小説

□死ぬまでトモダチ
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※3500hitキリリク 「メタカビ←マル」でカビのタヒが見たい





 世の中には境がある。
 例えるなら金持ちと貧乏とか…、殺される家畜と生かされるペットとか…、数え切れないくらいたくさんたくさんあるのサ。
 そんな境を打ち破るのは愛だどうだ金がこうだと偽善者の軽い気持ちの叫びに比べたら…
 僕の気持ちはそんな奴らなんかよりずっと重いダロ?

 君はバカだから…ワカラナイんだろうけど(笑)



 最近僕はよくこのプププランドによく訪れる。モチロン目的は一つ。カービィに会いに来たんだ。
 でも尽(ことごと)く失敗する。いつもべったりと体の一部みたいにカービィの横を占領してるアイツがとても邪魔なのサ。
 …メタナイトめ、僕がずっと前にココに来たとき僕を見るなり追い払おうとその剣で斬り払おうとしてきやがった、…正義の英雄気取りなのか?ケケケッ!

 空をふわふわ漂いながら僕は下界の奴らを見下しながらカービィを探す。
 ピンク色の影が木の葉の間から微かに見えた。案外簡単に見つかったナ…。

 僕は近くにメタナイトがいないか警戒しながらそっと地上に降りる。珍しい、今日はいないのサ?…まあいいや。

「…カービィ♪」

 反吐が出そうなくらい優しい声でカービィに近づく。本当ならかっさらって自分のモノにしてしまいたいくらい…だが、その衝動を抑え、木陰のカービィの顔を覗く。

 …眠ってる。とても気持ちよさそうに…。でも、僕が声をかけたせいで夢の世界から引き剥がされたらしい。少し不愉快そうに声を漏らしながら目をこする。

「…?
 あっ、マルクだぁ!」

 嬉しいなぁ、感激の声を受けるなんざないもんね、それもカービィからだなんて、本当に嬉しいよ。

「カービィ、遊びに来てやったのサ!」

 笑いながらそう告げるとカービィは顔を綻ばし、横をとんとんと叩いて僕に座るよう無言で命じた。
 何となく周りを見渡し、どかっとカービィの横に座った。

 特に会話もなく、流れる風と一秒ずつ過ぎる時間を感じながら木陰で遠くをぼーっと見つめた。

「マルク」

 カービィは僕と同じ方向を向きながら名前を呼んできた。

「なんなのサ」
「マルクは僕のこと、どう思ってる?」
「は?」

 何を問いかけてくるのかと思ったら…、どう思ってるかだって?

「そりゃあ僕は…」

 君を殺しても良いくらい大好きだよ。

 …なぁんて言えない。
 だから僕は口を閉じ、逆に質問する。

「…カービィは…どうなのサ?」
「えっ?ぼ、僕?」

 逆に聞き返されるとは思わなかったのだろう。カービィはほんの少し戸惑っているのか小さな声で疑問形式の単語をちびちびと漏らしていて言葉になっちゃいない。仕方がない、話を少し外そう…。

「なら、いつも隣でくっついてるメタナイトは…どうだい?」
「え?な、ななな、何でそこでメタナイトが入ってくるの?!」

 あたふたしながら急に顔を真っ赤にさせ恥ずかしがっている。…カービィはアイツが好きなんだよな?…ホント、死ねばいいのに。

「いいじゃないか、さ、どーなのサ?」
「…スッゴく大好き…。だって、ね?恋人って…いうのだし」

 嘘だァあっ?!聞かなきゃよかった。聞かなきゃよかった。あぁああ。う。
 急に吐き気に似たものが襲ってくる。イヤだ、何かが喉につっかえてる。イヤイヤイヤ。吐いたらだめだ。これは吐いちゃだめ。

「へ…へぇ…、なら僕は?」

 あはぁはあはあ。少し吐いちゃった?

「そりゃあモチロ……、…!」

 横から風を切られ、カービィの体が持ち上がる。抱き寄せてる。あのコウモリみたいな羽…、なんだよ、メタナイトの野郎か。

「め、メタナイト?仕事じゃなかったの、今日?」
「………、心配でな、とても胸くそ悪い奴がカービィの近くに居たのを城から見えたもので…」
「城からって…ここから一キロくらい離れてるよね…」
「てめぇ…!!」

 ああ嫌だ嫌だ。カービィは何でこんなイヤミな奴を選ぶの?僕をなぜ選んでくれないの?

