It's impossible!!√A

□再燃
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マダラは一気に飛翔した。
……否、正確には真上にぶっ飛んだ。
その場にいた男性陣は顔を一気に青ざめさせその場に硬直した。ある一点を抑えながら。
來は金的を蹴りあげたのだ。
しかも來は土矛により足も硬化していることも忘れてはいけない。
「○×■☆□▽▲〜っ!?!?」
例に漏れずマダラも股間を抑えながらそのまま墜落するとゴロゴロと地面を転げ回り、悶絶した。
「な、何をするんだ……!痛いだろう……!」
『それはこちらの台詞だヴォケが!いきなり何をする!』
「何って、キス……」
『アホかお前は!?この姿見えてるのか貴様!目節穴か!ってある意味ほんとに節穴だったな!』
「ええいやかましいわ!」
『やかましいのはお前もだ!』
「使えなくなったらどうするんだ!」
痛みなのか、悲しみなのか、はたまたどちらもなのか……。
何か泣きながら訴えるマダラを來は鼻でハン、と笑った。
『どうせもう使わんだろ。無用の長物ならば壊してしまってもかまうまい』
「痛いんだよバカ!オレは世界を手中に収めるだけだ……そこにお前らの意志なんぞ関係ない」
『あぁ……そうか。もう、わかった。貴様には人を大切に思うことはなかったんだな。実の弟さえも裏切った』
「……何?」
『だって、そうだろう?言葉ではなんとも言えるだろう。思い出だって都合よくねじ曲げられる。……お前を大切に思い、警告をしてくれたイズナをお前は大切になんてしてなかった。裏切ったんだ』
「なに、を……」
『お前は自分のためにイザナギを使った。でもイズナには?その時は知らなかったにしても知ったら使ってもいいとは思わなかったのか。イザナギを使うのが怖かったにしても、操って転生術でも試みたのか。……貴方のことを全て知っている訳ではないが、それでも疑わずにはいられない。弟だけは、大切に思っていて欲しかった。……でも、残念なことに、私はそれを自分で否定せざるを得ない。実に……残念だよ』
「し……知ったような口を利くな!」
錫杖で地面を突くと求道玉が針のような形状になりながら宙を疾る。
來は印を組むと辺りに雷を張った。
『血も涙もないような人間はいないと思いたかった。でも、……それがお前だ。オビトを一度ならず、何度も殺そうとした。……だから、私は貴方を……お前の罪を、許せないし、許さないよ』
オビトは來を見つめた。
いつもの高圧的な言葉だけではなく、静かにそう告げた來の声音が少し悲しげだったのだ。
『お前が悪いんじゃない。お前の罪を憎んでいる。罪ならば償え。罪でないというならば私を倒して、正解であると示せ。私も全力で迎え討とう』
罪を憎みて、人を憎まず。
≪『誰かが全てを知る覚悟はしなくていい』≫
『(まったく、そうだよな)』
自らがミナトに向けて言った言葉を噛み締め、來は怒りを頭の隅に追いやった。
『(しかもマダラは騙されているだけ。純粋なマダラが悪いなんて、一概には言えない。……まあ、そこから順当に染まってしまったのは悪いことだけども)』
怒りを抑えきれないマダラが突っ込んでくる。
向かおうとした來にオビトが慌てた。
「來……!」
『なんだ?』
「……死ぬなよ」
『……あなたの弟子だぞ。簡単には死なない』
死なば諸とも。
『(吾今ここに死なん身は、……君のため……ねえ)』
ほんと、今の感情はその言葉通りだ。
笑みを薄く浮かべると今度こそマダラに向かって駆け出す。
雷槍を取り出すと錫杖にぶつける。
勝てずとも、必ず……オビトには手を出させない。
少なくとも、必ず……オビトを、マダラを、狂わせた奴らを封印しなければ。
このマダラはやはり救えない。
……そのために、わざわざこっちもマダラを喚び、救えるマダラと犠牲にするマダラと分けた訳だが。
『貴様は愚かにも己の欲望を優先させるというのだな。この私の、邪魔立てをするというのだな。……ならば私は貴様を殺して己の欲望を叶えるとしよう……それならば、きっとこの戦いは愚か者同士で決着がつく』
あぁ、だから困る。
マダラを助けたいのも、マダラを犠牲にしてカグヤを封印してマダラの敵討ちをしたいのも、どちらも私の本音だから、困るんだ。
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