It's impossible!!√A

□炯眼
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「……。」
オビトは角都から借りた古書を読み耽っていた。
マダラがしそうな戦略を読み解けるのは本人に教わった自分と、少しは生きていた時代が被っていた角都ぐらいだ。
先に読み解いておけば直接ではないにしても來を助けられると考えたのだ。
「……、ふう」
集中力が切れた。
そう判断するとオビトは息を吐き出して首をコキリ、と一つ鳴らした。
一息つくと隣の部屋に神威を使って侵入する。
いびきをかきながら寝ているのは來だ。
「(無防備だな)」
來はチャクラや気配を感知することができない。
それを知っているオビトはよくこうして來が眠っている時間にこっそりアジトにやってきたりする。
普段の凛々しい、常に警戒しているような來と比較してしまい、くすりと笑う。
それでも触ればすぐに起きてしまうだろう。
枕に抱きつく來はパーカーのフードを被っている。
「(今日はくまさんパーカーか……これ、あさひなとおそろいか?いや、ほんと……アラサーあざとい……)」
おまえがいうな。……こほん。
少し離れたところから写真を撮ってまた写真が増えたなあと思いながら見ていると來が魘され出した。
よくあることだが今日は違った。
このまま放っておけば目を覚まし、オビトを見つけかねない。
そんな予感にオビトは隣の部屋に帰ろうとするとカタ、と物音が立った。
すると來が写輪眼を見開いた。
「(えっ)」
思わず硬直するオビト。
來の見開いた写輪眼は天井の一点を見つめたまま動かない。
『……』
「……」
『……ぐう』
「(寝た)」
くかー、とまた目を瞑り寝息を立てる來にオビトは小さく息を吐いた。
本当に寝起きは悪いらしい。
オビトは頬や頭を撫でたい衝動に駈られるがそれは何とか自制した。
「(早く戦争を終わらせて……來の傍にいてやりたい)」
そう本心から思ったオビトはジッと來の寝顔を見つめる。
『……んう……』
恥ずかしいとでも言うようにオビトに背を向けて布団を蹴飛ばし、毛布を抱きしめる來。
白いパーカーの後ろについている熊の尻尾を模した毛玉に眼がいく。
「(來のケツ……)」
変な気を起こさないうちに、とオビトは來に布団をかけ直す。
「(……イタチの言う通り、……オレは、來のことが好きなんだろうな)」
オビトは自身が慟哭していた夢を思い出す。
腕に抱えた來の冷たくなった体温、口の両端から流れ出た血、胸の中心に大きく口を開けた血塗れの孔。
「(……リンと同じだ)」
オビトは顔を険しくした。
「(……オレが守らなきゃダメだ)」
オビトは來から目を離して部屋に戻った。
「(あいつにはオレが居ないと生きていけない)」
……ん?あれ、あの、オビトさん?
「(どうしたら自覚するかな)」
え、それ何かズレてません?
「(……監禁したいなあ……)」
だからそれ何かズレてるって。
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