小説
□傲慢無礼
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「ふッぅ…、ア、んんっ!」
これでも充分に声を抑えてる方やった。
でもまあぶっちゃけ普通の会話が聞き取れるほどにうっすい壁のことや。
…聞こえとる、んやろな。
そない思うと涙が滲んで視界がぼやける。
「ッハ、エロいな今吉サン」
「ちょおだまっ…ッヒア!?」
最初は首筋に噛み付いてきおった。
跡にならんか心配やわ。
まあ完璧あとになるんやろうけど。
そんで、拘束されたまんま行為はエスカレートしてき、今に至る。
他人による性器への刺激なんぞ経験あるわけもないもんで、なんか、こう、アカン。
「あ、うぁ、やめっも…っアカンから…アッ」
込み上げる快感に必死で身をよじり抗うが、暴君のことや。
逃がしてくれる訳あらへんやろ。
こらえても沸き上がる快感に羞恥か生理的にか、涙が頬を伝ったあたりでそないな推測は的外れやったことに気付く。
こいつ、全然触ってこん。
「ぇ?…ぅ……ぁ」
「そんなに嫌ならやめるか?でもまあこんなに感じてる癖にアンタも随分強情だな」
「っ!」
ここまでヤっといて…止めるんか。
物足りない、こんな中途半端に止めてほしゅうない。
やけど、プライドやなけなしの理性が邪魔する。
痛いくらい欲を吐き出したい衝動にかられながら。
「ふっ、………う」
自分がどうしょうもなく情けない。
出したい出したい出したい青峰のその手に身を任せて感じるままにイきたい。
こんな浅ましいこと考えとる自分を殺したなって八つ当たりに(よう考えれば八つ当たりやなくて正当に怒ってええことなんやけど)青峰を睨んだ。
けんど物欲しげな目をしとったかもしれんし、そもそも涙目やから何の威厳もないやろな。
「ひっく、…うぇっ……うっ…」
しゃくりあげて泣き出してもうたら、もうほんとに涙が止まらんくて青峰を見ることができなくなった。
「……煽るのが上手ぇんだよな、異常に」
「ぅえっ?」
唐突に呟くとワシの顎をくいと持ち上げてワシの顔を覗き込んどくる。
「最初はからかい半分だったけど、やっぱ無理だわ。最後まで止めてやれねーからな」
「…は?」
「いいよな、それが萎えてねぇってことはアンタも少なからず気持ちよく感じてんだからよ」
「あお…、みね?」