小説

□絶痛絶苦
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昔から、好きな子ほどいじめたいタチだった。
この可愛い子が泣いたらどんな顔になるんだろうって、ちょっとした好奇心とかで。
だから、今回もちょっとした出来心でしかなかった。
泣き腫らしたくせにその姿を部員の誰にもさらさなかったオレの学校の部活の主将。
いや、今ではもう引退という立場になるのか。
血も涙もないような彼がどんなふうに泣くのか、気になっていただけだった。
その綺麗な顔をほんの少しでいいから歪ませてみたい、と。
まだ冬どころか秋に差し掛かっていないくらいの頃の話。
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