shadow in the dark


□前世と真実
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『………』
アジトの近くの森の奥にある木の上で凛音は考えていた。
静かに、ひっそりと考えていた。
『わたしは…』
俯いて木にもたれかかっている凛音は本当の人形のようだ。
静かな、恐ろしく何の音も聞こえない沈黙が凛音の周りを取り囲む。
しかし、まもなくその沈黙は破られる。
ズズズッ…
凛音の座っている枝の隣の枝の上の空間に穴が開き、そこから仮面をつけていないオビトが現れた。
『…遅い』
帯「いや、遅いって…これでも急いだんだぞ?」
『………』
ちょこちょこと枝の上を器用にわたると少し警戒しているオビトの所まで来た。
帯(まさか…遅いからって殴る訳じゃないよな…!?)
そして腕をそっとオビトの方に出して
ギュッ…
帯「!!(殴られなかった…)」
凛音の方から抱きついた。
オビトがそっと体に手をまわすとオビトは凛音がフルフルと震えていることに気がついた。
帯「…どうしたんだ?お前の方から抱きつくなんて珍しい…何かあったか?」
『………』
抱きついたまま何も言わない凛音を仕方なさそうに見守っていると
『…あることを思い出したんだ…とても恐ろしくて…とても…悲しいことを』
帯「…どういう?」
グシグシ、と涙を拭きながら凛音が俯きながらも言い始めた。
『今日…角都を庇って…カカシの雷切を…右胸に…食らった』
帯「…!!(あの…術…か…)」
オビトの目の前で最愛の人であるリンの命を奪った、あの術。
自分の言った約束を見事に叩きのめした、あの術。
少し悲しくなったがオビトは
帯(励ます俺が…悲しんだら…悲しそうな顔をしたら…ダメだ…)
一生懸命、凛音の為に悲しみを押し隠した。
それには気がつかなかったように凛音が話し続ける。
『それで思い出したんだ…』
苦しそうでもどこか嬉しそうな複雑な表情だ。
『ずっと知りたかった…ようやくわかった…あることを思い出した。でもそれは…わたしが思ってたよりもずっと恐ろしかった』
今度は俯かないでしっかりと上にあるオビトの顔(オビトのほうが大きいので上を向かないとオビトの顔が見えない)を見ながら声を出す。
いつもとは全然違う、とてもか細い声で言う。
『わたしの…前世の最期を…前世の人を』
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