企画専用

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ビニール袋が重さで指に食い込む。痛みを堪えるように溜め息を吐けば、前を歩いていたユースタス先輩が乱暴に私の手から袋を奪い取った。

今日は先日の豆撒きパーティーの打ち上げと銘打って、キラー先輩の部屋で飲み会をする事になった。生徒会の役員だけでなく、生徒会長までが参加する飲み会なんて、良いのだろうか。
お金は3年生の先輩方のご好意で出してもらう事になり、買って来るのは案の定私の役目だった。一緒に来てくれようとしたキラー先輩とサンジ先輩はおつまみを作っている最中だったので1人で近場のコンビニまで来てみたのだが、店員のおじさんに「お嬢ちゃん未成年でしょ」と見破られてしまい、手ぶらで一旦退却した。
まあ大体こうなるのはわかっていたであろうトラファルガー先輩は、心底意地悪い笑顔で「役に立たねェなァ」と私を罵った。

「仕方ねぇな」

そう言って付いてきてくれたのがユースタス先輩だった。先程のコンビニより離れた酒屋で、先輩の知り合いらしいドレッドヘアーのお兄さんがレジをしていた。
買い込めるだけ買ったお酒の入った袋は当然のように私が持つことになったのだが、店を出て50メートルしない内にユースタス先輩が荷物を引ったくった。

「…持って下さるんですか?」
「只でさえノロい奴に、荷物持たれて更にノロマになられても困るんだよ」

照れを隠すように赤い髪をわしわしと掻いてぶっきらぼうにそう言うと、少し歩くスピードを早めた。
キラー先輩より不器用だけれどトラファルガー先輩より優しい、そんなユースタス先輩の後ろ姿を小走り気味について行けば、一旦足を止めて振り返った。

「何ニヤニヤしてんだよ」
「え、ニヤニヤしてますか?」
「おう。不気味だぞ」
「今日はユースタス先輩が優しいからだと思います」

素直に答えれば、一瞬面食らったような顔をして、それから分かり易い位に顔を赤くして「うるせェぞ!」と再び早足で歩き出してしまった。

「先輩って照れ屋さんですよね」

いつものお返しと言わんばかりに、肩で風を切って歩く背中に投げかけてみたのだが、やはり「うるせェって言ってんだろ!」としか返って来なかった。
根は優しい人なんだから、キラー先輩みたくスマートに優しくしてくれたらいいのに。なんて思ってみたが、ユースタス先輩がキラー先輩みたかったらそれはそれで嫌だなと思った。

「ユースタス先輩は今日優しいから、部屋に戻ったら肩もみしますね」
「…持ってやってんだから、しっかり奉仕しろよな」
「はいっ」








SP Thanx あお様



新谷さん素敵なキッドありがとうございました!




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