It's impossible!!√A

□再燃
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オビトは神夜赭空間から出てくると膝をついた。
「無事だったか」
「あぁ……まあな」
角都の言葉に頷くとオビトは前を見据えた。
「來はどこに?」
オビトの言葉にイタチが答えた。
「恐らくまだ……」
「あいつと戦ってる……アレだろうな」
その時、來のチャクラが勢いよくマダラのチャクラと一緒に……というよりは激しく縺れあっているのがわかった。
同時に瓦礫に何かが激しくぶつかる。
「あっちか」
「行くぞ!」







「がはっ……!」
『……。』
瓦礫に押しつけてくる來に向けたマダラの手のひらから黒い杭が現れる。
咄嗟に後ろへ飛ぶとマダラがそのまま追うようにして体に突き刺そうと追いかけてくるのを止めると手首を取り勢いをつけて投げ飛ばす。
マダラはすぐに体勢を立て直し、來に向かい飛んでくる。
來はそれに対抗する。
衝撃で周りの瓦礫にひびが入った。
マダラの繰り出す拳を掴むと拳を突き出すがマダラもそれを掴んだ。
「盾使え!」
『問題ない』
マダラに押されれば力を逃がしては追撃を加え、土矛で硬化した左腕を盾代わりにして庇う。
「何をそんなに怒っている……あれか?」
相も変わらず余裕そうな顔のまま問いかけるマダラの拳を掴む手に來は無言で力を込める。
「あいつを殺されたのがそんなに嫌だったか?」
『……黙れ』
來は印を結ぶと肺一杯に空気を吸い込んだ。
『(すべて……全てだ……!燃え尽きろ……地獄で醜く焼け落ちろ……!)≪火遁 獄炎滅却≫!』
一瞬で來は空気を吐き出す。
同時に赤い焔が視界を焼き払う。
「なかなか、やはりやるな」
『黙れ』
低く唸る來は嫌な予感がした。
もしここにオビトが来ていたらもう一度殺そうとするのではなかろうか、と。
『……!』
マダラが手のひらから黒い杭を放った。
その先には、オビト。
ガッガッガッ!
「「!」」
『……。』
雷を大きく振り払うと杭が弾き落とされた。
「……!來、……?」
『……問題ない』
片頬だけに苦々しげな笑みを浮かべてからオビトを庇うようにしたまま、マダラを見る。
『二度も殺そうとするとはな……。オビトがアンタの直系の子孫であることは知ってるはずだ』
「!」
「……それがどうした?直系の子孫であろうが、オレの駒に適していた、ということの方が大事なことだ」
『……そうか。残念なことだ』
オビトはようやく來を見ることができた。
『大丈夫か』
「お前こそ」
『私はいい。だから心配せず、自分のことに集中しろ』
「そんな訳にいくか!」
『あなたが無事に生きるということの方が大事だ』
鬼の面の奥から見つめる來にオビトは違和感を覚えた。
先程自分との戦闘中に切れた紐をわざわざ結び直して仮面を着けている。
「お前……顔を、どうかしたのか……?」
『……気にするな』
オビトは短剣を渡そうとした。
すかっ
『っ』
一瞬バランスを崩した來の仮面を奪って投げ捨てた。
『……!』
カラン、と音を立てて落ちた仮面。
オビトの行為に驚いて思わず両目を見開いた來の右目にオビトは衝撃を受けた。
「お前……」
オビトは來の右目に眼を奪われる。
蒼とも、翠とも、金ともとれる不思議な色を潜ませた銀色になった右目と、万華鏡写輪眼の左眼を短い舌打ちと同時にオビトから反らした。
『……詳しい話は全部が終わってからゆっくり話す。時間を開けておけ』
「……あぁ」
至極落ち着き払った態度でオビトに告げるとオビトの手を掴んでマダラの方を向いた。
『とにかく身を守ってくれ。それさえ約束されれば私はマダラに集中できる……頼んだ』
「來!」
來が燐光に包まれる。
燐光が雷に変わっていく。
「っ……!?」
雷が音を立てて來を纏う。
両耳の上から一房ずつ、黒髪の上ではよく目立つ銀髪が銀の髪飾りで纏められ、垂れ下がっている。
何よりも目を引いたのは黒と赭のコートから不思議な紋様の入った青と白の狩衣に変わっていたことと、頭の……ちょうど銀髪の生え際辺りから伸びる角だった。
斜め後ろを目指して枝のように伸びる角には服と同じように現れた首飾りに使われているような美しい珠がところどころ下げられている。
『……この力を使うのは久しぶりなんだけどな』
マダラは不敵な笑みを浮かべた。
「面白い奴がいたものだ」
「!なんであいつが……!」
その頃、少し離れたところでは大蛇丸が遅れてやってきた鷹のメンバーに不思議そうな顔を向けていた。
「香燐、あなた見たことあるでしょ?重悟も知ってると思うし」
「いや、なんで"蒼雷の鬼"がいるんだよ!?しかもマダラと戦ってる訳!?」
水月の言葉に香燐が頷く。
「"蒼雷の鬼"……あいつが?」
重悟の言葉に大蛇丸が言った。
「鬼の面にあの力……まあ無理もないでしょ?」
「ウチは大蛇丸様に連れられて行ったコロシアムの時に見たけど……」
「オレは話だけなら聞いた」
「あの子、來っていうの。私のお気に入りよ」
水月は來を見つめる。
『もう二度と、オビトには手を出させない』
マダラは喉奥でククク、と笑った。
「そう怒るな……可愛い娘だ。あいつにとっては命に代えても守りたい存在なのだ……お前を目の前で奪われたら奴はどうするだろうなあ?」
オビトが命に代えても守りたい存在?
私が?
そんな一瞬の動揺がマダラに伝わらないはずがなかった。
一気に距離を詰め、目前に近づく顔。
『!!』
ドズッ
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