 僕から見ても腹が立つ胸くそ悪い奴から愛しのカービィを引き剥がすべく、茨を土中から生やし、突き刺すように割り込むように茨をカービィとメタナイトの手と体の間を上手く突き刺し、ほんの少し破いたり体を切る程度にしてメタナイトのてからカービィを落っことさせ距離を離した。

「痛っ…!」
「っつぅ…、…!カービィ!!」
「…っ、めたあ!!うぁっ?!」

 僕は羽を広げ、その爪でカービィの片足を掴み取り、持ち上げた。

「へぁっははははっ!なんだよ、恋に浮かれて油断してたのか?案外お前ってチョロいなぁ?けっひぁあっははは!」

 自分でも変な笑い方をしていると思いつつカービィを僕の目の前に持ってきてじっくり珍しいものを見るかのように眺める。

「まっ、まるく!止めて、何でこんなことするの?!」

 やっぱ君はバカだから僕の気持ち分かりっこないのか。あのときの吐き気はなくなり、優越感を感じながら足を余計に強く握りしめ、苦痛に歪む君の顔を拝み、僕はとっても喜んだ。

「やっぱいいなぁあ♪
 どう?楽しい?嬉しい?僕は君と遊んでるだけだもんね、悲しいなんて理由はないよね、怖いなんて意味はないよね?くひはは…、はひゃあはあひゃ!」

 あれれ?自分でも何言ってんのかわかんなくなって来ちゃった。まあいいか、メタナイトの野郎は僕の負わせた傷で飛ぶのがやっとみたい、なんたってあれには毒が入ってるもんなぁ♪あ、でもカービィにも少し入ったかな?まあいいよ、じっくりじわじわ死んでいく姿の方が僕は好きだもん。

 カービィはメタナイトに手を伸ばして何度も彼の名前を呼んでいる。その中に僕の名前なんて一度も入っていない。ああもう嫌だァ、嫌だなああ。

「うっせぇなぁあ!黙れよぉお!」

 激情につられて僕はカービィの体に鋭く尖った羽の先を右足と右手の間の身に突き刺した。

「わぁああああああああああああああああっっ?!!!」
「カービィ…!くそっ…!!」

 メタナイトは自分の体も危ういくせしてまぁだカービィの心配をしてる。いい加減しつこいんでやめてほしいのさ、そんなドラマみたいな「恋人ごっこ」。

「ひっうっ…いたい、いたいよぉ…!お願いだからマルクぅ…やめて…おかしいよこんなの…」

 おかしいわけあるカヨ。ちょっと身が裂けたぐらいで大袈裟なんだから。
 カービィの足片方を掴んでいた爪を離し、突き刺したまま宙ぶらりんの姿のカービィを嗤う。カービィはもう一踏ん張りに声を発した。

「ねぇっ…、まるく………、僕たち友達でしょ?」

 は?

 瞬間僕の空いてるもう片方の手が勝手に君の体を貫いた。
 ひゅうと空気の漏れる音が聞こえると同時に君は目を閉じ、僕の目の前で息を絶えた。

「…そんなはず…あれ?えへへへ…」

 手を二本カービィの体から引き剥がすと鮮明な血飛沫が飛び、重々しく体が落っこちた。
 メタナイトは体をひこずりながらカービィの元へ行き、傍に引き寄せ、頭をなでていた。

「…っ、……大丈夫…、私が居るから、安心しなさい、今からそちらに行くから…」
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!!!!
 こんなっ…こんなハズじゃなかったんだあああああ!」

 友達が不満だったのかな?僕自身でもワカンナイ。
 メタナイトは僕に対して何も言わない、そんな…、何か言ってくれヨ?お願いだから教えてくれ!僕は一体自分でも何を間違えたのかわからないんだ。

 せっかく友達って言ってくれたのに、贅沢をした僕。馬鹿だ。もう友達失格。
 僕は何も残らなかったこの一本の木がそびえるそんなに高くない丘の木陰で、

 初めて死んだ友を恨んだ。








 雪蚕様へ
 私にはこれが精一杯でした…。
 気に入って下さると嬉し……やはりゴミ箱に捨てといて下さい。悲しい。





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