ピエロと電脳世界

□10 昔ばなしをしよう
7ページ/8ページ





『ただいま〜』




「あ、兄さん!!おかえりなさい!!」







兄さんが仕事から帰ってきた。兄さんはお昼ご飯を食べたあと、おじいさんに呼ばれたから、科学省ってところに行っちゃったんだ。








『カンナ、ただいま。あの子はおきたか?』




「うんっ!!エシェロス〜!!」




『あ、はい!!』




『エシェロス?』




「この子の名前だよ!わたしがつけたの!!」




『名前が無かったのか?』




『え?!あ、あの・・・・・・その・・・・・・』




「わたしのナビだって印だよ!!」




『!!』




『・・・・・・・・・・・・・そうか!お前、カンナのナビになったんだな!俺はフォルテ。よろしくな、エシェロス!!』




『!!・・・・・・・・よろしくお願いします!!フォルテさん!!』




「エシェロス、フォルテ兄さんはわたしのお兄さんだよ?だからエシェロスのお兄さんでもあるの!!だから“さん”なんてつけなくったって、兄さんって呼べばいいんだよ!!」




『え?で、でも・・・・・』




『エシェロスはカンナのナビなんだろ?だったら俺の妹だ!“さん”なんて他人行儀なこと言うなよ』




「ね?」




『・・・・・・・・・・フォルテ、兄さん・・・・・?』




『なんだ?』




『・・・・・・・・・兄さん!!カンナちゃん、兄さん!!よろしくお願いします!!!』




「うん!!」




『あぁ!!』






































エシェロスがわたしのナビになってから1年が経った。
最初はわたわたしてたエシェロスも大分慣れたようで、今では敬語もとれた。
兄さんとエシェロスと、時々お爺さんと。4人で過ごした1年はとても楽しかった。
エシェロスや兄さんとお買い物に行ったり、インターネットを徘徊したり。


今日もわたしと兄さんとエシェロスで遊ぶ約束をした。




「兄さ〜ん、エシェロス〜。あっそぼ〜!!」



『うん!!』



『あぁ』






実体化した兄さんとエシェロスがわたしのところへ来る。
と、そのとき














―――――――――ピピピピ、ピピピピッ








「ん?」




『メールか?』







兄さんがパソコンのメールを開く。
メールを読む兄さんの顔がだんだん険しくなる。どうしたのかな?





「兄さん、誰から?」




『・・・・・・・・・・科学省だ。すまない、カンナ。呼ばれたから行ってくる。遊ぶのは帰ってきてからな』




「え?あ・・・・・・うん」







兄さんは実体化を解いてパソコンに戻る。






「兄さん!」




『ん?』




「・・・・・・・・・・・・・・・・いや、なんでもないよ。いってらっしゃい・・・・・」




『?あぁ』









兄さんは科学省へ出かけた。
兄さんのいなくなったパソコンの画面を見つめる。






『カンナちゃん?・・・・・どうしたの?』




「・・・・・・・うん、ちょっとね」













悪い予感がするんだ。














ただの勘なんだけど。






































わたしの勘は、よくあたるから。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