It's impossible!!√A

□狼煙
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ーーーあぁ、またか。
真実を知り、自ら命を絶ってしまった彼の姿に愕然とし、自らもまた、命を絶った女があった。
ーーーまた、救えなかった。
何度やっても上手くいかない。
それでも諦められない。諦めてたまるか。
この世界が願いを拒んでも、それでも……。
また目を開く。
リセットされた世界、リセットされた人々、……そして、リセットされない自分。
「あら……遅かったわね」







【オビトside】

大蛇丸がここにやって来ていると聞いた。
長く外の灯りに照らされることを嫌うオレはその派手な灯りを避けるように路地を抜けながら目的地に到着した。
「(コロシアムとはな……どれだけ血継限界に興味があるんだ、奴は……)」
しかも聞いた話ではここ何回か連続でやって来ているらしい。
それだけ自分の手駒を自慢したがっているのだろうか。
「いよいよ最終戦だぁ!」
「「「うおおおお!」」」
不快な歓声が聞こえてくる中に入る。
「対するはお待たせしました!大蛇丸様の手札、來!」
現れたのは角を随えた、鬼の面を被り手錠を着けた……まるで子供のように小柄な人影だった。
「(あれは……)」
異様な雰囲気に目が釘付けになる。
写輪眼で見れば仮面に見えている部分も、手を拘束している手錠にもチャクラが流し込まれている。
今にも爆発しそうなまでに高められたチャクラの量だ。
押し殺し切れていないチャクラがオレの眼には見えた。
赤黒い、禍々しいチャクラに九尾が過ってしまったぐらいだ。
もちろん、アイツに比べれば全然、大したことはないのだが、それにしたって……。
あの人影が気にはなるが大蛇丸を探す。
大蛇丸はニヤニヤとしながらコロシアムの隅で眺めていた。
「それでは参りましょう!レディー……ファイト!」
相手の男は雄叫びを上げながら小柄な人影に突っ込んでいく。
拳が当たる直前に避ける人影の軽い身のこなしに歓声が大きくなる。
男の分身が人影を後ろから羽交い締めにすればすぐに前に屈みそのまま腕から抜けて喉に足を落とし分身を消した。
ひた、ひた、とゆっくり近づく人影に男が力任せに殴りかかる。
ぱしっ
「!」
『……(グググッ』
骨が折れる音、男の悲鳴。
「うっ、く……!くそぉっ……!」
繰り出されたもう片方の腕を取るとそのまま蹴りつけ吹き飛ばす。
「くっ……雷遁……!」
稲妻が発せられる。
轟いた雷鳴と共に鋭い雷光が炸裂する中、コロシアム内が静まり返る。
コロシアム内に視線を落とせば稲妻は収まり、人影は見当たらなかった。
男が何かに気づいたような顔をした。
いや、していた。
したまま、首の前の方を両手で掻くように手をやりながらじたばたと足を動かしていたが次第に弱まっていった。
観客も異様な雰囲気に気がついたらしい。
紫に変色していく顔をむくませ、男がゆっくりと倒れた。
ジャラッ、と音がして男の首から鈍い光を放つ何かが離れていった。
「……やりすぎよ、來」
大蛇丸が降り立って來と呼んだ人影に近寄った。
來は大蛇丸が伸ばした手が腕を掴む直前に煙に包まれた。影分身だ。
「……追いなさい。まだその辺りにいるはずよ」
大蛇丸の命令と同時に周りで人があわただしく動いた気配があった。
大蛇丸をオレが直接殺しに行くわけにはいかない。
暁の他の忍に任せる情報の確認に来ただけだったが……。
どうやら、面白いことになったようだ。
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