ピエロと黒魔女

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「失礼します。今日転校することになったガレオンと申します」



まさかまさかの課題事項。
人間界での研修1年?それって今年は死神初段を受験できないってことでしょ?
なんで一昨年のパンフレットなんか配るかな死神協会!!
悪霊10000体目倒した時にぬか喜びしちゃっただろ?!



はっ・・・・、最初から愚痴でごめんなさいね?
私はルシファー・ガレオンといいます。王立魔女学校から死神大学院に進学してもう2年経ちます。
今は死神協会主催、死神初段試験を受けるための課題をこなすため人間界に来ています。

さっきのせりふ?あれは、私が今から小学校の生徒になって1年過ごすための挨拶です。
どうして小学校なのかって?質問が多いですね。
子どもの方がなにかと自由に動けるんです。人間界にはインストラクター魔女や死霊などが徘徊していたりしますから、なるべく魔力は抑えておこうと思いまして。

で、私は今日から第一小学校の5年生という設定なのです。
私は今子どもに化けていますから、丁度5、6年生くらいの身長なわけです。


「あぁ君が転校生ですね。ちょっと待っていなさい。松岡先生!!転校生が来ましたよ」


職員室の扉を開けると、眼鏡でちょっときつい感じの男の先生が私をチラリと見て、職員室の奥に呼びかけました。



「君が僕の新しい生徒だね?僕は松岡ゆうぞう、今をときめく熱血イケメン教師だ!!」
「ルシファー・ガレオンと申します。よろしくお願いします、松岡先生」


この自称熱血イケメン教師が私の担任か・・・・なんかやだなぁ。
っと、わがまま言っちゃ駄目だルシファー!これは死神初段試験のため。
1年我慢すればいいんだから!

「ルシファーはアメリカ人なのか?」
「いえ、私の出身はフランスです」
「そうかそうか!!フランスと言えばパリ!パリといえばパリコレだな!!」
「え?あ、はぁ・・・・・」

パリって聞いて出てくるのがエッフェル塔やノートルダム大聖堂ではなくパリコレとは・・・・・。
この男バカだな。
やっぱり入る学校を間違えたかな、私。

「そういえば、ルシファーはフランス人なのに随分と日本語が上手だな」
「私、フランスにいた頃から日本の大ファンだったんです。日本の文化や伝統などに非常に興味がわいて、色々調べたりしていました。日本語はそのときから勉強していたんです!」

私でもまぁよく口が回るものだと関心してしまいます。
あ、これ日本の勉強したところ以外は全部嘘ですからね?

「そうだったのか!!いやぁ、ルシファーは勉強熱心だな!!その調子でこれからの授業も頑張りなさい!!」
「はい!」



松岡先生は話を打ち切ると足を止めた。


「ここが、ルシファーが入るクラスだ!みんないい奴だからすぐに慣れるよ。じゃあ俺が呼んだら入ってきてくれ」
「わかりました」

そういうと松岡先生は教室の中へ入っていった。

この歳で小学校に入学するとは思わなかったなぁ・・・。
服装、おかしくないかな?
私は今、人間の女の子と同じようにパーカーにスカート、靴下に上履きといったありきたりの格好をしています。
これなら当たり障りないでしょう?

「おーい、入ってきてくれ!!」

松岡先生に呼ばれたので教室の扉を開け中に入る。

教室の中は静かだった。みんな此方に注目する。

「転校生のルシファー・ガレオンだ。みんな仲良くするようにな!ルシファー、自己紹介してくれ」


「はい。ルシファー・ガレオンです。フランスから来ました。来たばかりでわからないことも多いと思いますがよろしくお願いします」


松岡先生に促され、自己紹介をする。といっても、あまり話すこともないので早々に切り上げる。
パラパラと拍手がおこり、先生に指定された席に移動しようとすると


「あなたパリから来たの?!」

と、真ん中の前から2番目の女の子が問いかけてきた。

「うん、そうだよ」


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