闇があるから光もある

□3、 すべき事
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ーガッシャーン、ガッシャーンー

グランドに何かを力強く押す音が鳴り響く。

一人の巨大な男が朝早くからそこにいる。

その強い力には何が込められているかは本人しかしらない。

「よっ、良寛。おはよー。今日も朝から頑張るな。」

「あ、露風!!オハヨー!!
新しい部員が入ったから張り切っちゃって!!」

こうして彼らの日常が始まる。




【すべき事】




「たく、相変わらずお前は早いな…。今7時だぞ。」

「えー、そんなことないよー。」

そうたわいのない話をしていたらダダダダダと、
何かが走ってくる音が聞こえた。

あ、妖一でもきたのか?

そう思っていたら何かを引きずって妖一が階段から下りてきた。
そう、何かを引きずってだ!!

「えらい早いなー。」

「あ、オハヨー。」

「よっ、妖一おはよー。
っじゃなくて!!なにセナくん引きずってるんだよ!
セナくんめっちゃ痛そうだよ!!」

さっき言ってた何かとはセナくんだったのだ。
しかもまたロープでグルグル巻きにして。
こいつは何なんだ!!
あ、悪魔か……。

と自問自答していたらセナ君が自力でロープから這い出ていた。

お、お前中々やるな…。

「いやー、4人になったのって創部以来でしょ?
もう嬉しくってつい早起きをね。
張り切りすぎて朝の2時から始めちゃったよ。あははは!!」

「………。」

「バカだ、バカがいるぞ。」

「うん、バカだ。」

そう3人で呆れていたらベキッとやな音が聞こえた。

恐る恐る音が鳴った方を見てみるとスレットマシーンが壊れていた。

おい、また壊しやがったよこいつ。

「あーバカぶっ壊しやがったな!!」

「ハァー、張り切りすぎ。」

「ご、ごめん。」

「ちっ、しゃーねェ。また校長騙して買わせっか。
ついでに欲しいと道具ねーか?」

「そ、そんなー。」

そんなくだらない話?をしていたらセナくんが他の道具に興味を持ったらしく
チョロチョロと道具を見ていた。

あ、良寛が話かけてる。
優しい先輩だなー。悪魔も見習わないかなー。
てか見習えよ。アホが。

「おい、今失礼な事考えただろ?」

「え、あ、うん。」

「ふざけんな!」

正直に答えたら殴られた。
たく、痛てぇなー。事実何だからしょうがねぇじゃん。

俺がブツブツと文句を一人寂しく言っていたら
どうやら40ヤード走をすることになったようだ。

「じゃあ、糞デブからな。
朝練の成果を見せやがれッ。ケケケケ。」

「そ、そんなすぐ早くならないよ!」

そう言いながらコーンを持ち
良寛は走ってスタート地点に行った。

「あ、そう言えば何で露風先輩は制服姿なんですか?」

「あ、着替えるの忘れてた。
今から着替えに行ってくるわー。」

「ケケケケ。お前アホだな。トットと行ってこい。」

糞、妖一にアホって言われた。
一緒の不確定だ……。
まぁ、確かに着替え忘れてるとかアホだけど……。

そう思いながら俺はボテボテと歩い部室へ行った。

「早く行けよ!!」

「へいへい。」

ま、歩くけど。








部室に着き、ジャージに着替えているとドンと言うデカい音が鳴り響いた。

たく、また妖一の仕業だな。と思いながらまた歩いてグランドに戻った。








「で、なに妖一は騒いでるんだ?」

「あー?おせーぞお前。
俺の自己ベストが出たんだ。すげーだろ。」

「ふーん。で、何秒?てか、良寛終わったんだ。
て、事はセナくんも?」

「ふーん。て何だよ。かりーな。5秒1だ。
んで、糞主務はまだだ。今から走ってもらうがな。」

「いやあ、僕はいいで…。」

「なに?走りたくて仕方がない?」

そう言ってセナ君を無理やりスタート地点に立たせた。

セナくん、哀れなり。

「あの脚なら5秒の壁切れるだろ。」

「あー。そうだな。」

「…ホ、ホントにセナ君が?そんなに…………??
でもさおかしくない?
そんな爆走なら中学で有名になってると思うけど。」

「ん〜〜〜、そういや……。
まあ、測ってみりゃわかるだろ。」

「うん、そうだな。考えたって分からんし。」


「よーい。」

妖一の声がグランドに響いた。
4人が4人とも息を呑むのがわかった。

ードン!!   バァァーンー

ロケットランチャーを放った瞬間セナくんが走りさる。

ーピッー

ストップオッチを見ると5秒ジャストだった。

こいつ途中から緩みやがった。
まだまだ行けるはずだ。

「………。」

妖一も俺と同じことを思ったらしくパソコンをいじりだす。

「小早川セナ
中学時代の体力測定は反復横飛びだけ学年一位か!」

「!!
どこからそんな。」

「パシリで鍛えた瞬発力だな…
それであのロケットスタートか。
でも、すぐスピード緩めるから徒競走だと記録でない。
緩めさせなきゃいいわけだ。」

そう言いながら妖一はほね元気(犬の餌)を開ける。
そしてその中の一つをセナくんの背中にいれ

「ケロベロス!!!」

俺の可愛い子ちゃんを呼んだ。

ーオ”オオーン!!!ー

そして俺の可愛い子ちゃんはセナくんに襲いかかった。

「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

ードドドドドドドドトー

ーピッー

「Yaーhaー。見やがれヤツの本領を!!
高校記録どころじゃあねぇ!NFLのトップスピードだ!
こんなもん誰にも止められねぇ!黄金の脚だ!!


ストップオッチには4秒2の文字か並んでいた。

「やっぱすげーな……!!」

何なんだよあいつ。あの進までも抜かしやがった!!

「セ、セナ君この才能を埋もれさせちゃいけないよ!!!」

「ぐけけけけ、春の大会はもらったな。」

「あー、そうだな。セナくんがいりゃあいけるかもな。」

うんうんと頷きながらケロベロスを撫でた。

うん?ま、待てよ。春の大会って確か……!!

「で、いつからだっけ大会?」

「明日。」

「「はやーーー!!!」」

妖一くんやい。そんなあっさり答えるなや。
いや、別にいいけどさ。
何か緊張感がなくね?

こうしてセナくんの初めての部活(朝練)が終わった。

あー、ケロベロスカワエエー。
てか、人数足りなくね?朝練よりも助っ人探した方がよくねぇ?
朝練よりもするべき事があるよな?

だか、本当にすべき事は終わっていないのであった。











END.

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