小説

□ギャラッド彗星は一億年前から輝いているのか?
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※6000hitキリリク (メタ+ダメタ)×カビ





 黒い雨は何時しか止んで、鬱病患者のように真っ青な大空にはだらけた雲が退屈そうに浮かび上がり。灰色をした太陽はうまく息が出来ずに喘いでいる。
 鏡の奥にはそんなことを全く知らない幸せそうな顔をした少年が一人、私と同じ姿をした男とこちらに向かう様子を見せている。少年は自分の体とは比較的巨大な荷物を背負い、笑顔で歌を歌っている。男は、その様子を傍らで見て自分も手伝おうとちょくちょく何度も手を差し伸べるが、少年はそれを許さない。一度とその体に負担がかかって息を荒げて苦しむ様を見せていようが、休憩したり荷物を放すことはここにつくまで一つもなかった。

 移動して、ここは鏡の国から少し離れた立ち入り禁止区域とされる木一つ生えていない草原に到着した。夕暮れ時、彼らの姿はまだ見えず、その場に立って、本日何故呼ばれたのかを考え、雲を眺めた。
 少年と男が着いた頃はもうあの腐りかけた林檎のような太陽はとっぷりと暮れ、空は死人の色と化し、雲も光に飲み込まれて何処かに消え去り、金色に輝く月が死者たちの上を跨っていた。

「はぁ〜、疲れたぁ!」

 少年…カービィは、目的地に着くとやっと今まで抱えていた荷物をどさりと置き、それを背もたれに腰を掛けた。

「だから私が代わると言ったのに…」
「えへへ、このヘトヘト感が達成したなぁって気分になるんだもん。少しの苦労もホニャラララ…だよ!」

 カービィは笑顔でそう言ってみせる。私は荷物に目をやり、今日何故ここへ来たのか、問うことにした。

「今日は何を目的にここへ来た。この集合場所も、一般普通の民がここへ来てはいけない特殊な土地に…。それと、私を何故呼んだんだ」

 先日のこと、カービィが鏡の国に来て私に例の立ち入り禁止区域の所へ来るよう頼んで来た。私は最初断ったが、「暇なんでしょ?」と一言、図星を言われ、断念して行くことになってしまった。

「ここってさ、何もないでしょ?…わぁ、雲が浮かんでないなんて、嬉しいなぁ。これなら今日はよく見えるよ」
「…何をする気だ」
「天体観測だよ」

 天体観測…?
私は空を見上げ、かなりの数の星が浮かんでいることを改めて認識した。

「なぜ今更天体観測…」
「私が発端みたいだ。少し前にカービィに星を教えたのが間違…興味が出たらしくてな。自分の目で見たくて陛下の天文台からこっそり拝借してきたのだと…」

 このガキ…わざわざ面倒事を自分で発掘しておいて人に任せる気か?

「僕ね…どうしてもこの三人でこの綺麗な空を見たかったのも理由の一つなんだ」

 カービィは空を見上げ、何かの星を探しているようにも見える。

「…何をしているんだ」
「…メタが教えてくれたんだけど…あれ?ないのかな…。ダーク、『スピカ』って知ってる?」
「スピーカーなら知っているが…。何だ、それは?」
「…何か…メタが知っててダークが知らないって不思議な感じがするね」

 カービィはその愛らしい笑顔をこちらに向け、クスクスと笑う。私はカービィが笑っているのを知らないふりをして、空を見上げた。

「カービィ、あの大三角、見えるか?レグルスの横だ。先日教えただろう」
「…?…あ、あった!…の、どれだっけ…」
「左上からアルクトゥールス、牛飼い座だ。右がデネボラ、獅子座だ。そして下に光り輝くアレがスピカ。乙女座だ」

 メタナイト…奴が物知りな分、カービィの興味は奴の方に引かれている。…先程みたいに、彼に笑顔を向けてもらいたい。
 私は頭をフル回転させながら過去に学んだ天文知識を少しだけ思いだし、カービィの名を呼び、こちらに振り向いたと同時に

「知っているか?乙女座と牛飼い座は春の夫婦星とも呼ばれている」
「め、夫婦…て、なんでなの?」

 そのまま納得して私を見直して笑ってくれるかと思いきや、カービィは逆に質問して返してきたことに私は戸惑った。そんな細かいとことまで知るわけがない…。

「そ…それは…」
「スピカはアルクトゥールスと隣同士の一等星という縁だからだ。スピカは女、アルクトゥールスは男とされている」
「へぇ…!やっぱりメタは僕の知らないこと何でも知ってるね…!」

 カービィの笑顔はあっけなくメタナイトにまんまと取られてしまった。私がくっ…と身を縮め、その背中を睨んでいると、メタナイトが目だけをこちらに向け、にまりと得意気で腹の立つどや顔を向けてきた。

「きぃっさまぁ…!!」
「だ、ダーク、どうしたの?そんな怖い顔して…」

 メタナイトにくっついていたカービィがメタナイトを軽く押しのけ、私の前によってきた。心配そうに顔をのぞき込み、少し困っているようにも見える。

「何でもない。お前は優しいな…どうだ、この『春の夫婦性』を期に、私と夫婦にならないか?」
「はっ…!?へ?」
「待て、『せい』がおかしい、『せい』がおかしいぞ貴様。それと、どうあってもカービィをお前のところに行かすものか。私の嫁だぞ」
「よ、嫁?!」

 嫁という言葉を聞いて思い出した。そうだ、確か…

「…カービィ、ワープスターに乗って流星のように空を渡ってくれないか…?」
「流星って…流れ星のこと?何で?」
「…、この地域では滅多に流れなくてな…。偶には見たくなるのだ」

 嘘だ。
 星の嫁入り。流星のことを言う。昔何処かの何かの誰かから聞いた流星の和名。

「う〜ん…じゃあ、今度ね?今日はのんびりしていたいし、二人とも変なこと言うし」
「変なことではない。あっちはそうだが私はきっちりとした素晴らしい論理だ」

 …バカバカしい。もう構うのは止めにしてやる。カービィ自身もどうやら分かっていないようだし、好都合だ。

「あ、流れ星…」

 きらきらと目を輝かせて言うお前の姿を見ていると…、偶にはこう言うのも悪くないと思えてきた。







 自分事などで遅れに遅れてすみません。土下座をしようにもお詫びしきれないので垂直立ちしか私には出来ません…(泣)
 締めが悪すぎて鼻水が出そうです。というより既に出てます。

 星についての提供…ジハード様

 ちなみに題名と内容はほぼ全く関係ないです(笑)頭に思いついたのを適当に書いたので(殴)



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