ピエロと電脳世界
□10 昔ばなしをしよう
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名前も無く存在も失いかかっているわたしを拾って何になるのだろう?
どうしてこの子はそんな事言うの?
『・・・・・・・・・・・・』
「もしきみがわたしを信じてくれるなら、わたしがきみの存在を証明してあげる。きみは“ここにいるんだ”って事をわたしが宣言してあげる」
『・・・・・・・・・・・どうして・・・・・・・』
どうしてそんな事を言うの?
「無理強いはしないよ。きみが嫌がることはしたくないから。人間に捨てられて簡単に人間を信じろだなんて言わない。きみが好きなようにしていいよ」
・・・・・・・・・・・どうしてそんな、
優しいことを言ってくれるの?
『わたし・・・・・・・・・・・・・・存在・・・・・・していいの・・・・・・・・?』
「この世に生まれたんだから、いいに決まってるよ」
『でも、わたし・・・・・・・・・デリート・・・・・・されかけたし・・・・・』
「それは人間の勝手な都合だよ。きみを生んだ人はきみが必要だと思ったからきみを生んだ。そして今はわたしがきみを必要としている」
『!!』
「生きる目的が無いんなら、わたしの為に生きてみない?」
『え・・・・・・・?』
カンナちゃんの・・・・・・為に、生きる・・・・・・・
「きみにまだ生きる気力があるなら、わたしがきみの存在意義になる。わたしがきみを守ってあげる。きみに生きて欲しいから」
『カンナちゃん・・・・・・・・・』
生きて欲しいだなんて、一度だって言われたこと無い・・・・・。
言われたことは、“役立たず”と“いらない”だけ。
「わたしは絶対そんなこと言わない。きみを守るんだ、傷つけるなんてするはずないだろう?」
わたし・・・・・・・わたしは・・・・・・・・・・・・・・・・・!!
『わたしを・・・・・・・・・・カンナちゃんのナビにしてくださいっ!!!!!』
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