It's impossible!!√O

□fear in the cage
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『ところで……』
「何だ?」
『こんな天気じゃ、帰れそうにないよね……どうしよう……』
みんなに任せきりというのも悪い。
「さっきも言ったが、今日はこのまま雨を凌いで明日帰ればいい。病み上がりにこの天気の中帰るのはキツいだろう。今日は仕方ないからな」
『でも……』
「大丈夫だ。オレが何とかしてやる」
さらっと言われた言葉。
『……え?』
「ペインのことだ。そろそろ連絡も来るだろう」
丁度その時、オビトの黒い携帯が鳴った。
「もしもし」
「あ、マダラ?今日の任務どうだった?」
「収穫なしだ。他は?」
「東と南の両方に人が居た跡があった。明日はそちらを重点的に探させる」
「よろしく頼む。こちらは今嵐になっていてな。今日は戻れそうにない」
「なんで?」
「……病み上がりを一人、連れているんでな」
いやいや、それ言っていいんかいな!?
目で訴えかけてみればポン、と頭に手を置かれた。
絶対この人なんか勘違いしたよ。
「そうなのか……じゃあまた」
電話を切るとオビトはこちらを振り返った。
「これで大丈夫だ」
『あ、ありがとうございます……?』
「そういえば……來の万華鏡は、どういう能力なんだ?」
『へ?』
「大抵何かあるからな」
『そうなんだ』
改めて訊かれるとわからない。……ふむ。
考えてわかるようなことではないので万華鏡になってみる。
「……(なんかオレのと似てるな……ちょっとやってみるか)蚊」
『え、どこn……』
思わず言葉が止まった。
蚊を叩くために振り下ろされたオビトの手がわたしにまっすぐ向かっていて思わず体を強張らせ……恐る恐る目を開くとわたしの身体の途中で止まっていたのだから。
『……え……?』
「なるほど……オレと同じすり抜けか……」
『すり抜け……?』
オレと同じ能力が使える奴を見るのは初めてなんだが、と前置きをしてオビトは続けた。
「來は万華鏡が開眼する前……物がすり抜けたり無くなったりしなかったか?」
『あー……』
そういえば物が急に無くなったり変な所から出てきたりした。
それにこの間は飛段の鎌がすり抜けた。
「間違いない。神威だ」
『神威……』
「ちょっと来い」
とん、と肩に手が置かれると別の場所に着いた。
『ここは?』
「神威で飛んでくることができる場所だ。オレだけの空間じゃなくなったがな」
見渡す限り白い巨大な壁と見紛う直方体が無数にある空間が広がる。
「もしかしたら來が飛ばしたやつがあるかもな」
『広すぎて見つけられないよ、きっと』
もしくは隙間に落ちてて。
「とにかく來はちょこちょこ修行してコントロールした方がいいな」
『頑張ります』
「あぁ」
ポンポン、とまた頭を撫でられた。
『……わたし犬じゃない』
「なんとなく撫でたくなるんだ」
『なんだそれ……』
まあ、わからない訳でもない。
恐らく弟や小さい子供が喜んでいる時に感じるああいう感じなのかもしれない。
『ってわたしガキじゃない!』
ムキになってオビトに言ってみれば
「そういうところは子供だぞ。それにガキって言い方は止めろ」
至極まともなことを言われた。
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