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□カフェラテにお砂糖を。
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-N Said-
和「名無しさん。今日、翔ちゃんに会える?」
翔ちゃんと鮎川さんが仲良さそうにしてた現場から離れたところで名無しさんに聞いた。
名無しさんは首を横に振った。
和「じゃぁ、翔ちゃんに用事できたとか何とかってLINE送りな。今日会えないって。メンバーにも話合わせてもらうから」
『うん…』
和「よし、じゃぁ俺もう終わったから飯食いに行こう」
そう言ってまた名無しさんの手を取って楽屋へと向かった。
昔から名無しさんが落ち込んだりすると必ず手を取って一緒に帰った。
今回はタイミングが悪かった。まさか2人が話してるところに名無しさんが見てしまうなんて。
その証拠に結構落ち込んでる。
楽屋に戻ると俺は身支度して名無しさんにもバッグを持たせた。
雅「あれ?2人とも帰んの?」
和「うん、翔ちゃん戻ってきたら名無しさん用事できて帰ったって言っといて。」
智「名無しさんちゃん、どうかした?」
和「何か具合悪くなったって。俺送ってくから、じゃぁね」
メンバーにそう言ってテレビ局を後にした。
和「名無しさん、何食いたい?」
『…ハンバーグとお酒が美味しいとこ』
和「あんたも本当ハンバーグ好きだよね笑」
『和より好きな自信あるよ』
和「えー?俺の方がいいの好きだわ」
俺がそう言えば名無しさんが笑った。
良かった、少しは笑ってくれて。
そのあと2人で名無しさんの要望通りハンバーグと酒が上手い店に行った。
『翔ちゃんのバーカ!!』
酒が入った途端、翔ちゃんの愚痴が出るわ出るわ笑
今頃くしゃみしてるんじゃないかってぐらい笑
『何かさ、』
和「ん?」
『翔ちゃんと日向ちゃん見た時、お似合いだなって思っちゃった…。悔しいけどそう思っちゃった…』
そこからポツポツと話始める名無しさん。
『テレビでね?2人が映ってるテレビとか見たの。その時もそんな風に思ったけど実際見ちゃうとダメだね。前の先輩の時もそうだった』
和「先輩?」
『ほら、1番最初に付き合った人。あの時も学校で実際2人でいるとこ見て負けたって思った。翔ちゃんの隣にいれるのは先輩だなって。』
そういや、あの時もそうだった。
名無しさんと2人で昼食べに屋上へと向かう最中に見てしまった。
2人で手を繋いで仲良さそうに歩いてる姿。
名無しさんの落ち込み様っていったらすごくてその時も動けない名無しさんの手を取って屋上に行ったのを覚えてる。
和「まだ分かんないじゃん」
『え?』
和「まだ2人は付き合ってない訳だし、逆転ホームランできるんじゃない?」
『逆転かぁ』
和「そこで諦めたら試合終了ですよ」
『あ、安西先生!笑』
名無しさんが好きなスラムダンクの安西先生の名言を言えば笑顔になった。
笑ってる名無しさんの顔をムニッと引っ張った。
『なひしゅんのー(なにすんのー)』
和「名無しさんは笑ってた方がいいよ」
名無しさんにそう告げれば笑ってた顔がみるみる赤くなる。きっと照れてるんだ。
『あひはと…。てひゃ、いいはへんはにゃひてふれひゃい!?(ありがと…。てか、いい加減離してくれない!?)』
和「んふふ、ごめんごめん。」
もーって言いながら頬を手で摩っていく。
『和はさ、』
和「うん」
『あたしが落ち込んでる時は必ずいつも一緒にいてくれるよね。それ超能力なの?』
真顔でそんなこと聞いてくるから思わず笑ってしまった。
『そんな笑うことないじゃん!』
和「くくっ、ごめんごめん。うん、超能力かもね?」
『そうやってバカにしてー!』
和「お前から言ったんだろ?笑」
超能力なんかじゃないよ。いつも、いつだって名無しさんのこと見てたから。
名無しさんが好きだから気付けてるんだ。
君が落ち込んでる時に傍にいるのは当然のことだって思ってるから。
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