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□甘美[ダイヤのA](降沢+a)
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「……何してるの?」
「うわっ!!!!」
部活が終わって夕食を食べ終え、風呂に入る為に服を取りに来た降谷は、自室のドアの前で不審な行動をしている自分の恋人である沢村に声をかけた。
突然の声に驚いた沢村は、面白いぐらいに飛び上がって後ずさった。
「な、なんだよ降谷!!…お、脅かすなよ!」
「…僕ただ声かけただけだし、それに何だよはこっちのセリフ…僕に何か用?」
「うっ……」
すると途端に沢村は、視線をキョロキョロと動かして辺りを見回した。降谷はその様子を不思議そうに見つめていると、突然沢村が降谷の手を掴んだ。
「!!」
「あ、あのさ…お、お前に1つ聞きたい事がある」
その行動に降谷が驚いていると、沢村が下からのぞきこむように降谷の顔を見て言った。
上目遣いが心臓に悪い。
ドキドキする。
「……な、なに?」
「……あ、あのな……お前って、俺の事好きか?」
「…………え?」
突拍子もない、そんな一言。
急な質問に固まっていると、聞こえていなかったのかと思ったのか、「だから…」と続けようとした沢村の口を、自分の手で塞いだ。
「待って、ごめん…突然そんな事聞くからびっくりしちゃって…勿論、好きだよ」
「!!……そ、そうか…」
口を塞いでいた手を離してそう言うと、沢村は顔を真っ赤にしながらそう言ってうつむいた。
「…でも、何でそんな事聞くの?」
「………」
降谷はそう聞くが、沢村は答えずうつむいたまま顔を背けた。
「………」
「………」
「………」
「………」
数秒、沈黙が続く。
言うまで待とう、と決めた降谷は、沢村をじっと見つめ続ける。
「……じ、実はさ…」
「!……うん」
するとどうやら教える気になったらしく、沢村がポツリと口を開き始めた。
降谷はそれを黙って聞くことにする。
「…お、俺のクラスのやつがな…」
「…うん」
「お、お前に……かっ彼女が出来たって…ウワサがあるって…」
「……え?」