企画専用

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「朝、か…」


気だるい身体を起こしてあたしは着替えを始めた。


昨日の夜、任務で帰って来た後にボスに八つ当たりされてイライラしたスクアーロに気絶されられるくらいにめちゃくちゃに抱かれ、ちらかった部屋で独りぼっちのあたしは目が覚めた。


情事後のどくとくの嫌な匂いと、痛くてたまらない腰と下腹部の痛み、昨日の夜まで隣に居た彼はどこにもいない。ただ、隣に貴方が先程まで居た事を思い出させる温もりが残っていて、思わず涙が溢れた。


「泣くなっ、あたし。…準備しなきゃ…」


今日、あたしはこのスクアーロと過ごしたマンションを出て行く。
荷物は必要最低限の物はスクアーロにバレないように少しずつまとめて新しいマンションに移した。


どんなにめちゃくちゃに抱かれても、冷たくされても、あたしは泣かなかった。だって、あたし以上にスクアーロが傷ついたような顔してあたしを抱くから。《なんでそんな顔をするのか》、聞かなくてもあたしはわかってた。伊達に何年も一緒に居た訳じゃない。


ずっと苦しかったんでしょ?この"幸せ"が続くことが。だから、壊そうとしたんでしょ。優しいスクアーロが自分を押し殺してまでこの"幸せ"を壊したかった理由をあたしは知っていた。


「本当に、演技が下手だよスクアーロは…っ」



あたしに嫌われたいならとことんやらないと無理だよ、あたしスクアーロが大好きなんだから。


めちゃくちゃに抱いて、冷たく接して、目の前で他の女の人とキスして、最低な男演じてるつもりなの?


「スクアーロに…は、あたしを傷つけるなんて無理だよ…」


どんなにめちゃくちゃに抱いても、あたしはいつも服を着てるし、後始末もされてる、そしていつも眠るあたしにスクアーロは一度だけあたしを抱き締めて謝る。


『ごめんなぁ…っ』


その言葉を聞く度耳を塞ぎたくなるんだよ。そんな言葉聞くぐらいなら、突き放すような言葉吐かれた方がどれだけましか。


あたしが居るだけで、悲しい思いばっかさせてる、これ以上スクアーロを苦しめたくない、傷ついた顔なんて見たくない、あたしと居るとスクアーロは弱い人になってしまう…強いスクアーロが誰より好きだったあたしにはそれは辛すぎるから、だから、


「愛してた、スクアーロ。さよなら」


あたしが終わりにしてあげるから。全部全部、過去にしてあげるから。
自分らしく、貴方らしく真っ直ぐに…生きてよスクアーロ。
こんなあたしを愛してくれて、ありがとう。
































愛してた

貴方と過ごした日々は終わってしまったけれど、あたしの中の貴方と日々は永遠に色褪せはしないから、



20100115

素敵企画サイト"Kの葬列"様に提出させていただきます。


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