It's impossible!!√O

□watch a village
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午前6時。
『うぅぅぅ……』
やばいめっさ眠い……寝起きが悪いのは相変わらずだがとりあえず無理やり起きる。
今まで不摂生続いてたからなあ……気が抜けてるのかもしれない。気をつけよう。
洗面所まで行き色々と隠すためのアームカバーを捲ってバシャバシャと顔に水をかける。
それでも眠くてふらふらしていると誰かにぶつかった。
ゴッ
『いてっ』
「あっ、大丈夫ッスか!?」
慌ててわたしを支えてくれたらしいぶつかった人を見る。
『すみません。寝ぼけてて……』
「いえいえ!!僕の方もちょっとぼうっとしてたんスよ!!」
頭上から聞こえたハイテンションな声に見上げればオレンジ色のぐるぐる仮面が居た。
いや、てか、デカくね?待って、だって、目があるだろうあの穴。目線の高さが、違いすぎる。
は?
穴一つしかないのにどうやってぼーっとすんだ。
ぽかん。
「ありゃ、初めて見ますねえ……お名前はなんて言うんスか?」
『え?……あ、わたし、ですか?』
「後ろには誰も居ませんよ?」
いや、鏡の向こうの自分に話しかけてた可能性だって……流石にその屁理屈は無理か。
『あっ……それもそうですね。わたしは來って言います』
「あ、てことは今日一緒に任務に行く人なんスね!!僕はトビって言うんスよ!」
差し出された手は握手を求めているのだろうか。
一瞬戸惑ってからそっと、一応握ってみた。
「よろしくッス!」
ブンブン、と元気に握った手を上下に振られて一つしかない穴を見つめる。
珍しくスキンシップを求める人だな……。
『はい、こちらこそ!(手……あったかいなぁ)』
あの部屋に捕らわれてからは人の温もりにさらに警戒するようになっていたからなんとなく手袋ごしに感じる体温に感動していると
「あれ?來さんの手足にはまってるそれってなんスか?」
見ると枷の一部が服から覗いていた。
油断した。
『あー……気にしないで下さい』
そっと手を離し、袖で隠す。
「えぇ〜教えてくれてもいいじゃないッスか!」
『(っ……面倒な奴だ……)うーん……見てわからないですか?わたしけっこういいと思ったんだけどなあ……アクセサリーですよ!』
「アクセサリー?」
『そうそう、ほらよくあるじゃないですか!腕とかにはめるタイプの』
「あぁ!あれッスか!」
『そう、あれですよ!かっこいいですよね!何か、奴隷みたいで!』
「え……そっスか……?」
ちょっとわざとらしかったかな。
何とかバレずに済んだみたいだからいいけど。
頭の中でまた今までに聞いた
「嘘つき」
が反芻した。
嘘つきの何が悪い、と過去から目を背けた。
しかしトビも流石に忍だけあって洞察力は鋭いらしい。
「じゃあまた任務の時に!」
『あ、はい!!』
一応仲良くなれそうだ。
優しい人で良かった。
……まあ、心の中じゃ何考えてんのかわかんねえけどな。
そうせせら笑う自分にそうだな、油断はできないよな、と呟く。
……それにしても、何故ここまでトビのこと、……。
よくわからない感情に蓋をしてわたしは部屋に戻った。
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