小説

□僕の日
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 デデデ城の大広間に行くと銃声に似た音がたくさんなり響いた。でもおかしいな、僕は銃弾で撃ち抜かれたワケじゃない。血も出なければ痛くもない。
 かわりに紙吹雪やカラフルなテープがあちこちに飛び交い、僕の頭の上にふってきた。

「えっ?!な、何?」
「カーくん、お誕生日おめでとう!」

 誕生日…?
 そういえば、4月27日はそういえば僕の誕生日だ。

「みんな…僕のためにわざわざ??」

 クティク、アドレーヌ、シャドー、デデデ、マホロアにマルク、ダークとリボンちゃん、それにメタナイト…。

「カービィ、今日はぱーっと盛り上がりましょう!どこかのロングSSだとかストーカー仮面キザ野郎だとかは放っておいて!」
「…………リボン、それは私のことか?」
「…メタナイト、あまり気にするな。そもそもの原因は書き手だ。喧嘩なら奴に言え。それに…管理人は何故私たちの誕生日はつゆ知らず、カービィだけ祝いの物を書くんだ」
「知らん」

※最近知りました。

 僕はアドレーヌに連れられ、特等席と呼ぶに相応しいデデデの椅子に座らされた。ふわふわして背が高くなったような気分だ。少し嬉しい…。

「カーくん、まずは私からプレゼントだよ」

 アドレーヌは自分の特長と言えるべき緑の箱に赤いリボンをした長方形の大きな物…。
 僕は右斜めにいるアドレーヌにちらりと目を向けると、にっこり笑い返して「開けて」と少し恥ずかしそうに言った。正面を向き、机の上に置かれたプレゼントのリボンを取り、包装紙を破かないように丁寧に剥がし、白い箱を開けた。
 中には金色の額縁がついた真っ白な何も描かれていないキャンバスだった。仕切りのされた横に油絵の具と七色に光る綺麗な筆が添えてあった。

「あはっ…私お金なかったからこんな物しか買えなかったんだ。でも凄いんだ、これ。私の祖国にしか売ってないとても貴重なカンバスと絵の具と筆でさ、描くと私の能力みたいに実物に変化して出てくるんだ!」
「凄い!た、食べ物は描いたら出てくるの?」
「ふふっ、そう言うと思って食べ物専用絵の具を買ったんだ。例えこわーい怪獣を描こうが、ゼロツーを描こうが、…戦うことも出来るが、食べることも出来る!力は100分の1程度だから、何処かの悪い大王様が盗んで使ったところで何も出来ません」
「なっ、ワ、ワシに言っとるのか!このガキ!」
「誰もアンタになんか言ってないよ、デデの旦那ァ♪くくっ…」

 ゼロツーなんか描きたくも食べたくないけど…それは凄い。実はもの凄く高かったんじゃ…

 続いて僕の前にダークが来て、ポケットサイズの一pにも満たない薄い白の花柄がプリントされた包装紙に包まれた物を無言で渡した。恥ずかしいのか、目を合わせようとしない…。僕も無言で開けると小さくて綺麗で可愛い鏡が入っていた。ふたがついてたてらせることが可能の、ふたのデザインがステンドグラスという…。

「…どういう物がいいのか分からなかった。すまない…」

 なんとなく、彼なりに必死に頑張って探したのを頭に思い浮かべると、綻びと温かい何かが気持ちいいくらい僕の体を包んだ。

「とても嬉しいよ。こんな綺麗な鏡をくれるなんて…、ありがとう」

 曇りのない笑顔で感謝の意を伝えるとまた恥ずかしそうに向こうを向いてしまった。なんだか貴重な一面を見れたようで、それこそ嬉しい。
 次にリボンちゃんが…、………。

「カービィ、はい!」

「…リボン…!」

 赤色のチュチュくらいある大きなリボンを、そのまま僕に手渡してきた。箱等に入れて形が崩れないようにと思ったのか。だが、少しよれてしわが少し出来ている。

「私、カービィに赤と凄い色のどれがいいか迷ったんだけど…やっぱり、お揃いの赤にしたの!」
「凄い色?!…な、何色なの、それ?!」
「何なのかしら…?オリーブと群青と茶色と朱色を混ぜて二で割ったような色をしてたわ。もしかして…そっちのがよかった?」
「いやいや、こっちで十分だよ!!うんうん、よく赤のリボンをプレゼントに選んできてくれたね!ありがとう!」
「…?泣くほど嬉しいの?そんなにリボンがほしかったのね。よかったわ」

