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□年下のあの子(ナカケン)
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最近僕の家には通い猫が来ています。
とっても大きな賢い黒猫で、いつも来ている猫さんとは違いとても気まぐれです。
その猫の名前を、ナカジ君と言います。
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今日もいつも通り、僕は窓辺に座りながら猫さんと外を眺めていた。
特に何をするわけでもないけれど、僕は何だかこの時間がとても好き。
そんな感じでこの時期特有の少し暖かい風を感じながら猫さんを撫でていると、
ピンポーン
「あ」
玄関からインターフォンの音が聞こえた。
僕は多分いつものあの子だろうなぁと考えながら、さほど離れていない玄関へ行きドアをゆっくり開ける。
「……どうも」
「はは、いらっしゃい」
そこには学ランに帽子とマフラーに眼鏡をかけた、高校生ぐらいの男の子が立っていた。
彼こそが、最近の僕の通い猫であるナカジ君である。
「…今日はお菓子持ってきました」
「本当?ありがとうナカジ君」
通い猫と言っても、ナカジ君は来るときには毎回手土産を持ってきてくれている。
前に持ってこなくてもいいと言ったんだけど、それでもナカジ君は持ってくるんだ。
きっと律儀で真面目な子なんだろうなぁ。
「ささ、どうぞ入ってー」
「お邪魔します」
ナカジ君はそう言って頭を下げると、入ってすぐにさっき僕がいた場所に行って寝ていた猫さんを撫で始めた。
そんな光景を見ながら僕は、ナカジ君が初めて僕の家に来た日の事を思い出した。