It's impossible!!√O

□I'm back.
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『ふー……』
あんな風に初めは言っていた大蛇丸はやはり見た目にそぐわず、相当な悪党だったらしい。
顔を上げると上の方のすごく小さな窓に大きな満月が見えた。
『(やっぱりわたしが居た世界ではないんだ……あんなに月が大きい)』
何度も思ったことを今日も思ってから床に寝転んだ。
服はやってきた当初とは違い、麻の服……枷まであるのでまるで奴隷だ。
あー、くそ……筋肉痛やべえな……。
『(ったく……なーにが特別な捕虜だよ)』
結局わたしに人を殺させておいて何を言うんだ。
……まあ元はと言われれば簡単に大蛇丸の部下に捕まってしまったわたしの不注意なんだけど。
他の人達は風呂とかもままならないと聞いたからそれよりはましかもしれないけど。
『(動きを制限されるのってほんっとに嫌なことしかねえのな……)』
自由でいたい。
実際に捕まって以来わたしは外に出ていない。
裟婆には大体一週間に一度は出られたし、これならまだあっちでの方が良かったな。
もしかしたら大蛇丸を倒すために来る誰かが助けに来てくれるかもしれないけど。
そうだらだらと本を読みながらいつも思っていた。
期待なんて、するもんじゃないな。
ここでは沢山の本を流し読めたからこの世界についてすこしはわかってきた。
『(今のわたしは暁の役に立つのかな)』
できれば役に立ちたい。
もし大蛇丸の話が事実だとすればわたしにも(一応今まで以上に)戦闘要員として使える可能性があるということだ。
少なくとも大蛇丸の器とかいう奴にはなりたくない。なんか腹立つもん。
『(どうせなら暁にとって役に立てるようになりたいのに)』
とその時だった。
月が見えていたあの窓から突然白い蝶が入ってきた。
『……?』
そうっと近くまで来たそれに近づいて見てみるとそれは折り紙で作られていた。
『……どうやって飛んできたんやろ』
と言っていると大量に入ってくるのが見えた。
群れを成しているそれはやがて人の形になった。
しかもそれは。
『え……え、っと……小南、さん……?』
「やっぱり……來だったの?」
小南が来たことは嬉しかったが何よりここは大蛇丸のアジトだ。
『危ないので逃げて下さい……小南さんまで捕まってしまいます』
「わたしは大丈夫。來……あなた、どうしたの?」
『実は……』
話しておくと
「それならあなたは暁から逃げた訳ではなかったの?」
『そんなこと思いません。これでもわたしを助けてくれたお礼ができれば良いのですが……』
「だったら、一緒に行きましょう」
『いいんですか?』
「ちゃんとみんなにも説明すれば大丈夫よ」
手際よく鎖を切った小南を驚いて見つめるとにこっと笑って言った。
「あなたはちゃんとみんなのことを考えてくれてるからみんなだってわかってくれるわ」
『……でも、そうは言っても……』
「大丈夫。……ね。わたしを信じて」
信じていいのか。
そんなことはいい。
信じてほしいと言われたなら答えは一つ。
『……了解……!』
結局のところ、わたしの答えにケチをつけるのはわたしだけなのだ。
後悔をしないという解決策がある。
わたしが答えるのと同時に部屋を飛び出し、外へと駆け出した。
「荷物はないの?」
『はい、ここには何も……ありません』
裸足で走ってるけどあまり痛くない。
「そう……あなたが捕まったことに気づけなくてごめんなさい」
『小南さんが謝る必要はありません!捕まってしまった自分が悪いのです』
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