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□愛しいあの子を奪い合う10題[ダイヤのA](沢村総受け)
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ある日の夕食後、降谷が廊下を歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
その声の主は、自分とバッテリーを組んでいるキャッチャーである御幸と、ライバルのピッチャー沢村だった。
しかしよく聞くと二人は怒鳴りあっているようで、気になった降谷は物陰からヒョコッと顔を出して二人の様子を確認した。
「何なんだよ御幸!!そんなの俺の勝手だろ!!?」
「はぁ?俺はお前が心配で言ってんだろうが」
「別にアンタなんかに心配されたくねぇよ!!」
「いい加減キッパリ諦めろよ」
そこでは、珍しく表情を変えて怒っている御幸と、ギャーギャー騒いで怒っている沢村の姿があった。
「あの…どうしたんですか?」
「あっ!!降谷!!」
降谷の声に反応した沢村が振り向き、そのまま降谷の方へと小走りで向かう。
そんな沢村を見て御幸の顔が更に不機嫌になったのを、沢村は気付いていない。
「聞いてくれよ降谷!!御幸の奴がひでぇんだぜ!?」
「俺は別に酷くねぇよ」
「アンタは黙ってろよ!!」
そんな感じで未だに怒鳴り合いながら、降谷は少しずつ事情を聞き出した。
どうやら、沢村が食後のデザートを買いにコンビニに向かおうとしたら、偶然通りかかった御幸に仕様に止められたらしい。
止めた理由は、この辺りで最近痴漢が出たからだそうだ。