It's impossible!!√A

□暗躍
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【オビトside】

大蛇丸のアジトでそのまま気を失った來を抱き止めるとオレは鬼鮫のアジトに連れ帰った。
ベッドに寝かせると鬼鮫が部屋にやってきた。
「大丈夫そうですか?」
「あぁ……チャクラが乱れている程度だ。恐らく無茶なチャクラの使い方をしたせいだ……よくあることなんだ。少し休めば戻るだろう」
「慣れてますねえ」
「まあな。……あまりチャクラコントロールが上手くないんだ……オレが面倒を見るから先に行ってていいぞ」
鬼鮫がそっと笑った気配がした。
「……何だ」
「いえ……やはり來さんが大切なんですね」
「……悪いか」
「いえ(やはり貴女は変えているんですよ、來さん)」
やたらにこやかに鬼鮫が出ていくとオレは來の瞼を押し上げ、目を覗きこむ。
ちょうど気になっていた。
≪『そろそろ、か……サソリには悪いが、仕方ないな』≫
サソリが死んだのはそれからすぐのことだった。
あの言葉は一体どういう意味だったのか。
來を知る良い機会だ、とオレは來の記憶を覗きこむ。





『……。』
來はチャクラを練り終わると拘束具に身体を固定されてくぐもった声で呻く男に近づいた。
『大丈夫……すぐに終わらせる』
來の思考がなだれ込んでくる。
『(あの時は失敗したけど、あの時は成功した……今回は上手くいくだろう……もう材料は揃ってる)』
男に注射をすると男は次第に抵抗を弱めた。
男の露になっていた上半身にチャクラを溜めた右腕を入れ、心臓を取り出した。
すぐにバットに移すと違うバットに入っていた心臓を埋め込む。
『(実験台で失敗した時はチャクラの量を間違えた……今回は大丈夫だ……、よし、くっついた)』
來は男の目を覗きこんだ。
『……よし』






「っ……!」
オレは來の目から眼を反らした。
心臓が早鐘を打つ。
なんだ、今のは。
オレは自分を落ち着かせると頭の中を整理する。
「(……間違いない)」
オレは確信した。
今のは、來の記憶だ。
今のだけじゃない、他のものも、全部……。
來は……。
「……。」
來をジッと見つめる。
眠っている時は幼く見える。
いびきはかくし、寝相も悪い。
それなのに、今來の瞳に見た來の記憶は、凄惨なものだった。
そして、写輪眼で見ることのできる記憶は本人の目を通してみる過去。
ということは、信じがたいが全て事実なのだろう。
來の追憶の通り、きっと摩耗した結果、今の來がこうしてオレの目の前にいるのだろうと推測するのに大して時間はかからなかった。
「(どうりで年下のくせに年上のような感覚になった訳だ)」
なんせ、來はこの1年間と少しを幾度となく繰り返している。
そりゃ強いに決まってる。
こうして見ると小さくて、あどけないのに……
「……(そういえば)」
オレは來の頬を撫でる。
前々から触ってみたかったが、少しでも触れば怒るため、なかなか触れなかったのだ。
だが今なら大丈夫だろう。
ふわふわしていて、心地いい。
しばらく触ってからオレは來から手を離すと鬼鮫のところへ向かった。
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