小説部屋

□夜のお楽しみ
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DTOはため息をついて、眉間のシワを揉む。
目の前には正座をする男子が4人。
この修学旅行で、罪を犯した者たちだ。


「うぅ…足…痺れてきた…っ、せんせー、崩しちゃだめー?」

正座に慣れていないらしい、帰国子女タローが涙目で訴える。
隣に正座するナカジが、その足を触る。

「うぎゃっ…ちょっやめて…っ」

「いちゃつくな!叱られてんのわかってんのか!…お前ら、付き合ってん…だよな?」

男同士ながら、周知のバカップルなナカジとタロー。

「あぁ。」
「うん…えへへ。」

表情の変わらないナカジと、照れて笑うタロー。
普段なら微笑ましく思うかもしれない。
しかし今は説教の途中である。

「じゃあなんで、2人揃って仲良くあんな事したんだよ!」

ちなみに4人の罪状は、

のぞき

である。

「俺は、タローに従っただけだ。」
「それにしてはナカジ、ノリノリだったよね!」

「お前らはそれでいいのか!?」

心の底から怒鳴るDTO。
思春期だもん、とタローがぶーたれる。
関係あんのか!?と怒鳴ろうと口を開けた瞬間

「DTO」

とやたらナカジが落ち着いた声で語り始めた。

「DTO、学生時代に彼女いただろ?」
「お…おぅ。」
「その彼女は日本一可愛いかったとする。それでDTOは、他の女への興味は、全く無かったと言えるか?」

タメ口を注意も出来ず、言葉に詰まるDTO。

「全くエロ本を買わなかったか?」
「そんなことない…というわけでもない」
「つまりそういうものだ。」

思春期なら仕方ない、DTOはそう納得しかけた。

「そうか、なら仕方な…くねえよ!あっぶなっ!お前あぶねえ!騙されて許すとこだったわ!」

実行に移すからダメなんだよ!
そう言うと、ナカジは舌打ちをする。
注意する気力もでず、次の覗き犯の取り調べをすむ。

「次!…お前は…そういうことしねぇって…信じてたよ… ソラ」

普段は真面目、星にしか興味がないといった様子のソラも、天体望遠鏡を脇に置き正座している。

「先生!違うんです!僕は天体観測してただけです!…望遠鏡がずれて女湯が見えちゃっただけで!」

「鼻血たらしながら言っても説得力がねぇんだよ!」

DTOは、こんなバカ共のいるクラスを受け持つ自分を恨む。
このバカ共さえいなければ、はじめ達他クラスの担任達と飲めたのに…っと。

DTOが心の中で恨み言を念じていると

「で、オレは?叱られねーの?」

最後の一人がウズウズといった様子で言った。
それをジト目で眺めるDTO。
他の3人より、明らかに小さい外見。
しかし、かなり年上だと知っている。

「なんでいるんだよアンタは!」
「神だから!」

グッと良い笑顔で答えるMZD。
そういえば昼間鹿に神が乗っていたとサユリが言っていた。
ほざけと思っていたがこういう事か。くそぅ。

「てか本当なにやってんだ妻子もち!」
「…例えば、例えばだ。お前に世界一可愛い奥さんがいたとする。」
「俺はもう騙されない!」

耳を塞いで首を振るDTO。
修学旅行での覗きはロマンだよな。という神の戯れ言を皮きりに、覗き犯共の雑談が始まった。

「うんうん、一回はやってみたいよねー」
「まぁやったわけだが…アイツはスゴいな。」
「僕より鼻血たらしてたのに、捕まらないのがスゴいよ。」
「先公が来た瞬間光速だったもんな。神もビックリ!」

それを聞いてDTOは、この場にいない事に驚いた担当クラス一のバカを思い浮かべる。
それを裏付けるかのように、4人が異口同音に、もう一人の覗き犯を褒めた。

「「「「さすがニッキー!」」」」


…終われ。
 

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