 この日何故か天然ボケをかましてくれたリボンちゃんを軽くするーし、次のプレゼンターを見た。
 …うわぁ…。

「カービィ!お誕生日オメデトウねぇ!ハイ、これプレゼントだヨォ!」

 青い箱に黄色のリボン。至って普通の見栄えだが…一応、いただいておこう。

「マホロア、ありが」

 ヴ〜…ヴヴヴ、ヴ〜………
 音と一緒に微妙に箱が揺れている…。

「あの…いらない」
「えー?何でだヨォ?」
「絶対ヤらしいこと考えてるでしょ?」
「考えてないヨォ、僕は極端にカービィが【自主規制】で【自主規制】なことをして、それで【自主規制】を【自主規制】ってしてアナルに突っ込…あ、【自主規制】に突っ込」「おせぇよ」

※マホロアくんはクティクとメタさんがイタめつけてくれました。ヴーと変な音がマホロアくんの下半身から聞こえるのは気のせい☆

 次はシャドーが僕の目の前に来た。が、携帯を取り出し何処かに電話をし始めた。

「だから二百箱!…そう、カービィの家の前に。…じゃ、明日までによろしく」
「…?」
「カービィ、悪いな。明日にならないと届きそうにないかもしれないけど…」
「プレゼント?」
「そっ、なんと…マキシムトマトを二百箱、頼んだぜ!」

 二百箱も?!流石は片割れ、僕の好きな物をよく知っている。

「でも、どこにそんなにお金があったの?」
「ははっ、国王様の金庫をちょっとイジらせていただいて…な」
「な、なに?!まさか…10'000'000なくなっていたのは貴様が?!い、今すぐ返すぞい!」
「残念だが、手元にはもうねぇよ。先払いしてるからねーだ」
「…ぃいっ!?ぅくうぅ…」

 デデデが肩をがっくりと落とし、うなだれているのを横目にクティクが僕の前に来た。

「私からはこれだ」

 差し出されたのは銀色に輝く鋭い刃を持った剣だった。

「それはダイナブレイドの堅羽と私の翼をブレンドした刃零れしにくく、切れやすく堅いとても良い剣だ。どこぞの形状の悪い宝剣を扱う奴より性能がずっといい優れ物だ」
「なにっ、貴様…!!私を愚弄する気か!」
「もとより、私は宝剣は切るために扱うものではなく飾り、鑑賞するものであると思うているのでね。失敬したな、だが、それでもなおやり合おうというのなら、これはカービィに差し上げたものだ。カービィと戦うことになるぞ?いいのか?」
「…くっ、…覚えているがいい…!」

 何、このヒト達………。
 お次にさっきまで愕然としていたデデデが自信満々気にのしのし偉そうに歩いてきて、咳払いを一回して片手を上げた。

「あー、ワシはお前に何もやるつもりはなかったぞい!だが今日突然気が変わってな、特注のケーキを用意したぞい!感謝するがいい!」

 天幕がかかっていた向こうからウェディングケーキくらいの高さはあろうイチゴがたくさん乗っかった甘そうなケーキをワドルディ達が台車に乗せて持ってきた。

「………ドッキリ?中に魔獣とか入ってんじゃないの?」
「なわけあるかっ!これはワシがスポンジからクリーム、何もかもイヤイヤ作ったんだぞい!凄いだろ〜?」
「イヤイヤなら作らなきゃいいのにねー?そもそも、作ってないんじゃないの?」

 デデデが鼻を高くして自慢をする傍ら、アドレーヌが腕を組み、ワドルディの一人に笑って問いかける。

「そんなわけないですよ。大王様、ああやって強がりを言っていますが、厨房にいるとき一生懸命スポンジの作り方のマニュアルを何度も見て失敗してはやり直し失敗してはやり直しを繰り返し、クリームも少し形が崩れていますが、大王様が少しでもカービィに喜んでもらいたいと思い、頑張って形を整えたり絞ったりする姿を、僕は見ていましたよ」
「なぁ…っ?!ば、バカ言うな!そんなワケないぞい!」
「素直になりなさいよアンタも〜…」

 笑ってるようにも少し怒って見えるアドレーヌを横目に、僕は顔を真っ赤にさせたデデデをみる。そうかぁ…僕のためにこんな…。

「デデデ」
「な…なんぞい、カービィ!」
「僕のためにこんなおいしそう…いや、おいしいケーキを作ってくれてありがとう」
「…?!ワ、ワシはなにもしてない!もう話しかけるでないぞい!」
「…素直じゃないわねぇ…」

