Song

□キャラメル・ソング
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茜色に染まった午後のこと―



隆太が荷造りをしてる



あたしの彼氏でありお互いを良く理解し合える大切な存在



隆太が東京へと上京する



そう


明日は君の旅立ちの日





東京の人に隆太たちのバンドが認められて上京することになった




あたしだって嬉しい



認められてたんだって…






でもやっぱ―――





「なまえ?」

『え?』

「どーしたん?具合でも悪い?」

『ううん、大丈夫』






言えないよ…



隆太に「寂しいから行かないで」なんて



口に出したらきっと困っちゃうから




すぐ逢える距離じゃないし




『荷造り終わったの?』

「おん、あとは明日を待つだけ」





そう嬉しそうに笑う隆太にいつもはあたしも嬉しくなるのに



今日は切ない





『この部屋も隆太いなくなっちゃうね』

「そうやな」

『ここからライブ行く用意して行って帰って、2人でご飯食べて…』



君とここで過ごした思い出は全部


ずっとあたしの宝物なの






『隆太はここ離れるの寂しい?』

「寂しいで?でも夢やったから、東京で音楽やんの」

『そうだよね…』




あたしだけなのかな?




こんなに隆太と離れる事を寂しがってるの





「だからさ」

『?』

「そんな泣きそうな顔すんなって、俺まで泣きそうになるやん」





ぎゅっと抱きしめてくれた




隆太の腕の中で泣いた






こんなに涙が出るのも



こんなに愛おしいのも




可笑しいくらい君が好きなんだ





「俺、なまえと離れるのいやや、だから時々逢いに行くから…」

『う、ん…』


ポロポロ涙が目から落ちてく




「もう泣くの終わりにしようや、な?」




あたしの頭を隆太が微笑みながら優しく撫でてくれる



涙を拭くあたしの手が隆太の手にそっと触れた



その瞬間だけでいいから伝わらないかな「サヨナラ。」って





直接言えば辛くなる




2人で見る窓の向こうには綺麗な夕日



「綺麗やな」

『本当だね』





ぎゅっと握り会う手と手に



信じた夢は動き出す



君をずっと忘れないよ



甘い夕空がとけてゆく




隆太、



頑張ってね?




東京でも笑えるなら



あたしは心から手を振るよ






ャラメルング



End。。。
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