が温かくて気持ちよすぎる。反対に自分の溜まりに溜まった白濁の熱を大量に吐き出して疲労感が襲いかかる。

「あ゙…ぁへ…ひぁ…あ゙……」
「…はぁ…っ、はっ………、カービィ…今日は泊めてくれないか?」
「…っ、ふっはぁ………、…いーよ…」



 暫く深呼吸をし高ぶる気持ちを押さえつけ何とか理性を取り戻した。
 二人の欲望を吐いた布団を剥ぎ、ベッドの下から新しい布団を取り出し二人密着して布団に潜り込んだ。

「ごめんね…これ一人用だから狭いでしょ?」
「いや、カービィが小さいから余裕がある。
 …カービィ、すまなかった。薬なんぞ使った荒い手でその…犯してしまって…。
 体はもう大丈夫か?」
「うん。やっと治まってきたよ。
 でも、なんで僕にこんなことを…?」

 攻める気なんて全くなかった。メタナイトはそれは…、と口ごもりながら何かをもごもご呟く。

「メタナイト…?」
「…昨日、したかしてないか分からない約束を教えたのを覚えているか?」

 随分とくぐもった声で訪ねてくる。

「ああ、僕が家に来てって言った?」
「…実はあれは…嘘だ」
「ぇ?ぇえぇええ?!そ、そうだったの?」

 わざとオーバーに驚いてみる。メタナイトは正直に悪いと思っているのか、真剣な顔をして天井を見ながらコクリと頷いた。

「あと、風邪の要因も私は関係なかった。今日のお前に合わせて言った口からのデマカセだ」
「そうだったの…」
「それに…、弱っている分だけ、私はお前を襲いやすいと思ってな」

 悪戯っぽく笑って僕を見る。
 僕は軽く口を膨らませ怒ったようにしてみせるけど、逆に可愛いとバカにされているみたいなので反対を向いて目を閉じた。

「カービィ」

 声をかけられ、振り向かずにはいられないそんな性格だから、文句の一つ二つを頭に思い浮かべながら何?と呟き寝返りをうつ。

 ちゅっ…、と優しい、甘いキスをしてきた。僕は当然真っ赤。

「…っ!バッバカぁあ!!」

 優しくほっぺを叩き、また反対に向いて目を閉じた。メタナイトは布団をかけ直し、僕を包み込むように抱きながら呟いた。

「愛してる」

 それが無垢な僕にはその大人びた言葉が恥ずかしくて余計に眠れそうもなかった。









 今回はいい感じにまとまった!?わははーい♪疲れた… 




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