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□我が儘彼氏と不憫彼女と無口少女(神ショル+かごめ)
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「………はぁ」
ショルキーは溜め息をつきながら、トボトボと道を歩いていた。
何故こんな風になっているのかというと…。
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『ダメダメ、やり直し!』
『はぁ!?何でですか!!』
『お前なーつまんねぇよこんな曲。ちゃんと考えてるか?』
『失礼な!大体昨日突然曲を今日中に書けって言ったのは神じゃないですか!!』
『満足出来ないんだからしょうがねぇだろー?』
『理不尽だ!!』
『理不尽じゃねぇよ。いいから次は来週までには書いてこい』
『えっ、ちょっ、かっ神!!ちょっとぉぉぉぉっ!?』
****
……そんな感じな理由で、現在ショルキーは神ことMZDの住んでいる家に向かっていた。
(あの我が儘自己中神め…)
ショルキーは心中でMZDを恨みながら、ある場所へとたどり着いた。
そこには、何の変鉄もない只の平地が広がっていて、ショルキーはその土地の前に立つと、近くにたててある看板に手をかざす。
すると、気付いた時にはショルキーはどこかの家の玄関にいて、そのだだっ広い玄関とそれに続く廊下を見ながらまた溜め息をつく。
「本当にこの家はどうなってるんだ…」
MZDは神の力を使って神界にある自宅をあの平地へとリンクしている。
そしてそのリンクを通じて通る事が出来る人間は、実は割と少数だ。
ショルキーはそんな少数メンバーの一人であり、仕事がらみでは唯一自分から入ることの出来る人間なのである。
(……でもまぁ、所詮は“仕事”の為だもんな…)
ショルキーは、あまりこの特別に近い扱いを快く思っていなかった。
自分は仕事が理由で教えてもらっているが、仕事がらみ以外での特別な人間だって、MZDには存在するはずだ。
(…………って、乙女か俺は!!)
自分の思考が思わず女々しくなってきた事に嫌気がさしたショルキーは、さっさと要件を済まして帰ろうと、MZDの家に靴を脱いで上がる。
(……ん?)
そこでショルキーは、あることに気が付いた。
MZDが迎えに来ないのだ。
何時もならここでショルキーが入ってきた事を知ったならば瞬間移動でも何でも使ってくるはずなのに、今日はいつまでたっても来ないのだ。
(……?留守なのか…?)
ショルキーは不思議に思いながら廊下を歩き、いつものMZDのリビングに入る。
「………」
「あ」
だが、そこにはMZDはおらず、代わりに一人の少女がソファーに座っていた。