ピエロと電脳世界
□9 兄さんの正体
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今朝はなんだか早く起きれた。
エシェロスに起こされる前に起きるなんて初めてじゃない?私。
今日はなんかいいことあるかも!!
『おはようカンナちゃん!!起きて!!・・・・・・って』
「起きてるよ!おはようエシェロス」
『カンナちゃんが1人で起きるなんて・・・・・明日は槍が振るのかしら』
「そりゃないぜエシェロスちゃん!!」
『冗談よ冗談!!おはようカンナちゃん!』
「エシェロスの冗談は時折冗談に聞こえません」
『え?なんて?』
「なんでもないよエシェロスちゃん!!」
笑顔がまぶしくて直視できないぜエシェロスちゃん!!
『もしかしたら今日なにかいいことが起こるかもね』
「だな♪」
エシェロスと会話しながら着替えて朝食をとる。私は朝はそんなに食べないので、ホテルのバイキングはあまり利用しない。
朝食を食べ終り、今日の予定を話し合う。
「今日はどうしようか」
『ネット内はあの掲示板の書き込みの所為でしばらくはいけないわ』
「んじゃあやっぱ外から情報収集していこうかね」
どこに行けば兄さんの情報が手に入るか。
「なるべく近場がいいんだけどなぁ」
『そんなわがまま言わないの』
「すんません」
結局午前中は話し合いだけで終ってしまった。話し合いに5時間も使ったのか私等は。
「取り敢えずお腹がすいたのでどっか食べに行こうか」
『そうだね』
いつもの鞄に財布と手帳、小型パソコンを入れて肩にかける。PETを腰のホルスターに装着したところで部屋のチャイムが鳴った。
「はい、なんでしょうか?」
<お客様に会いたいという方がいらっしゃっております>
「私に会いたいって・・・・・?」
私日本にはあんまり知り合いいないんだけどな・・・・。
とりあえず誰かを確認するために部屋のドアを開ける。
そこにいたのは
「やっと見つけたぞ」
なんと伊集院炎山でした。
私は急いでドアを閉める。ホテルマンの人が「お客様?!」とかいってるけど気にしない。
ドアに鍵をかけて反対側の窓を開ける。
ここは5階だから結構な高さ。
『ちょ、ちょっとカンナちゃん!!なにするつもり?!』
「なにって・・・」
飛び降りるんだよ
『駄目だよ!!この間は3階だったからまだ良かったけど、ここは5階だよ?!下手したら死んじゃうわ!!』
「しくじらなきゃいいんだろ?」
綺麗に着地すれば問題ない。
『だって、でも危険すぎるわ!!』
「このままここに居たらオフィシャルにつかまるんだぞ?!」
『そ、そうだけど・・・!!』
「大丈夫、上手くやって見せるさ」
私は窓枠に足をかけた。
そして勢いをつけて飛び降りた。
ん〜この浮遊感ww
2回目はやっぱ慣れるな。
このホテルの前はあまり人が通らないので、昼にも関わらず人通りは少ない。
もうすぐで地面。着地の態勢をとる。
しかし、私の足は地面に着くことはなかった。
「え・・・?」
ふわりっという効果音がふさわしいだろう。
私の体は何か温かいものに包まれた。
「このまえの蹴りといい、今のダイブといい。君は思いがけないことをするな」
苦笑いで5階から飛び降りた私を受け止めたのは、昨日の緑のオフィシャルだった。
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