捧げもの&頂きもの5
□メイド総悟挿絵
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ほら、きた。今回は絶対来ると思った。
また喧嘩になるかななんて思った。でも実はアンタがそんなに言うならやめて別のバイト探してもいい。そんなことを頭の隅で思う。ああ、俺も弱くなったもんだ。
「やめやせんよ」
「そうか…」
眉を寄せてしばらく考えこんだ土方さん。
「おめえの意志は尊重してえとは思っているんだが」
まあそうだな…アンタみてえな優しい人は俺ぁあんま知りやせん。
「まあ…やめてほしいが…どうせ聞かねえだろ。俺の言うこと」
俺はちょっとぽかんとして土方さんを見る。
「ずっとするわけじゃねえだろ?勿論」
それから慌てて頷いた。
そうだ。姉ちゃんが退院して生活が安定するまでのつもりだ。しかし、なんだ?この物分りのよさは。
「おめえが決めるまで待つわ」
俺は嬉しくなった。別に俺はそんなにあのバイトに執着しているわけでもなかった。
でも…そう、土方さんに命令されてやめるっていうのが嫌だった。だってそうだろ?そんなに土方さんの言う通りにしていると、怖いんだ。身も心も支配されてしまいそうなんだ。せめてもの俺の強がりで土方さんの言うことを冷たく無視しまくっていた。
『俺は土方さんに弱い』
そう自覚しているだけに一回気を抜いてしまうと、ぐだぐだに溶けて土方さんに依存してしまいそうで怖かったんだ。だから冷たく突き放していた。
「おめえ、絶対折れねえし…喧嘩はもう嫌だしな」
俺は土方さんの膝に乗り上げて首に手を回す。
嬉しい…気持ちを伝えたくて頬に頬を擦りよせる。
「お、猫みてえだな」
土方さんも嬉しそうに笑ってチュッとキスして…それから甘いキスを交わした。
キスキスキス。蕩けてしまいそうだ。土方さん…うっとり見上げると土方さんの俺を見つめる優しい笑み。