星は瞬く

□第1話
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ー13年前


『ちちうえ、このおふねはどこへいくの?』

「………。」


たくさんの星が瞬く夜に、私は海軍の船に乗って私はこの「海楼島」にやってきた。父上は寄り添うように座る私を何も言わずに頭を撫で、悲しそうに笑って海を見ていた。


『ちちうえ。』


私は悲しそうに笑う父上の胸にただ顔をうずめることしかできなかった。






ー現在


島のほとりの一番景色の良い場所にちょうどいい大きさの海楼石で作った父上のお墓があり、私は父上の好きな鈴蘭をそっと添えた。


『…。』


父上の最後の言葉は「自由に生きろ。」だった。その言葉には、島から出てもいいということが含められていることはわかっている。

でも、私にはこの島にいる理由はあっても島から出る理由がない。

父上の墓のあるこの島から出る理由を無理に見つけないようにしているかもしれないが私はただ面倒くさいと一言で片付けた。

潮風が私の頬を撫でた。


『父上、それでも私はここに……ん?』


墓の向こうに見えた海には、幼いころにみたカモメのマークをあしらった帆を掲げた船。


『……。』


私はこれからはじまる物語に瞳を閉じて一拍あけて笑いかけた。






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