It's impossible!!√A

□狼煙
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『……オビトには』
「ん?」
『オビトには……ちゃんと、話したい。聞いてはもらえないか』
私は目の前のいつも一緒に過ごしている人物と同じ顔で、同じ声の、しかし別人の男……オビトに話しかけた。
「どうした?」
『その、さっきの……私の話、というか……私達の世界の話だ。一応大まかにああは言ったが、ちゃんと話しておきたい。さっきも言った通りあまり聞かせてやれるような話ではないことに変わりはないから無理強いはしたくないが……できればこっちの私にも話してやってはくれないか』
「あぁ」
『ありがとう。……そうだな、どこから話そうか……』






短剣を一閃させると十尾の繋がりを絶った。
『こうして話すのは久方ぶりだな、"元"リーダー』
私が十尾の上から地上に降り立った長門の前に立ちはだかると舌打ちが返ってきた。
「邪魔な奴が……」
『邪魔な奴だと?勝手に感化された挙げ句、勝手に抜けたくせに"暁"のメンバーとして宣戦布告したのはお前だろう。言っておくがお前は"暁"のリーダーどころか既にメンバーではない』
「"暁"はオレの組織だ」
『もう違う。今の"暁"はお前を裏切り者としている』
「勝手なことを……まあいい。正規メンバーでもないお前が何をのたまおうが誰も見向きもしない」
『それはどうだろうな。私のことを知らぬお前が私に勝てるとでも思っているのか?』
自らの弱点である足を庇うため、装着した修羅道の器具に目掛け火遁を放つ。
術の吸収をしている際、その腕を使用することはできない。
その腕を切り落とそうとすればアームで巻き取られこちらが不利になる。
『ふっ』
神夜赭(カミヤシ)空間……但しオビトの神威空間とは裏側の地点であることは実証済みなので雑に説明してしまえば反転神威空間……から取り出した槍の柄を叩きつけるとスパークさせながら切り落とす。
まずは一本。
「くっ……!」
苦しげに顔を歪めた長門を鼻で笑う。
『ふん、呆れたな、その程度であんな大口を叩くとは……。喧嘩する相手の分析すらしないで布告するほどの愚か者とは思わなかったぞ』
「っ……貴様……!」
『悔しければ勝ってみればいい』
無論、勝たせなどしないがな。
槍でアームを凪ぎ払いながら周囲に目をやる。
ペイン六道自体は既に戦闘不能、コントロールするので精一杯であった十尾はまだ変化しつつあるがそれは他の忍に任せる。
実質今この場での相手戦力のうち、マダラともう一人は戦況を眺めているだけである。
こっちのメンバーはあと少しで着きそうだ。
今のうちに長門だけでも倒しておきたいところだが……。
そう大まかに考えてから槍を構える。
『何を呆けている。私を倒さねば次には進めんぞ』
突き出した槍と杭が鋭い音を立てて噛み合う。
「くっ、ぅ……!」
『どうした、その程度か?ならばこちらから出向くまでだ……覚悟しろ』
「……誰だ、あいつ……」
そうぽつりと呟いた真を振り返ることなく私は言った。
『今は目の前に集中しろ。話なら後でいくらでも聞いてやる』
「!」
「(あの女……真と一体どういう関係なんだ……?)……何を知ってるんだ」
カカシの問いには答えず、長門のアームをまた切り落とす。
『……私は奴らに用がある。敵の敵は味方……かもしれんというだけのことだ』
「なら他の奴らは!他の"暁"の奴らは今どこにいるんだってばよ!?」
『その時になればわかる。だからそう騒ぐな、!』
ガキィン!
「長門、何を手間取っている……遅いぞ」
槍で鎖を受け止めると目前の男の顔を睨みつける。
仮面が割れ、露になった素顔からは相変わらず感情を読み取ることはできない。
男は距離を取ると長門の隣に立つ。
さっきまでマダラと同様、余裕綽々で傍観者に徹していたというに、と小さく舌打ちをする。
「手間取ってなどいないさ。……本当に殺してしまっていいものかと思っただけだ」
「確かに、お前に殺されるのは頂けないな。……アイツはオレが殺る」
「随分と、ご執心なんだな」
「言ってろ」
男が消える。
空間を移動しているのだろう、そんなことを考える間もなく、後ろに現れた男の斬撃を何とか槍で受け止める。
噛み合った槍と短刀が金軋りの音を立てているが力の強さでは流石に負けそうになる。
足裏の砂利が少しずつ後退していくのがブーツの裏ごしでも感覚でわかる。
それでも何とか踏みとどまると男の紅い瞳を睨み上げた。
「……そう怖い顔をするな……折角の美人が勿体無い」
男は依然として無表情ながらそう言い放つと槍を弾いた。
『くっ』
頬が少しひりついた。
弾いた際に短刀が頬を掠めたらしい。
数ヶ月ぶりに対峙した相手の男に長門が声をかけた。
「では來は頼むよ、





オビト」
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