 僕はデデデにありがとうを伝え、ケーキを頬張った(一口)
 味は…不味かった。が、言わないでおこう…。

 次は…

「カービィ、僕からのプレゼ「チェーンジ!!!!」
「激しく同意」
「青頭巾がアレならコレもきっと(嘲笑)」
「マルク、カービィに手を出すな。変態」
「管理人はマルクはペドだと思っているぞ」
「変態なのか、あの道化師…」
「カービィはやるかクソボケャアア!」
「(ボソッ)死ね…」
「ベレー帽、チビ、堕天使仮面、変態キザ仮面、ペンギン、灰色、傷物仮面の順でテメェらなんなんだぁ!?僕まだ何もしてないだろぉがぁっ?!」
「存在自体アンタはもう終わってるわよ」
「黙れクソアマ!!」

 ただの暴徒と化したマルクに僕はとりあえずまあまあ、と声をかけ、何とか落ち着きを取り戻させた。

「マルクはマホロアとお友達だけど…、同じ物を買ったなんてことないよね?」
「当たり前なのサ!そもそも僕は買っていない、手作りなのサ」
「へー、そんな事できるんだ…」
「バカにすんな。僕だって技術力は達者なのサ。ほら、どーぞ」

 差し出されたのはシンプルな灰色の箱。

「わあ、ありがと」

 ヴッ、ヴヴー、ヴヴヴ、ヴー…

※マルクくんはクティクとメタさんがイタめつけてくれました。ヴーと変な音がマホロアくんの横に倒れたマルクの下半身から聞こえるのはこれもまたもや気のせい☆


 さて、最後は…

「…メタナイトさんか。青頭巾と道化師みたいなマネはしないでしょうね?」
「バカを言うな、あんな奴らと私を一緒にするな」

 アドレーヌは(一応)肩書きが変態キザナルシのメタナイトに警告をし、薄い目でメタナイトを睨みつける。

「しかし何故アドレーヌはカービィの保護者のようにいちいち口を挟むんだ」
「いいじゃない。あんたもカーくんの保護者の役になりたいの?ちなみに席を譲る気はないよ」
「…表に出ろ、貴様とは一度ケリを付けたかったからな」
「女相手に大人気ないね。負ける気がしないよ」

 この人達(特にアドレーヌ)喧嘩する為に僕を祝いにきたのかな…。正直分からなくなってきた。止める気だって更々なくなってしまった。

「メタナイト、わざわざこんな奴と喧嘩をするために来たのではなかろう。…素晴らしい締めを見せていただこう」

 クティクが仲裁をし、二人の間に割って入る。

「私あいつ嫌いなのよ!口出ししないで、ギャラくん!」
「メタナイト、このじゃじゃ馬娘を引き止めておくから、先にプレゼントを渡せ」
「…、う、うむ」

 クティクは暴れ狂うアドレーヌを縄で縛り、そのあたりの適当な柱にくくりつけていた。
 一方、メタナイトは右斜め下を見ながら懐から少し大きめの…どこにしまっていたのかわからない黄色い楕円形の縦三p幅十何pかはある箱を取り出した。

「あ〜…、その、なんだ。…お前を思って特注で小さめに作った。私を思って毎日使ってくれたら嬉しい…」
「メタ…」

「ブー、ブ、ブブブ、ブー」

 ……………。
 一同は口を紡いでただ悪魔のようなその視線をメタナイトに向けていた。

「メタナイト…、まさかお前までそっちに行くとは…見損なったぞい」
「…は?」
「"特注で小さめ"って…うっわぁあ………引くわぁ…」
「何だ、その厭らしい発想は!?」
「…お前もずいぶん落ちたようだな…。そこまで落ちぶれていたか」
「ギャラクティックナイト、その意見同感だ。どうだ、今から奴を切り刻まないか?」
「了解した。私のランスの餌食となってもらおう」
「なっ…?!は?」
「毎日使うって…カービィを淫乱ド変態野郎にしたいのか?!この変態調教ドS野郎がぁ!!!?みんな、かかれーっ!」

 誰も彼もが怒り?に身を任せメタナイトをフルボッコにし始めた。メタナイトも何か叫んでいるが、群衆の叫びと罵声にかき消され何を言ってるのかさっぱり聞き取れない。
 だが、これはあのマホロアとマルクが持ってきたアレとは全く違うことに僕は気づいている。
 あの音はアドレーヌが口でわざと発した音だ。

 罪なきメタナイトはフルボッコにされるなか、僕は傍らでプレゼントの中身を確認した。その中にはメタナイトの仮面が入っていた。だが、彼の仮面にしては小さすぎる。これは僕の大きさに合わせて作ってくれたものだと、先程のメタナイトのセリフでわかった。

(みんな………)

 僕は目から涙を流しながら、今の光景を見て大笑いした。








 一 日 ず れ た
 俺の愛はこんなもんか?!違う!違うよなぁ!?
 カービィ誕生日オメデトウ!!結婚しよう!毎日一緒に寝てあげる!すぐそこ山があるから探検しよ!筍生えてるよ!




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