小説

□傲慢無礼
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「なんか、この課題ださねーと補習に引っかかるらしいわ」

そう言いながらワシの部屋へとずかずか入り込んだんは暴君とさえ呼ばれる後輩の青峰やった。

「おん、…せやなぁ、確かに後輩なはずなんやけど……」
「あ?なんか言ったかよ」
「いんや、なーんも言うとらんよ」
「まーいいや。とっとと手伝ってくれや」
「言われんでも大会出てもらわな困るんはこっちやし、やったるっちゅーの」
「アンタそーゆーところは面倒見いいよな」
「さよか」

ほんまなら頭を抱えたいとこやけど、取り敢えずその殺人的な量の課題を見てやめた。
死ぬ気で手ぇ動かさなあかんわ、これ。

「ホント、マジ意味わかんねーな。なんでこんなもんやんなきゃならねーんだよ」
「自分、受験生の勉強時間削らせとるって分かっとるん?ホンマいい加減にせーへんと怒るで?」

その瞬間、ぞわりと。
背筋に悪寒が這いずり回る。
そこには瞬きもせずにワシをガン見しとる青峰がおった。
せやけど怯えてるんをおくびにも出さず発言をする。

「…なんやの」
「いや?出来るもんなら怒ってみろよ。返り討ちにしてやるから」
「は?え?本気か自分」
「勉強も一段落したし、息抜きにはちょうどいいわ」
「…やったのは9割ワシやけんどな」
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