Song

□サイレン
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いつもと何も変わらない日々なのに



今日は違った



突然なまえが俺の家にきたから



最初は嬉しかったのに玄関の扉を開けたらなまえが悲しそうな顔してたからそんな気持ちが消えた




『隆太…突然押し掛けてごめんね…??』

「大丈夫、とりあえず中入り??」



ありがとうと一言言って入ってく




「今コーヒーいれるわ」




キッチンに行ってケトルに水入れてる時



ちらっとなまえを見たら



なまえの頬に涙が流れる



でもそれを気づかないフリをして ガス栓を捻った




「何かあったん??」

『ん??何にもないよ、隆太に会いたくなって』


にこって無理して笑うなまえにこっちまで辛くなる



泣いてる理由なんて大方予想ついるくせに聞こうとしてるなんて



俺は性格が悪い





「そー言えば、なまえ彼氏おるんやっけ??」

『…ううん、いないよ』







でもそれでも嬉しかった




欲張ろうとしてしまうとなまえを苦しめることしかできない




なまえとは高校の時に音楽で親しくなった




実は言うとなまえに出会った瞬間一目惚れした




一目惚れなんてする柄じゃなかったはずなのに強く惹かれるもんがあった




でも結局今でもただ想い焦がれるだけ




好きな人にさえ好きと言えない





沸き立つ想いがもう火を消せと





鳴らす警笛




その音にハッとなって慌てて火を消しに行き




2つのマグカップにお湯をいれてく




「はい」

『ありがとう』




インスタントのコーヒーだけど今日は妙に上手い




『隆太こそ彼女いないの??』

「え??俺??」

『うん』

「彼女なんておらんよ」

『えー、嘘つかないでよ』

「嘘ついてどーすんねん笑」

『ずっと??』

「おん」





なまえが好きやねんから彼女なんてできるわけない



いつだって…



傷つけず誰も愛せやしない



皮肉なもんだな




求めてるのはなまえの本当の笑顔だけなのに




それが一番観れなくて




『なんか隆太に話したら落ち着いた!やっぱ友達はいいね』

「…おん」




なまえにとって俺は友達の対象



これからもずっと



言葉は心を隠すためじゃない



せめて伝えられないなら



いつでも俺は涙を包む風になるよ




なまえが幸せであるように





この願いだけは止めないから






イレン




End。。。

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